相続したら解約手続きが面倒!?

| 相続をしたときの手続

 

相続をすると様々な手続きをしなければいけません。親族への連絡、通夜や葬儀の段取り、医療費や家賃の清算、ライフラインやNHKの解約、金融機関の名義変更や解約、高額療養費や葬祭代の補助申請、年金関係の請求・返金など、亡くなってから2カ月程度は大忙しです。

それに加えて、遺言書の検認、遺産分割協議、不動産の相続登記など相続自体の手続もたくさんあります。

これらの中で、ひと手間加えて簡単に済めせられる手続があります。それが金融機関の手続です。

 

 

| 金融機関の解約手続は何をするの?

 

必要な手続きや書類は金融機関によって異なりますが、おおよそ次のようになります。

1 死亡したことの通知と口座凍結

日頃から疎遠な相続人がいたり世話人などのまったく知らない第三者がいたりする場合には、口座から現金を引きぬけれるのを防ぐために口座を凍結する必要があるかもしれません。そのときには死亡した旨を金融機関に伝えてください。

相続人が1人のみで口座をしっかりと管理されている場合には、清算手続きの便宜のために手続を後回しにしても大丈夫です。

2 解約請求人と死亡者との関係の証明

死亡したために口座を解約する場合には、解約請求人(相続人代表者)と死亡者との関係を証明する書類が必要です。請求者(相続人代表者)と死亡者の両方が載っている戸籍謄本や法定相続情報一覧図を提出します。

法定相続情報一覧図を利用する場合には、利用の可否を金融機関に確認してください。金融機関の手間が省けますので喜んでもらえるかもしれません。窓口の手続でしたら原本を返してもらえる金融機関もあります。

3 解約手続き書類の入手

解約手続きのための書類を郵送してもらいます。窓口でしたらその場でもらって記入します。

4 解約手続き書類の作成と提出

解約手続きのときには口座に入金されている金額を他の口座に振り込んでもらうことができます。そのために、書類に記入するときには、振込先の金融機関名、支店名、口座番号、名義人名を準備しておくとスムーズです。口座名義は請求人(相続人代表者)と同一でなければいけない場合がありますのでご注意ください。

また、死亡した方の出生から死亡までの戸籍謄本を添付する必要があります。これらを揃えるには手数料が3000~5000円程度かかります。

窓口で手続きをする場合には、振込先の通帳と印鑑を持参することをお勧めします。

5 現金の受け取り、指定口座への振込

窓口で解約手続きをした場合、現金をその場で受け取ることができます。ただ、何百万円、何千万円と預金がある場合には、事前に金融機関に連絡をして現金を持ち帰ることができるか確認してください。

指定口座への振込を希望したり郵送で解約手続きをしたりした場合には、振込になります。このときには振込手数料を負担しなければいけません。

 

 

| 銀行口座がたくさんあるんだけど…

 

資産管理のために金融機関の口座をたくさんお持ちの方もいらっしゃると思います。これらを一つ一つ解約するためには、原則として戸籍謄本の提出が必要です。たとえば、5つの金融機関の口座を解約するためには、戸籍謄本の取得代が2~3万円かかることがあります。金融機関が遠方にあるなどの理由から郵送で手続きをした場合には、戸籍謄本を返却してくれない場合がありますので数万円の費用がかかっていまします。

この費用を抑えるために、法定相続情報証明制度を活用できます。法定相続情報証明制度は不動産の相続登記を促すための制度ですが、相続全般の手続にも使えるようになっています。特に戸籍謄本を返却してくれない場面での口座解約の手続きには威力を発揮します。法定相続情報証明制度の手続の流れはこちらをご参照ください。

法定相続情報証明制度の手続は雛形が用意されていますので、意外に簡単に記入することができます。法務局でも丁寧に教えてもらえますし、もし書類の不備があれば連絡をもらえますので安心です。具体的な手続きはこちら(法務局のサイト)を確認してください。法定相続情報一覧図の雛形はこちら

法定相続情報証明制度 必要書類一覧

 

 

| まとめ

 

1 相続すると手続きがたくさん!

2 銀行の口座解約手続は書類集めが面倒!

3 口座解約手続きには法定相続情報証明制度が使えます!



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相続財産はいらない! 手続編

| 相続放棄のメリット・デメリット

 

前回の“相続財産は要らない!”では、相続放棄のメリットとデメリットを書きました。

【メリット】

1 負債も相続しない

2 自分一人でできる

3 遺産分割手続きに参加しなくてもいい

【デメリット】

1 取り消せない

2 3カ月以内に放棄

3 思い出の財産を守れません

相続放棄をするかどうかはメリットとデメリットをよく考えてから行う必要があります。一度放棄をしてしまうと取り消せませんからご注意ください。

 

 

| 相続放棄の方法

 

1 相続財産の調査

相続放棄をする前に相続財産をしっかりと調査しなければいけません。亡くなられた方の家の中をよく探してください。

預金通帳や金融機関からのお知らせがありましたら、銀行で“残高証明書”を出してもらいましょう。証券会社からの通知がありましたら、連絡をして取引の内容を確認してください。

不動産を調べるには、市役所へ行って固定資産課税台帳を見せてもらってください。市町村ごとに亡くなられた方が所有している土地や建物が分かります。

また、サラ金やカード会社などから支払いのお知らせが届いていないかチェックしてください。家の中に借用書や金銭消費貸借契約書が出てくることもあります。

見つかった書類や取寄せた書類はしっかりと保管しておきましょう。

2 相続放棄申述書の作成・提出

財産を調査して相続放棄をすることに決めましたら、家庭裁判所に“相続放棄申述書”を提出します。このときに必要書類も一緒に提出して費用も支払います。

相続放棄申述書は決まった書式がありますので、家庭裁判所の窓口でもらうか、家庭裁判所のホームページからダウンロードしてください。手に入ったら順に書き込んでいきます。

家庭裁判所のホームページにある記載例を見てください。

相続放棄申述書の書き方1

相続放棄申述書の書き方2

1枚目はスムーズに書けると思います。悩むのは2枚目でしょう。2枚目には“申述の理由”を書く欄があります。“相続を知った日”、“放棄の理由”、“相続財産の概略”の中でも、“相続財産の概略”に悩むのではないでしょうか。あまり悩まずに、相続財産の調査で分かった範囲で書き込めば大丈夫です。

1~2週間で家庭裁判所から確認の連絡がありますので、わかる範囲で答えてください。足りない書類があれば教えてもらえます。

3 相続放棄の必要書類

相続放棄の申述書と一緒に必要書類を提出します。一般的に、亡くなった方の戸籍の附票か住民票の除票、相続放棄をする人の戸籍謄本、亡くなった方の死亡が分かる戸籍謄本が必要です。

場合によっては、亡くなられた方の生まれたときから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要になったり、亡くなられた方の子どもや孫が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要になったりします。

4 相続放棄の費用

相続放棄の申述書と一緒に支払う費用はそれほど高額ではありません。収入印紙が800円分と連絡用の切手が1000円分くらいです。

意外にお金がかかるのは謄本を取得するときです。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円ですので、郵送で取り寄せると定額小為替の発行手数料もかかって5000円以上になってしまうことがあります。この謄本集めに手間がかかりますし抜け落ちがないようにしなければいけませんので、専門家に依頼することをお勧めします。

 

 

| まとめ

 

1 相続放棄はまず財産の調査から!

2 相続放棄の申述書は分かる範囲で!

3 戸籍謄本集めに手間と費用がかかります!



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相続財産はいらない!

| 相続財産の確定方法は3種類

 

亡くなられた方が親御さんであったり、配偶者であったりすると原則として相続人になります。しかし、中には“財産を相続したくない”という方もいらっしゃいます。

たとえば、“負債が多すぎて相続するとマイナスになる”という場合もいれば、“あの人の財産はいらない”という人もいます。

そこで、相続人の意思によって相続を確定させるかどうかを決められるようになっています。

確定させる方法は3種類あります。(1)すべてを相続する方法、(2)負債を相続しない方法、(3)すべてを相続しない方法の3つです。この3つの概略は“相続の方法と相続財産の決まり方”で書きましたので、ご参照ください。

今回は、すべてを相続しない方法について、もう少し掘り下げて書きたいと思います。

 

 

| すべてを相続しない方法

 

全てを相続しない方法は“相続放棄”といいます。相続放棄にはメリットとデメリットがあります。

【メリット】

1 負債も相続しない

相続財産の中から負債を支払えないような場合に全てを相続しないことで、負債も相続せずにすみます。もし、相続してしまうと自分の財産から被相続人の負債を支払わなければなりません。相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになりますので、負債も相続しませんし、その支払いもする必要がありません。

2 自分一人でできる

負債を相続しない方法としては“限定承認”という方法があります。相続財産を確定させる方法の“(2)負債を相続しない方法”がそうです。ところが、限定承認は相続人全員で行わなければいけません。誰か一人でも反対すれば限定承認ができないのです。その点、相続放棄は自分一人でできますので、他の相続人と話し合う必要がありません。

3 遺産分割手続きに参加しなくていい

遺産を相続人で分け合うには遺産分割手続きをしなければいけません。相続放棄をすると初めから相続人ではありませんから、相続人で話し合う遺産分割協議に参加できませんし、する必要もありません。遺産分割協議は意見がまとまらずにトラブルになることがありますので、面倒な手続きに参加しなくてよくなります。

【デメリット】

1 取り消せない

一度相続放棄をしてしまうと、原則として後から取り消すことができません。取消ができるのは、たとえば詐欺や強迫で無理矢理放棄させられたとき、未成年者や成年被後見人が自分一人で放棄をした場合です。後から多くの財産が見つかったというだけでは相続を取り消せないのです。ご注意ください。

2 3カ月以内に放棄

相続放棄は被相続人がなくなったことを知ったり、自分が相続人になったことを知ったりしたときから3か月以内にしなければいけません。

3 思い出の財産を守れません

父母の大切にしていた骨とう品や自分が生まれ育った思い出の家なども、相続放棄をするとすべて受け取れなくなります。自分一人が相続人だったり他の相続人も相続放棄をしたりして相続人がいなくなれば、相続財産は清算されて最終的に国に取られてしまいます。

 

 

| まとめ

 

1 相続放棄にはメリットとデメリットがあります!

2 メリットは大きく3つ!

3 デメリットも大きく3つ!



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相続財産はどこへ行くの?

| 相続人がいないときってどんな手続きが必要?

 

被相続人が亡くなったとき、相続人がいるかどうか分からないことがあります。その場合でも、相続財産を放っておくわけにはいきません。

相続人がいれば相続するかどうか確認をしなければいけませんし、いなければ別の手続を進めなければいけません。いずれにしても、相続財産を管理して清算をしながら相続人を探す必要があります。

1 相続財産管理人を決める

相続人がいるかどうか分からないときは、家庭裁判所が相続財産の管理人を決めます。管理人が決まったらそのことを“公告”します。“広告”ではありません、“公告”です。

公告は、裁判所の掲示板に張り出したり官報に載せたりして一般の人に知らせることです。

 

自由研究などで作成した資料が掲示板に張り出して発表しているイラスト

 

実際、多くの人は裁判所の掲示板や官報をじっくり見るわけではありませんからあまり意味がないのかもしれませんが、これくらいしか方法がありませんから仕方ありません。新聞に載せるという方法もありますけども費用が高くつきそうです。公告の期間は2か月です。家庭裁判所が行います。

2 被相続人の債権者や相続財産の受遺者に知らせる

相続財産管理人が決まった公告で相続人が出てこない場合、次の手続に移ります。

それが、債権者と受遺者探しです。もちろん、債権者や受遺者が分かっているときはそれぞれ個別に請求をするよう知らせます。管理人が把握していない債権者や受遺者のために、ここでも公告をします。期間は2か月です。管理人が行います。

3 相続人探し

今までに2回、計4カ月間公告していますが、それでも相続人が現れない場合はさらに公告します。今度は直接的に相続人探しの公告です。期間は6か月以上で、管理人や検察官の請求で家庭裁判所が行います。

これが最後の公告です。それでも相続人が現れなければ、“相続人がいない”ことに確定します。

この手続きは相続人が“いるかいないか”をハッキリさせるためのものですから、“相続人はいるけれどもどこにいるか分からない”という場合には使えません。不在者や失踪者として別の手続が必要になります。

 

捜索願いが出ている行方不明の女性の写真と「探しています」というメッセージが書かれたポスターのイラスト

 

 

| 相続人がいなければ特別縁故者に!

 

相続人ではないけれど家族同然の人や晩年にお世話をした人がいるかもしれません。例えば、内縁の妻や事実上の養子です。このような人たちは周囲の人から見れば普通の家族ですから、事実上の家族として遺産を渡した方がいいですよね。このような人を“特別縁故者”といいます。

ただ、どんな人が特別縁故者かははっきりとしません。民法には“例えばこんな人・・・”というようにしか書かれていないからです。しかも、特別縁故者かどうかは家庭裁判所が決めます。ですから、“私が特別縁故者だ!”という人は裁判所に申し出なければいけません。

この期間は相続人探しの公告期間が終わってから3か月以内です。特別縁故者でしたら被相続人が亡くなったことも知っていますし、相続人が見つからないこともよく知っているでしょう。前もって準備を始めているのなら、3か月という短い期間でも十分なのでしょうね。

ちなみに、民法や判例で特別縁故者とされている人たちはこのような人です。

1 被相続人と一つの生計で生活していた人

2 被相続人の療養看護などお世話をしていた人

3 30年間、苦楽を共にした事実上の養子(法律上の養子は相続人です)

4 20年間、家事など一切の世話をしていた事実上の養親(法律上の養親は相続人です)

5 被相続人と同居して看護や世話をしているが、経済的には独立している知人

 

お風呂に入っているお爺さんの介護(訪問入浴)をしている、介護士さんのイラスト

 

 

| 特別縁故者もいないときは誰がもらうの?

 

相続人もいないし特別縁故者もいないときは、国が相続財産をもらいます。債権者がいれば相続財産から支払いを受けますし、受遺者がいれば遺贈されます。また、ここでは説明していませんが、不動産などの共有者がいればその共有者に引き継がれます。ですから多額の財産が国に持っていかれるということはそれほど多くないでしょうね。

結局は、次のような順番で相続財産が分配されます。

1 相続人、受遺者

2 特別縁故者

3 共有者

4 国

国に財産を取られるくらいなら誰かに渡した方がいいですよね?相続人のいない方は遺言を書いておきましょう。お世話になった方に少しずつ分けてもいいですし、どこかに寄付をしてもいいですね。ご自身の最後の希望が叶えませんか?

 

おじいさんが、真剣な顔つきで机に向かって遺書(手紙・遺言書)を書いているイラスト

 

 

| まとめ

 

1 管理人が債権者や受遺者、相続人を探します!

2 相続人がいなければ特別縁故者に!

3 特別縁故者もいなければ共有者に!

4 共有者もいなければ国に取られます!

5 相続人がいない方は遺言を書きましょう!

 

 

予定よりも長くなってしまいましたが、今回で相続に関する話は終わりです。次回からは建設業の許可の話を書きたいと思います。今後ともよろしくお願いします。



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相続の方法と相続財産の決まり方

| 相続を確定させる

 

相続人が被相続人から財産を相続するとき、被相続人が亡くなれば当然に相続されるとするのが本来の相続の姿です。でも、“借金だけなら相続したくない”というのが人情ですし、“相続するのは潔しとしない”という方もいらっしゃいます。

そこで、相続人の意思によって相続を確定させるかどうかを決められるようになっています。

ヤクザのような怖い人が借用書を持って、借金の取り立てに来たイラスト

 

| 相続を確定させる方法

 

1 すべて相続する方法

相続開始を知った後に3か月間、何もしなければすべての遺産を相続することになります。これを単純承認といいます。

そのほかにも、相続財産の全部・一部を勝手に処分したときや限定承認・放棄の後に相続財産の全部・一部を隠したり消費したりわざと財産目録に書かなかったときにも単純承認とされます。

単純承認の場合には一般的な相続手続きが進められます。

家、車、お金、宝石、時計などの財産(資産)のイラスト

 

2 負債を相続しない方法

負債の相続する金額の上限をプラスの財産の金額を限度として相続をする方法です。これを限定承認といいます。

抽象的な説明では分かりにくいですね。例えば、相続するプラスの財産が2000万円、マイナスの財産が3000万円あったとします。そのまま相続してしまうと相続する財産はマイナス1000万円になります。つまり相続によって1000万円の負債を負うということです。嫌ですよね?

そこで限定承認をすると、負債の3000万円がプラスの財産の2000万円までしか返済しなくてよいことになります。相続する財産は結局プラスマイナス0です。1000万円の借金を負わずに済みました。

ただし、限定承認をするには手続きが必要です。

(1)家庭裁判所に申し立てる

被相続人の住所地の家庭裁判所に限定承認をすることを申し立てなければなりません。期間は相続開始を知った後3か月以内です。

(2)相続人が数人いる場合

相続人が数人いる場合には全員で限定承認をしなければいけません。一人だけではできないことに注意してください。一人だけ負債を負いたくない場合には次の相続の放棄をします。

シンプルなビルの前に「家庭裁判所(家裁)」の看板が置かれているイラスト

 

3 すべてを相続しない方法

すべての相続財産を相続しない場合には相続の放棄をします。これも相続の開始を知った後3か月以内にしなければなりません。被相続人の住所地の家庭裁判所に相続の放棄を申し立てます。

相続を放棄すると、相続の初めから相続人ではなくなります。また、代襲相続ができなくなることには注意が必要です。

 

| 相続財産が増えたり減ったりする!?

1 相続財産が増えるとき

相続人の中には、被相続人が生きている内に財産を分けてもらった人がいることがあります。この場合にはその財産の額を相続財産に加えます。これを特別受益といいます。特別受益の分は相続分から差し引かれます。

たとえば、被相続人から結婚資金として300万円もらっていたり、生活のために毎月10万円の仕送りを貰っていたりする場合です。ただし、被相続人が経済的に豊かで月10万円の贈与が大した金額ではないと判断されると、特別受益とはされず相続財産に加えられることはありません。結婚資金300万円は特別受益でしょうね。不動産の贈与も特別受益とされる可能性が高いです。

親から届いた茶色い封筒に入ったお金の仕送りのイラスト

 

具体的に計算してみましょう。2000万円の相続財産があるとします。相続人は配偶者と長男と長女です。長女が結婚するとき、結婚資金として300万円を被相続人のへそくりからもらっていました。長男としては自分はもらってないのに長女だけもらっているのでちょっと不満ですよね?このときそれぞれいくら相続するでしょうか?

結婚資金の贈与を受けていないときには、配偶者が1000万円、長男が500万円、長女が500万円になります。

今回の事例では、長女が結婚資金300万円をもらっていますのでこれを相続財産に加えます。つまり、相続財産は2300万円になります。それぞれの相続する金額は、配偶者が2300万円×1/2=1150万円、長男が2300万円×1/2×1/2=575万円、長女が2300万円×1/2×1/2-300万円=275万円。3人の合計金額はちょうど2000万円になりました。

長男の不満も解消して、めでたしめでたしです。

2 相続財産が減るとき

逆に相続財産が減るときがあります。被相続人の事業の手伝いや出資をしていたり、被相続人の療養や看護をしていたりして、被相続人の財産が減ることを防いだり増やしたりしたときには、その分を相続財産から引いて計算します。これを寄与分といいます。寄与分は相続分に加算されます。

こちらも具体的に計算してみましょう。2000万円の相続財産があります。相続人は配偶者と長男と長女です。配偶者は被相続人の看護をして100万円分財産が減るのを防ぎました。長男は被相続人の事業に500万円の資金提供をしました。長女は被相続人の療養に200万円を出しました。このときそれぞれいくら相続するでしょうか?

ベッドに寝ているおじいさんを介護しているイラスト

 

寄与分がない場合は、配偶者1000万円、長男500万円、長女500万円は先ほどの事例と同じです。

今回の事例では、100万円+500万円+200万円=800万円を相続財産から差し引きます。つまり、相続財産は1200万円です。それぞれ相続する金額は、配偶者が1200万円×1/2+100万円=700万円、長男が1200万円×1/2×1/2+500万円=800万円、長女が1200万円×1/2×1/2+200万円=500万円です。3人の合計金額はちょうど2000万円になりました。

 

| まとめ

1 相続の方法には単純承認、限定承認、相続の放棄があります!

2 特別受益を相続財産に加えることがあります!

3 寄与分を相続財産から差し引くことがあります!



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