生前整理では使わない不動産は処分してしまった方が相続人(配偶者やお子さんなど)に面倒をかけなくてよいという話を書きました。不動産を売却するにしても、ぼろぼろの空き家は解体して更地にした方がいいのでしょうか。
今回は、建物解体のメリットとデメリットを書きたいと思います。
| 空き家を解体するメリット
空き家には次のような弊害があるといわれています。
(1)防犯安全
空き家が多くある地域では、地震などでの倒壊で周辺地域に防災安全上の問題が発生しやすくなります。
(2)景観
手入れのされていない空き家は景観がよくありません。
(3)放火の危険
木造住宅では放火の危険性が大きくなります。
空き家を解体すると、これらの弊害を取り除いて安全できれいな街づくりができるようになります。
そのため、行政としてはぼろぼろの空き家を放置したままにはしたくありません。そこで、ぼろぼろの空き家を放置していると、行政から強制執行されたり固定資産税の軽減措置を受けられなくなったりする可能性があります。対象となる空き家は次のような家です。
(1) 1年以上人の出入りがない
(2) 不適切な状態で放置されている
このような空き家は行政から“特定空家等”に指定される可能性があります。特定空家等に指定されると強制執行で建物が壊されたり固定資産税の軽減措置の対象から外れたりしてしまうのです。
では、空き家を解体するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
空き家を解体して更地にすると、老朽化した住宅が建ったままの土地よりも高額でかつスムーズに売却ができる傾向にあります。相続財産の整理をお考えの方は更地にして売却することをおすすめします。
| 空き家を解体するデメリット
(1)固定資産税・都市計画税の軽減措置がなくなる
土地の上の住宅がなくなると固定資産税と都市計画税の軽減措置が受けられなくなります。固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍に跳ね上がります。
(2)解体費用がかかる
空家の解体費用もかかりますし、建物の売却や賃貸もできなくなります。中には、思い出の家がなくなってしまうことに不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
解体費用は地域や立地条件によって異なりますが、おおむね木造住宅で4万円/坪、鉄筋コンクリート造で6万円/坪と言われています。延べ床面積30坪の木造住宅でしたら約120万円かかります。これに加えて、廃材や残置物の産業廃棄物処理費用などがかかってきます。木造住宅の解体には100~200万円の負担を覚悟しなければいけません。
| メリットとデメリットの比較検討
あなたにとってメリットとデメリットのどちらが大きいでしょうか?将来に売却を考えているのでしたら解体費用以上の売却価格の上昇が見込めますし、建物を壊してしまえば放火や倒壊による責任を回避できます。
人が住まなくなって空き家になると急速に家が傷みます。いずれ解体するおつもりでしたら、早めに解体して売却することをおすすめします。
| まとめ
1 解体のメリットは高額でスムーズな売却!
2 解体すると税金が上がる!
3 住まない老朽化した住宅は解体がおすすめ!