制限行為能力者のポイント2

宅建士試験で問われるポイントを過去問を中心に書いていきます。前回の“制限行為能力者のポイント1”の続きになります。下線があるところは過去問で問われたところです。

 

 

| 被保佐人、被補助人

 

1 被保佐人

被保佐人は判断能力が著しく不十分な人で、家庭裁判所から補佐開始の審判を受けた人です。ポイントは判断能力が“著しく不十分”です。被保佐人との違いは判断能力の程度です。

被保佐人には保佐人がいて、法律で定められた一定の重要な行為を行うときに保佐人の同意が必要です。たとえば、不動産の売買契約は保佐人の同意が必要です。

保佐人には特定の好意について代理権を与えることができます。ただ、家庭裁判所の審判が必要です。

2 被補助人

被補助人は判断能力が不十分な人で、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた人です。ポイントは判断能力が“不十分”です。“欠く常況”でもなければ“著しく不十分”でもありません。成年被後見人や被保佐人に比べて判断能力がある人が対象です。

被補助人には補助人がいて、家庭裁判所が定めた行為については補助人の同意が必要です。

 

 

| 制限行為能力者の行為の効力

 

制限行為能力者が制限された行為を単独でした場合には、その行為を取り消すことができます。“無効”ではなくて“取消”です。つまり、取り消されるまでは有効です。

1 取消権者

取消ができる人は、本人、法定代理人、相続人など、同意者です。制限行為能力者を理由とした取消は、善意の第三者にも主張することができます。

2 追認権者

取消ができる人は、制限行為能力者本人の行為を追認することができます。追認すると確定的に有効になります。取消権を放棄する意思表示だといってもいいですね。本人が追認するときは能力が回復した後でなければいけません。未成年者なら成年者になった後でないと追認ができません。

 

 

| 相手方の保護の制度

 

制限行為能力者は法律によって手厚く保護されています。これだけだと誰も制限行為能力者と取引をしたがりません。そこで、取引の相手方を保護する制度を作って制限行為能力者に一定の行為ができるようにしました。

1 催告権

制限行為能力の取引の相手方には、法律行為を追認するかどうかの返答を迫る催告権があります。催告をする相手は法定代理人や能力を回復した後の本人だけでなく、被保佐人や被補助人本人に対してもできます。

ただし、被保佐人や被補助人に対してした催告は、期限までに確答がないと取り消されたことになります。法定代理人や能力を回復した後の本人に対する催告は、期限までに確答がない場合には追認したことになります。

2 取消権の喪失

制限行為能力者が相手方に対して行為能力者であるように信じさせるために騙し合場合には、その法律行為は取り消すことができなくなります。たとえば、未成年者が親権者の同意書を偽造して相手方に提示したりしたばあいですね。

3 法定追認

ある一定の行為をすると追認だとみなされる行為があります。ただし、制限行為能力者自身が法定追認にあたる行為をしても法定追認にはなりません。

・全部または一部の履行(お金を支払うなど)

・履行の請求(代金を請求するなど)

・更改

・担保の供与

・権利の全部または一部の譲渡(売買代金債権を第三者に譲渡するなど)

・強制執行

4 取消権の消滅時効

取消権は追認ができるときから5年間で時効によって消滅します。また、法律行為をしてから20年間たっても消滅します。

 

 

| まとめ

 

1 被保佐人より被補助人の方が判断能力があります!

2 制限行為能力者の行為は取り消すことができます!

3 催告権など相手方を保護する制度があります!



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制限行為能力者のポイント1

| 宅建士試験ではここが問われる!

 

今回から○○のポイントシリーズとして、宅建士試験を基準とした内容を書いていきたいと思います。私の忘備録としてのモノですので、悪しからずご了承ください。

宅建士試験の過去問で問われたことが中心になります。その周辺知識についても書く予定です。下線があるところは過去問で問われたところです。

 

 

| 行為能力、権利能力、意思能力

 

制限行為能力者は、行為の結果を合理的に判断する能力がないかまたは不十分なために単独では完全な法律行為ができないと法で決められた人のことです。

1 行為能力

単独で完全に有効な法律行為をすることができる資格を“行為能力”と呼んでいます。制限行為能力者はこの“行為能力”に制限がある人のことです。

2 権利能力

権利や義務を持つことができる資格や地位のことを“権利能力”と呼んでいます。人は生まれながらに“権利能力”を持っています。権利能力がなければ権利義務の主体になれません。生まれる前の胎児にも、(1)不法行為による損害賠償請求、(2)相続、(3)遺贈に関しては、例外的に権利能力を持っています。法人にも“権利能力”があります。

3 意思能力

行為の結果を認識して判断することができる能力を“意思能力”と呼んでいます。高度の精神病や酩酊状態のときは意思能力がないとされていて、このような状態での法律行為は無効です。

 

 

| 未成年、成年被後見人

 

制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4種類があります。

1 未成年者

未成年者は満20歳未満の人のことですね。実は、満20歳未満の人でも結婚すると成年者として扱われます。

未成年者には法定代理人(親権者や後見人)がいて、未成年者の法律行為に同意したり法定代理人が未成年者を代理して法律行為を行ったりします。未成年者が単独でした法律行為は取り消すことができます。

ただし、例外として未成年者が単独でできることがあります。借金の免除をしてもらったり、単なる贈与を受けたりすることです。その他にも、お小遣いを自由に使うことや、営業を許可された場合にはその範囲内で成年者と同一の能力を持つことができます。

2 成年被後見人

成年被後見人は判断能力を欠く常況にある人で、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人です。ポイントは判断能力を“欠く常況”です。つまり、いつも判断能力がないという人です。成年被後見人には成年後見人がいて、成年後見人が成年被後見人を代理して法律行為をします。成年被後見人のした法律行為は取り消すことができます。

ただし、例外として、日曜人の購入などの日常生活に関する法律行為は成年被後見人が単独ですることができます。食料品を買ったり、衣料品を買ったり、公共料金を支払ったりすることができます。

 

 

| まとめ

 

1 宅建士の過去問で民法の整理!

2 行為能力が制限されるのが制限行為能力者!

3 未成年者は結婚すると成年者!



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宅建士試験の受かり方

| 宅建士試験はメリハリが命

 

先日、行政書士試験の合格の方法を書きましたので、本日は宅建士試験について書きたいと思います。

宅建士試験は“宅地建物取引士試験”のことです。立派な国家資格です。合格率は15~17%くらいでしょうか。合格基準点は毎年変わります。おおよそ35点くらいです。7割と思ってもいいのですが、31~37点くらいの幅がありますので、上位15%を目指して勉強されるのをおすすめします。

出題科目は、民法関連が14問、宅建業法が20問、法令上の制限が8問、税・その他が8問です。みなさんお分かりのとおり、宅建業法と民法関連で34問もあります。全部で50問ですから7割弱がこの2分野から出題されます。

そこで、宅建士試験は宅建業法が第1、民法関連が第2。あとの2分野はそれほど時間をかける必要はありません。メリハリをもって勉強すれば合格できる試験です。

 

 

| 宅建業法では8割以上を狙う!

 

宅建業法はやればやるほど点数が伸びる分野です。理屈云々よりも暗記でなんとかなります。というよりも制度趣旨を気にすることなく暗記していくしかありません。

宅建士試験では宅建業法で点数が取れないと合格が難しいと言われています。

 

 

| 民法関連は6割を目指す!

 

民法関連の分野は点数を取りに行くというよりも、取れる問題だけを取るといった感じでしょうか。民法に勉強時間を割くのはもったいないです。民法を根詰めて勉強するくらいなら宅建業法で20点を目指した方が効率はいいです。

民法は勉強しないといけませんし、一通り勉強するだけでも時間がかかります。一通り勉強しても過去問では2~3割しか正解しないかもしれません。民法の内容は幅広いですから、意思表示が得意ならそこは必ず取る、抵当権が得意なら絶対落とさない、保証を理解しやすいならそこに力を入れるなど、一通り勉強した後でご自身の得意な分野を伸ばすイメージがいいと思います。苦手だから頑張る!では民法にばかり時間が食われてしまい、他の分野が手薄になってしまいます。

民法は勉強してもハマらない!ことが大切です。

 

 

| 法令上の制限と税・その他は軽く

 

法令上の制限は不動産になじみがないとイメージが沸きにくいと思います。都市計画とか国土利用計画法などはさっぱり分からないのではないでしょうか。ひたすら数字と内容を覚えることになって苦痛です。制度をまとめて表を作ってしまえば比較しやすくなって覚えやすいかもしれません。

税・その他については税金部分の勉強はした方がいいと思います。出題されるのは所得税、印紙税、登録免許税、不動産取得税、贈与税が主だと思います。住宅ローン控除は試験直前に丸暗記するだけになろうが、税金は勉強した分だけ点数になりますからこちらに時間を割くべきだと思います。

 

 

| アシュラの受験のときは…

 

私アシュラは平成26年度に受験しました。合計点は36点くらいだったと思います。宅建業法はたぶん15点くらい(?)しか取れませんでした。暗記が苦手ですから宅建業法が苦手でした。民法関連は11点くらい、法令上の制限と税・その他はそれぞれ5点ずつくらいだったはずです。

資格試験を受けるときは、私は合格点+1割くらいを目指します。だいたい7割で受かる宅建士試験なら8割を目指します。40点ですね。それ以上取るための勉強はしません。根詰めて勉強するのはしんどいですから…。

勉強のスケジュールは、まず初めにテキストを一通り読みます。分からないところは分からないでそのままにしておきます。期間は宅建士試験でしたらおおよそ1週間くらいでしょうか。

次に、過去問をやります。古い年度から順番に時間をはかって解きます。テキストで勉強したところですから、記憶が鮮明で意外に点数が取れます。

過去問を解いて答え合わせをしたら、過去問で出題されたところを全てテキストにチェックを入れます。全ての肢を全てテキストの説明箇所に赤線を引きました。テキストに書かれていなければ書き込みました。

この作業をすることで数年分の過去問を解いたときには、テキストを2回以上読んだことになります。テキストは過去問の寄せ集め+αですから、10年分の過去問だけでテキストが真っ赤になりました。

試験の情報をテキストに一元化するだけで、どこが過去問で出題されたかが一目瞭然です。試験直前には赤が目立つところを読めば、過去問の総復習ができます。過去問を解きながらテキストを精読して、さらに試験直前の勉強道具まで作ってしまう。このやり方、おすすめです。

私が使ったテキストと過去問は両方ともパーフェクト宅建です。巻頭にある“宅建用語ナビ”は何度も読み返すほどお世話になりました。

 

 

| まとめ

 

1 宅建試験はメリハリをつけて勉強を!

2 宅建業法と民法関連が肝!

3 過去問情報はテキストに一元化!



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