せっかく頑張って遺言書を書いたのに無効になってしまうと切なくなります。もちろん、書いた方はすでにお亡くなりになられていますので切なくなるかどうかはわかりませんが…。なにはともあれ、遺言が無効にならないようにする方法はないのでしょうか。
| 遺言は無効になる場合は?
遺言も法律行為ですから、無効になったり取り消されたりすることがあります。いくつか例を挙げてみましょう。
1 意思能力がないときは無効
2 満15歳未満の方の遺言は無効
3 公序良俗違反になる遺言は無効
4 錯誤による遺言は無効
5 詐欺による遺言は取り消すことができる
6 遺言の方式に違反したときは無効
7 複数人が1つの遺言書で遺言したときは無効
8 遺言の目的物が存在しない遺言は無効
9 遺言を撤回したとき
10 負担の付いた遺贈で義務を履行しないときの取消
このように遺言にはいくつもの無効原因や取消原因があります。
特に注意してほしいのは、遺言の方式に違反する場合です。自筆証書遺言をワープロで書いていたり日付が令和5年1月吉日になっていたりすると無効になります。
また、認知症になってしまって意思能力がないと認められるときに遺言をしてもその遺言は無効です。だれかに騙されて遺言書を書いたときは取り消すことができます。
ちなみに、遺言書を書いた後に新たに書き直したいときは、以前の遺言書を書き直すのではなく、新しく遺言書を書いてください。以前の遺言書は捨ててしまってもいいですし、そのまま放置しておいても大丈夫です。ただし、古い遺言書と新しい遺言書があることが分かるように同じ場所に保管しておくなどしてください。
不安な時には専門家に相談してください。
| 遺言の効力って?
遺言が有効であれば書かれている通りに遺産が分配されます。特に事情がない限り、相続人は何もしなくても相続します。
ただし、遺言に条件が付けられていた時は別です。この場合には、遺言に書かれた条件が満たされた時に相続します。たとえば“会社を継ぐなら会社の株を全て相続させる”という具合です。
その他にも、相続人に負担を強いてその義務が履行された時に相続させることもできます。たとえば、「妻〇〇と同居をして面倒をみるなら、この家を相続させる」といったものです。
ただし、その義務が相続する利益よりも大きい場合には、相続する利益の範囲内で義務を履行するだけですみます。義務を履行しないときには、他の相続人は遺言の取り消しを家庭裁判所に請求することもできます。
このように、遺言で条件や負担を付けて亡くなった方の意思を実現する方法があります。
| まとめ
1 遺言が無効になる場面は意外に多い!
2 遺言には条件や負担をつけて遺志を実現!
3 負担付の遺贈は義務を履行しなければ取り消される可能性あり!