行政書士の業務上横領事件!

| 成年後見人の業務上横領は後を絶たず

 

行政書士による業務上横領事件が大阪で起こりました。この行政書士は成年後見人として3人の高齢者(成年被後見人)の資産を管理していました。資産といっても不動産などの換金性の低いものではなく、主に預金口座だったようです。

成年後見人は、家庭裁判所から選任され、認知症などで判断能力が不十分な方の不動産や預貯金を管理したり、介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだりします。

任意後見人と違うところは、主に(1)成年後見人は法律で規定された事務しかできないこと、(2)代理権だけでなく取消権もあることです。成年後見人は事務の範囲は狭いけれど強力な権限があるのです。

このような権限をもつ成年後見人かつ専門職である行政書士が、高齢者を食い物にしていたのが今回の事件です。横領した金額は6年間で計1000万円とのことです。それだけではなく、行政書士会支部の会費数百万円を着服した疑いがあります。

そんなにお金に困っていたのでしょうか。なぜこのような行為に及んだのかなど詳細は分かりません。1人の成年後見人が起こした横領金額としては高額の部類に入りそうです。

 

 

| 親族でも業務上横領になる?

 

業務として成年後見人になる専門家が、預かったお金を着服すると“業務上”横領になるのは分かりやすいと思います。しかし、専門家ではない親族が成年後見人として財産管理をしている場合にも“業務上”横領になります。

判例(H24.10.9最高裁第二小法廷決定)では養父が成年後見人として保管中の預貯金を引き出して着服した事件では、後見の事務を行っていること自体で“業務上”だと判断しています。

また、親族間での業務上横領は刑罰を免除する規定(刑法255条、244条1項)がありますが、この判例ではたとえ親族であったとしても刑罰を免除しないと判断しています。その理由は、“家庭裁判所から選任された成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているのであるから”(H24.10.9最高裁第二小法廷決定抜粋)だそうです。

成年後見人は被相続人の財産について管理権を有するのみで自由に使えるのではありません。そのため、親族より信頼できるはずの専門家に依頼します。上記のような専門家による事件も起こりますから、専門家であると言うだけで完全な信頼を置くこともできませんが…。

成年後見人による業務上横領事件は、意外なことでも起こりえます。たとえば、僧侶や寺院に支払うお布施や永代供養料があります。これらには決まった金額がありませんから、事前に問い合わせて聞いていた金額と実際に支払う金額が異なる場合があります。

永代供養料が30万円だと聞いていたので成年被後見人の預金口座から30万円を引き出しておいたのに、実際にはお寺は25万円しか受け取らず5万円の返金があった、といった場合などです。このような場合に、成年後見人が成年被後見人の代わりに受け取った5万円をポケットに入れてしまうと業務上横領になります。

親族でも厳しい刑罰が科されることを肝に銘じて、誠実に成年後見人の職務を全うして欲しいと思います。

 

 

| まとめ

 

1 行政書士による業務上横領事件は1000万円以上の被害!

2 成年後見人が親族でも業務上横領になります!

3 お釣りがあったら必ず成年被後見人の預貯金に入金を!



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門真市の子育て支援が第2位!

| 自治体子育てランキング

 

この度、日経BP総研が地方自治体の子育て支援ランキングを発表しました。基準になる軸3つで、“ヒト”、“モノ”、“カネ”です。

“ヒト”軸は、“小児科/産婦人科が多い”“公園が多い”“自治体による出産・育児・子育て支援が充実している”など18項目が対象です。“モノ”軸は、“幼稚園児在園者数”“保育所在所児数”が調査項目です。“カネ”軸は、自治体の予算のうち“児童福祉費”“教育費”が調査項目です。

全国325市区を対象とした調査で、全国1位は東京都千代田区でした。総合スコアは87.9で、2位の東京都羽村市の総合スコア75.7を圧倒しています。

全国の上位を見ますと、東京などの東日本が多く名を連ね、西日本では福井県坂井市が総合スコア67.0で10位、島根県松江市が総合スコア66.4で11位になっています。

この調査は、地方自治体ごとの子育てのしやすさを複数の軸で評価しようとするものです。スコアは偏差値化されてランキングされます。

 

 

| 門真市が堂々の関西2位

 

関西地方に目を向けますと、関西1位が京都市で総合スコア57.8でした。全国順位は32位です。そして、われらが門真市は関西2位!総合スコア57.7で全国34位です。

門真市では幼児教育などの無償化や貧困対策を積極的に進めてきました。その取り組みが評価されたように思います。また、大阪府の事業である“子どもの未来応援ネットワークモデル事業”の“キックオフ大会”が門真はすはな中学校の体育館で実施されました(平成29年9月29日)。

以前の記事“子育てするなら守口市!”や“寝屋川市も子育てしやすい”などで守口市や寝屋川市の子育て支援をご紹介させていただきましたが、ついに門真市も“子育てしやすいまち”と評価されてうれしい限りです。交野市も関西6位(総合スコア53.0、全国72位)で関西トップ10入りを果たしました。おめでとうございます。

今回の調査では、残念ながら守口市や寝屋川市は関西トップ10に入りませんでした。原因としては予算の面で苦戦をしたみたいです。今後の奮起に期待します。

 

 

| まとめ

 

1 自治体子育てランキングは東高西低!

2 関西ランキングでは門真市が2位!交野市が6位!

3 守口市と寝屋川市はランキング外に!



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自宅でお店を開業できる?

| お店を始めるときの注意点

 

お店を始めたい!と思ったときに、まず店舗を借りることをお考えではないでしょうか?店舗を借りて開業するには多くのお金が必要になり、なかなか気軽には実行できません。

そこで、自宅でお店を開くという選択肢はいかがでしょうか?自宅で開業するときにはいくつかの注意点があります。

1 法律上の制限

地域によってはお店を開けない地域があります。たとえば、第1種低層住居専用地域ではいわゆる“お店”は開業できません。

また事務所を設けるにしても第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域では不可能です。

その他にも、カラオケボックスや倉庫業の倉庫、料理店、作業場などはかなり広範囲の住居系地域で開業が禁止されています。

2 場所の確保

どのようなお店をするのかにもよりますが、場所の確保が難しいことがあります。とくに喫茶店などの飲食店を始めたい場合には多くの席数を準備できない可能性があります。

また、住宅街に自宅がある場合には、人通りが少なく集客が難しくなります。チラシやインターネットで広告をするにも、自宅の住所を公開することになるため気にされる方が多いのではないでしょうか。

3 集客方法

自宅が住宅街にある場合には集客が難しくなります。簡単にはお店を知ってもらうことができません。そこで、イベントなどに参加することになります。イベントでのお客さんにチラシやパンフレットを配布すれば口コミが期待できます。

4 税金

登録免許税や不動産取得税などでは軽減措置がありますが、専用住宅だけを対象としているものがあります。住居と店舗を兼用した住宅は対象外になります。

住宅を新築して開業する場合、固定資産税にも注意が必要です。土地の固定資産税は敷地に小規模住宅が建っていると1/6に軽減されますが、住宅だけに使う専用部分は建物の延べ面積の1/2以上でなければ適用されません。

5 周辺住民への気遣い

近隣にお店がると気になる人が多いのが音や匂いです。店の周辺で騒ぐお客さんがいたり、威圧的な人が出入りしたりするのも困ります。車の駐車やバイク・自転車の駐輪が邪魔になることもあるでしょう。お店の業種をもとに出店しても大丈夫なのかをよく考える必要があります。

6 届出や許認可

たとえば飲食店を始めたいときには、保健所の許可や消防署への届出が必要です。手作りのパンやお菓子を作って売りたい場合には菓子製造業の許可を取らなければなりません。

アルコール類や店内調理の食べ物を提供しない場合には喫茶店営業許可の方が取得しやすくなりますが、将来の業務内容を見据えてできることなら飲食店の許可を取られた方がよい場合もあります。どのようなお店を開きたいのかで必要な許可が変わってきますので、専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

| 店舗兼住居に合いやすい業種

 

法律上の制限や席数の確保、集客などを考えますと、自宅でお店を始めるのによいと言われているのが、喫茶店、理・美容室、鍼灸整体、学習塾、事務所などです。

これらは近隣住民に迷惑が掛かりにくく、住宅街の中にあっても比較的楽に集客できる業種です。

そうは言っても簡単に成功するほど甘くないものです。成功する確率を上げるためには、専門家に相談したり行政への事前相談をしたりするのも方法です。町内会長にあいさつするのもよいでしょう。

前述のとおり、飲食店などを開業するには許認可の手続が必要ですからその点もクリアしておく必要があります。

 

 

| まとめ

 

1 業種と場所によっては開業できないことも!

2 集客や税金、周辺住民も気にしてください!

3 業種によっては許可が必要な場合もあります!

4 開業するには事前準備が大切!専門家に相談を!



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連帯保証はなぜ怖い?

| 普通の保証の場合

 

“連帯保証人にはなるな!”と言われます。連帯保証人は普通の保証人と何が違うのでしょうか?

まずは普通の保証から見ていきましょう。以下、すべて借金をした場合を念頭におきます。

債務者が債務を履行しない場合、保証人が債務者に代わって履行することを求められます。つまり、保証人は借主の借金を代わりに支払わなければいけないのです。

支払わなければいけない範囲は、借金自体はもちろん、利息、違約金、損害賠償なども含まれます。

ただし、保証人は債権者に対して先に債務者に借金を請求するように主張することができます。それだけではなく、保証人は、債務者に借金を返すだけの財産があってそこから取り立てることが簡単だと証明して、先に債務者の財産から取り立てることを主張できます。

さらに、保証人が何人かいるときには、保証人同士は債務者の借金の額を頭数で平等に負担します。

 

 

| 連帯保証の場合

 

連帯保証も普通の保証と同じように、債務者が債務を履行しない場合には連帯保証人が債務者に代わって履行することを求められます。ここは普通の保証も連帯保証も違いがありません。

また、支払わなければいけない範囲も普通の保証と同じです。借金自体、利息、違約金、損害賠償などですね。

このあとが普通の保証と連帯保証は異なってきます。

債権者が連帯債務者に借金の返済を請求してきた場合、先に債務者に請求しろとは言えません。債権者は債務者に請求してもいいし連帯保証人に請求してもいいのです。

さらに、債務者にどれだけ財産があったとしても、連帯保証人は債権者から請求されると債務者の借金を支払わなければいけません。債務者の財産から取り立ててくれとは言えないのです。

さらに、連帯保証人が数人いるときでも、1人の連帯保証人が債権者から請求を受けたときは全額を支払わなければいけません。

普通の保証との違いはまだありますが、大きくはこの3点です。

 

 

| 連帯保証の何が怖いの?

 

普通の保証人も連帯保証人も、債務者が借金を支払わなければ債務者の代わりに借金を返さなければいけませんし、保証の範囲も同じです。

連帯保証人になると怖いのが、債権者から債務者へ先に請求させることができなかったり、債務者の財産が十分にあるのに債務者の借金の返済を求められたりするところです。“債務者は金を持ってるんだからそっちから返してもらえ!”という主張が通らないのです。しかも、返さなければいけない金額は債務者の借金の全額です。保証人が何人かいた場合の1人の保証人のように、頭数で割ってくれないのです。

債権者から借金の返済を求められたら否が応でも借金全額を返済しないといけないんですね。怖いです。

もちろん、保証人や連帯保証人が債務者の借金を肩代わりしたら、債務者に肩代わりした金額の返済を請求できます。しかし、債権者が保証人や連帯保証人に借金の返済と求めるということは、債務者に支払う意思がないか、支払う能力がないか、もしくはその両方だからです。債務者に支払う意思があって支払う能力があるのならば、債務者が問題なく返済しますものね。

それでも、普通の保証人ならば先に債務者へ請求するように主張することができます。連帯保証人はそうはいきません。支払う意思がない、支払う能力もないという債務者に対して、肩代わりした借金を返せと言っても払えるわけありません。借金の肩代わりを強制されるだけでなく、その回収もできないことが多いのです。

連帯保証は怖いですね。連帯保証人になるときにはよほど注意しないといけません。お気を付けください。

 

 

| まとめ

 

1 普通の保証人も連帯保証人も肩代わりする範囲は同じ!

2 連帯保証人は債務者にお金があっても請求されたら返済が必要!

3 連帯保証人は債務者の借金の全額を返済!



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宅地建物取引業者の制限

| 8種制限って何があるの?

 

前回“不動産の売買で手付金は必要?”で8種制限と書きましたが、どんなものがあるのでしょうか?私も宅建士試験で勉強したはずなのですがすっかり忘れてしまっていますので、復習にお付き合いください。

8種制限は“不動産屋(宅地建物取引業者)が売主で、一般消費者が買主”の場合に適用される制限です。一般消費者が売主の場合で不動産屋(宅地建物取引業者)が仲介する場合には適用されませんし、不動産業者同士の売買でも適用がありません。

8種制限は言葉のとおり8種類あります。

 

| クーリングオフ

 

クーリングオフは消費者保護の制度でご存知かと思います。宅建業法では、事務所など以外で申込や契約を締結した場合には、8日以内に限って書面で契約を解除できる制度です。

ただし、8日間という期間は“クーリングオフができることを書面で告げられた日”からになります。クーリングオフの書面での通知は義務ではありませんが、現実には契約書に書かれていると思ってください。

また、引渡と代金全額の支払いが終わったときにはクーリングオフはできなくなります。

 

| 自己の所有に属さない物件売買の制限

 

ちょっと言葉がややこしいですね。自己所有に属さない物件というのは、“他人が所有している物件”と“未完成物件”のことです。

民法では他人物売買が認められていますが、不動産屋が売主になって一般消費者が買主になる場合には原則として売買ができないことになっています。

ただし、例外があります。“他人が所有している物件”の場合には、不動産屋が物件所有者と契約(予約を含む)している場合には買主さんと売買することができます。“未完成物件”の場合には、手付金等の保全措置を講じた場合には売買することができます。

 

| 手付金等の保全措置

 

これは前回の“不動産売買で手付金は必要?”に書きました。未完成物件の場合には手付金等が売買代金の5%または1000万円を超えるとき、完成物件の場合には手付金等が売買代金の10%または1000万円を超えるときには手付金等の保全措置を取らなければいけません。

保全措置には、金融機関との保証委託契約、保険会社との保証保険契約、指定保証機関などによる保管があります。

 

| 手付の制限

 

手付金についても前回の“不動産売買で手付金は必要か?”に書きました。手付金の金額が大きくなりすぎると買主さんによる手付放棄が難しくなりますから解除を抑制することになります。買主さんを保護するため、手付金の金額は目的物の代金の20%が上限になっています。

| 損害賠償予定額の制限

 

損害賠償額の予定や違約金の条項は契約違反をしたときに支払う金額をあらかじめ決めておくものです。8種制限では代金の20%が上限になっています。契約で20%を超える金額を定めている場合には20%として扱われます。

 

| 瑕疵担保責任の特約の制限

民法に定められた瑕疵担保責任は免除する特約も有効ですが、8種制限では免除する特約は無効です。さらに民法の瑕疵担保責任よりも買い手に不利な契約は無効になります。

 

| 割賦販売契約の解除の制限

 

割賦販売は分割払いで売買することです。分割払いで支払いが多少遅れた場合でも不動産屋はいきなり解除することができません。30日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、それでも支払いがない場合に限って契約解除や一括返済請求ができるようになります。

 

| 所有権留保の制限

 

所有権留保は代金の支払いが終わるまで売主が買主に登記を移転しないことです。登記が移転していないと、代金が支払われないときに契約を解除して他人に売ることができるので売主に有利です。8種制限では代金の30%の支払いを受けるまでは所有権を留保できますが、30%を超えると登記を移転しなければいけません。

 

以上、8種類の制限を簡単にまとめてみました。一度覚えたつもりでもなかなか身についていないことばかりです。しっかりと頭に叩き込んで業務に活かしたいと思います。

 

| まとめ

 

1 8種制限は不動産屋が売主で一般消費者が買主のときの制限!

2 消費者保護のために不動産屋には多くの制限があります!

3 クーリングオフや割賦販売の解除などは強力な制限!



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