11月下旬から12月にかけて申請取次行政書士の講習会に参加したことを書きましたが、新たに入管業務で行政書士が逮捕されたというニュースをみました。大々的に報じられましたからご存じの方も多いかと思います。1件の不正ではここまで大きく報じられないでしょうから、一体何をしたというのでしょうか。
今回は、行政書士が入管業務で逮捕された報道について書きたいと思います。
| 事件の大筋
各社の報道によりますと、東京都の行政書士、中国籍の行政書士補助者、中国籍の飲食店従業員の3人が、中国人の在留資格の変更を不正に行ったとして警視庁に逮捕されました。3人とも容疑を認めているそうです。
飲食店の従業員が中国系のSNSに“在留資格変更ができます”と書かれているのを見て、行政書士事務所に連絡をしたとのことです。海外からSNSに書き込んだのは行政書士の仲間だとされています。
行政書士らは、留学の在留資格だった飲食店従業員の在留資格を、小売業を営んでいる経営者(経営・管理の在留資格)であると虚偽の在留資格変更申請を行った容疑だそうです。
また、行政書士らとは別に、中国籍の主犯格の男がいるそうで、主犯格の中国籍の男は日本での滞在期間を延ばしたい中国人留学生ら81人を対象に在留資格の変更を行って、5000万円程度の収益を得ていたとみられています。
80人もの在留資格や在留期間を不正に変更・更新して、5000万円も荒稼ぎをしていればニュースになりますよね。
| 行政書士の正しい対応
この事件は、日本行政書士会連合会の会長が声明を出しています。内容はありきたりですのでご紹介しませんが、これだけのニュースになれば会長が声明を出さざるを得ないのでしょうか。
今回の事件では行政書士もグルになって不正な虚偽申請をしていたのですが、行政書士が依頼者に騙されるケースもあります。行政書士に依頼する段階で虚偽の情報を持ち込むというケースです。
行政書士は依頼されると正当な理由がなければ断ることができません。しかし、虚偽の申請のおそれがある場合には依頼を断ることができます。
聞いた話によると、許認可の申請や入管関係の申請で嘘の情報を伝えてくる場合があるそうです。申請の要件を満たさないのに、何とかしろ!というケースです。行政手続きのプロである行政書士でもできないことはできません。申請の要件は交渉をして何とかなるものではないのです。
ただし、提出をする代替書類の相談はできる場合があります。必要な書類はないけれども代わりに同じことを証明するいくつかの書類を提出するから何とかならないかというものです。
行政書士は虚偽の申請にならないように神経をとがらせています。正当な申請をして初めて行政手続きのプロと言えます。行政書士への相談は大歓迎ですが、虚偽の申請をゴリ押しすることはご遠慮ください。
| まとめ
1 行政書士が80件以上の不正な申請で逮捕!
2 行政書士は依頼を断ることができる!
3 虚偽の申請の相談はお受けできません!