この数年で少しだけ話題になっている同性パートナーシップ制度をご存じでしょうか。家族の在り方が多様化してきている状況で、市町村などが同性のパートナーも認めようという制度です。
今回は同性パートナーシップ制度と相続について書きたいと思います。
| 同性パートナーシップってなに?
同性パートナーシップ制度は、自治体が同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認めて証明書を発行する制度です。
最初に証明書を発行したのは東京都渋谷区と世田谷区です。2015年11月ということですから、もう7年以上前のことなんですね。
大阪府内でもパートナーシップ制度を採用している自治体があります。
・大阪府
・大阪市
・堺市
・枚方市
・大東市
・交野市
・富田林市
・貝塚市
・茨木市
・池田市
他にも新設されている市町村があるかもしれません。市町村の数がかなり少ないですが、大阪府が証明書を発行していますので市町村が改めて証明書を発行する必要はないのでしょうか。
| 証明書は何に使える?
同性パートナーシップ制度の証明書を取得すると、たとえば家族であることが入居条件になっている大阪府営住宅へ入居の申し込みができるようになります。さらに、生命保険の受取人を同性パートナーに指定することもできるようになってきています。
ただ、多くの条例では同性パートナーシップの証明があれば必ず配偶者と同様に扱うべきだとはされていません。たとえば、渋谷区の条例では「区民及び事業者は、その社会活動の中で、区が行うパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならない。」とか、「 区内の公共的団体等の事業所及び事務所は、業務の遂行に当たっては、区が行うパートナーシップ証明を十分に尊重し、公平かつ適切な対応をしなければならない。」と書かれています。
パートナーシップ証明は「最大限配慮」、「十分に尊重し、公平かつ適正な対応」にとどまっています。
また、大阪府のパートナーシップ制度では利用できる方に制限があります。
(1)両当事者がともに成年に達していること
(2)当事者の少なくともいずれか一方が府民または府内への転入を予定している者
(3)両当事者がともに現に婚姻しておらず、かつ現に当該パートナーシップ関係の相手方以外の者とパートナーシップ関係にないこと
(4)当事者同士が婚姻をすることができないとされる者同士の関係にないこと
最後が分かりにくいですが近親婚の場合などを想定しているのでしょうか。
| 同性パートナーシップと相続
2023年1月現在の民法では同性婚は認められていません。ですから、同性のパートナーは配偶者ではなく、法定相続人にはなれません。
そこで遺言書の登場です。遺言書で遺贈していれば同性のパートナーにも財産を残すことができます。
また、民法には特別縁故者の制度がありますが、かなり限定的な方しか特別縁故者になれませんので使いづらい制度です。
民法で同性パートナーが配偶者として認められるまでは、遺言書で対応していくしかなさそうです。
| まとめ
1 制度を使うと少し優遇される!?
2 大阪では府と9市のみ導入!
3 相続では遺言書で遺贈するしかない!