| 大阪市の工事の不正問題は何が不正?
大阪市で先日明らかになった水道管工事の不正問題。この不正で何が問題なのでしょうか。不正なのだから問題があるのはあるのでしょうが、分かりにくいので調べてみました。
1 改良土を使わずに軟弱化?
2 再生砕石にはアスベストが?
3 伝票の偽造
以上の3点に問題があるようでしたので、それぞれについて少し書いてみたいと思います。
| 改良土を使わずに軟弱化?
大阪市の老朽化した水道管を交換する工事では、土を掘りだして水道管を好感した後に土を戻すのですが、戻す土は元の土ではありません。排水性の良い砂利のようなものが使われます。
本来であれば、埋め戻しのときには“改良土”を使うことになっていました。改良土は水分の少ない土砂で、埋め戻しのときに使うとしっかりと締まった土壌になるそうです。掘り起こした土砂を使うと水分が多くて締め固められずに軟弱な地盤になってしまうので、それを防ぐために改良土を使うとのことです。
改良土は土を砕いて生石灰を添加したりふるい分けたりして作っていて、埋設管周りの埋め戻しや盛り土に使われます。大阪市でもこのような改良土を使うように指示されていました。不正が行われた道路で安全性への影響はないと大阪市は言っています。
| 再生砕石にはアスベストが?
改良土を使うもう一つの目的は、汚染されているモノを埋め戻すことがないようにするためです。大阪市の不正では“再生砕石”を使っていたようです。再生砕石はコンクリートの塊や廃材を砕いて大きさを揃えたリサイクル材です。再生砕石は強度が弱いとも言われています。
再生砕石はコンクリートやアスファルトを砕いたものですので、中にはアスベストを含んだ建材が紛れ込んでいることがあります。和歌山県やさいたま市でアスベストを含んだ再生砕石が発見されて報道されていたようです。スレート建材、石綿水道管、屋根のスレート、サイディング材など色々と見つかっています。
国でも調査を行っていまして、2010年に国交省や環境省、厚労省が合同で、再生砕石へのアスベスト建材の混入について調査し結果が発表されました。立ち入り検査を下は再施設4,350施設のうち不適正な事例は52件、約1.2%の不適正率でした。かなり少ないですね。
再生砕石の主な利用先は、駐車場の砂利、レンガ敷きの基礎、石畳の基礎、空き地の雑草対策などです。駐車場の砂利はよく目にしますので、どのようなものかをイメージしやすいのではないでしょうか。
| 伝票の偽造
改良土は高価な資材です。調べてみますと、1tで1000~2000円くらいするようです。2tトラックに積むと2000~4000円。水道管工事での埋め戻しではこれが何台分も必要なのですから、相当な金額になると思います。
それに対して再生砕石は10tトラック1台分で100円という低価格で販売している業者もあります。1tあたり10円。改良土の1/100~1/200の価格ですね。これなら再生砕石を使って経費を削ろうと思う業者が現れてもおかしくありません。
今回発覚した業者に対しては、大阪市は損害賠償請求も考えているそうです。水道局・水道センターの管理の甘さが露わになってしまった事件でした。
| まとめ
1 改良土はしっかりと締まるよい土砂!
2 再生砕石はアスベストで汚染されてる!?
3 改良土は再生砕石の100倍以上の価格!?