毎年、行政書士試験の問題を検討しているのですが、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。
合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。今回も引き続き択一問題を見ていきます。
| 択一式 第16問(行政法)
選択式に引き続いて、択一式の問題も掲載しません。行政書士試験の問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターのサイトにありますので、気になる方は各自ダウンロードしてください。PDFファイルで約570KB程度のサイズです。
第16問は審査請求に関する組み合わせ問題です。
【肢ア】
誤りです。処分の取消しを求める審査請求は、原則として審査請求期間を徒過すればすることができません。処分の無効の確認を求める審査請求は行政不服審査法に規定されていません。処分の無効を争うには、処分の無効確認訴訟を提起する必要があります。
行政不服審査法 第45条
処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2以下、略
行政不服審査法 第46条
処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。
2以下、略
【肢イ】
正しいです。審査請求は、原則として書面でしなければいけません。
行政不服審査法 第19条
審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。
2以下、略
【肢ウ】
正しいです。処分の変更をすることができる場合であっても、審査請求人の不利益になるように処分を変更することはできません(不利益変更の禁止)。
行政不服審査法 第48条
第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
【肢エ】
誤りです。裁決をする場合には、主文、事案の概要、審理関係人の主張の要旨、理由を書かなえればいけません。理由には答申書と異なる内容の裁決をする場合には、異なることになった理由も含まれます。
行政不服審査法 第50条
裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。
一 主文
二 事案の概要
三 審理関係人の主張の要旨
四 理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)
2以下、略
【肢オ】
正しいです。審査請求があったとしても、原則として処分の効力・執行・手続の続行は妨げられません。ただし、審査請求人の申立てまたは職権で処分の効力・執行・手続の全部または一部を停止することができます。このときの申立人は審査請求人のみです。執行停止についてはしっかりと学習しておく必要があります。
行政不服審査法 第25条
1 略
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3以下、略
| まとめ
1 審査請求では処分の無効の主張はダメ!
2 審査請求は原則として書面で!
3 執行停止の申し立ては審査請求人のみ!