成年後見制度をご存じですか?民法に規定されている制度で、認知症、知的障害、精神障害などの理由で、一人で物事を決めることに不安のある方を法的に支援する制度です。
成年後見制度にはいろいろありますが、この度、市町村長から依頼されて親族関係図等を作成する業務を担当できる、行政書士会の内部試験を受験して合格しました。
成年後見制度とは何ぞやを書きながら、どのような試験だったのかを振り返りたいと思います。
| 成年後見制度
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などを理由に一人で物事を決めることに不安がある方を法的にサポートする制度です。
成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度があります。
任意後見制度は、判断能力が十分な時期に誰を後見人とするのかを決める契約を結んでおく制度です。この契約は公証役場で公正証書にします。
法定後見制度は、一定の要件を満たした方が法律に則って後見人を決める制度です。
任意後見制度も法定後見制度も家庭裁判所が後見人を決定しますが、任意後見制度の場合には契約で後見人があらかじめ決められているため、その方が後見人になります。法定後見制度の場合は、弁護士や司法書士などが後見人に指名されます。
具体的には、財産の管理、契約、協議などを後見人がサポートし、判断能力の不十分な人が悪質商法などの不利益な契約を結んでしまわないようにするための制度です。一定の場合には契約を取り消すこともできます。
| 市町村はどんな関係?
上で書きましたとおり、成年後見制度では後見人を選任するのは家庭裁判所です。市町村はどこにも出てきていません。どのような関係なのでしょうか。
市町村が関係してくるのは成年後見の申立をする場面です。老人福祉法32条には、次のように書かれています。
老人福祉法
第五章 雑則
(審判の請求)
第三十二条 市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。
この条文で書かれている条文が成年後見制度に関する条文です。ここで、市町村長は、一定の要件を満たせば成年後見の申立を請求することができると書かれています。
また、知的障害福祉法や精神障害福祉法にも同様の条文があります。
市町村長が成年後見の申立をする場合には、成年後見予定者の親族を調べる必要があります。普通に考えると市町村の職員が親族を調べると思います。親族を調べるには戸籍の取得が必要ですが、市町村は他市町村の戸籍を無料で取得することができます。費用は掛からないし早く調べられるしと良いことづくめのように思えます。
ところが、実際にお年寄りや障碍者と接しているのは福祉部門の方々です。住民課の職員が担当しているのではありません。福祉部門で戸籍を間違いなく取得し、親族関係図を正しく作成するのは難しいのではないでしょうか。
住民課に依頼してもいいでしょうが、様々な事情でそれも難しい市町村もありそうです。
そこで、登場するのが親族調査の専門家である行政書士です。
長くなってきましたので、続きは次回に書きたいと思います。
| まとめ
1 成年後見制度は社会的弱者の支援制度!
2 後見人の選任申立は市町村長もできる!
3 専門部署以外が担当していることも…