相続した空き家がなかなか処分できないとお困りの声をよく聞きます。田舎の家をを相続したけどどうしようもない…とあきらめ気味になっています。特に名義が共有になっている場合にはなかなか大変です。
今回は空き家になってしまう理由を考えたいと思います。
| 資金がない?
不動産を所有しながら空き家のまま放置しているのはなぜなのでしょうか。いろいろな理由が考えられますが、お金がかかわる理由が多くなっていました。アンケートの上位5つを見てみます。
1位 何をするにしてもお金がかかる(約35%)
2位 活用したいがどうしたらよいか分からない(約31%)
3位 建物に価値がなさそう(約24%)
4位 老朽化がひどい(約23%)
5位 家具などが置いてあるのでその処分に困っている(約20%)
1位は何をしてもお金がかかるという理由でした。5位の残置物も処理にお金がかかるので、1位の中の1つとも考えられます。たとえば、賃貸住宅として貸したいけれどリフォーム代が高くつくから悩んでいるという方は、空き家バンクに登録してリフォーム代金を補助してもらう方法があります。
3位の建物に価値がなさそうというのは納得です。東京や大阪など大都市の街中であれば古い建物であっても古い町屋として借りたいと考える若い人はいるのでしょうが、人口10万人未満の地方の小都市ではそうもいきません。
2位の活用方法が分からないという方は、売却以外の選択肢を持ち合わせていないとも言えます。賃貸にするのも1つの方法ですし、レンタル倉庫にしたり習い事のお稽古場にして貸したりする方法もあります。近隣の不動産屋に相談してみてはいかがでしょうか。
| 資金の確保の手段
このように、空き家の問題の一つが再生して活用するための資金の調達方法です。地方では人口流出、高齢化や後継者問題などによって空き家が増えていますし、都心部でも職住近接や駅近物件の人気など利便性を求める嗜好の変化によって空き家や空き店舗が増えています。
このような空き家を活用するためには、リフォームやリノベーションをすることで見た目や使い勝手を向上させるだけでなく、耐震性をも補強して再生することが求められています。
実際には、空き家のオーナーが再生のための資金を拠出することができずにそのまま放置されていたりします。また、金融機関から融資を受けようにも老朽化物件の再生では物件の担保価値を算出しにくいためになかなか融資を受けられなかったりします。
このような状況ですから、空き家を再生して活用しようとしても難しい面がありました。そこで、新しい資金調達方法が新設されました。それは、小規模不動産特定共同事業での資金調達方法です。
以前から不動産特定共同事業という政策がありましたが、不動産特定共同事業を営むには認可の要件が厳しかったため、かなりハードルが高い制度になっていました。たとえば、不動産特定共同事業の第1号事業者の資本金は1億円とされています。
そのため、なかなか小規模な空き家を再生させて活用する手段は広がりませんでした。
| 小規模不動産特定共同事業の創設
不動産特定共同事業は小規模の空き家の再生には活用しにくい制度でした。
そこで、要件を緩和した制度が新設されました。その名も“小規模不動産特定共同事業”です。小規模不動産特定共同事業では、資本金は1,000万円ですみますし、認可ではなく届出でよくなりました。
この制度によって不動産業者の日常的な取引に活用することができます。たとえば、次のような場合に小規模不動産特定共同事業を使うことができます。
・空き地を購入して建物を建築した後に売却する場合
・オフィスビルを購入して賃貸する場合
・空き住宅や空き店舗を購入してリフォーム後に賃貸する場合
小規模不動産特定共同事業には、任意組合契約型(第1号)と匿名組合契約型(第2号)の2種類があります。不動産特定共同事業を営むために行政庁への認可申請や届け出をお考えでしたら、行政書士へのご相談をおすすめします。
| まとめ
1 空き家になるのはお金がかかるから?
2 市町村の補助金を使ってリフォームができるかも!?
3 小規模不動産特定共同事業は要件が大幅に緩和!