行政書士には外国人の入国・滞在を手助けする業務があります。外国人や代理人の代わりに入管当局へ出頭したり書類を作成して提出したりします。この業務は入管当局に登録された弁護士か行政書士しか行うことができません。
ただ、行政書士の場合、入管当局に登録されるためには業界内の研修会に参加をして試験に合格しなければいけません。
そこで、入管業務を行うための申請取次研修会について書きたいと思います。内部事情もちらほら出てくるかも…。今回は第17回です。
| 上陸許可基準ってなに?
日本に入国するときには、はじめに上陸審査がなされます。上陸審査を通過して入国審査がなされます。
上陸審査を通過するには4つの要件をクリアしなければいけませんが、その中で分かりにくいのは一定の在留資格で在留しようとする場合には上陸許可基準を満たさなければいけないことです。
そもそも、上陸許可基準はどのような基準なのでしょうか。
難しく言うと、次のようなものとされています。
上陸許可基準とは、“入国・在留する外国人が我が国の経済や国民生活に及ぼす影響等を勘案の上入国管理政策の観点から上陸を許可する外国人の範囲を調整するため、在留資格該当性に加えて、更に適合すべき在留資格に係る上陸条件として定められたもの”とされています(坂中永徳・齋藤利男著「出入国管理及び難民認定法逐条解説(改定第三版)」)。
何を言っているのかわかりませんよね。簡単にすると、日本にとって害悪になる外国人を上陸させないために、在留資格にプラスして日本に上陸するための条件を定めたもののことです。
上陸許可基準は在留資格ごとに細かく定められています。あまりにも分量が多いですのですべてをご紹介することはできません。ここでは一部だけをご紹介します。
| 技術・人文知識・国際業務の上陸許可基準
上陸許可基準は法務省令で定められています。その中から最も多いと思われる在留資格の上陸許可基準を書き出してみます。
法務省令の文言をそのまま抜き出すと正確ではありますが、とてつもなく量が多いですので、かなりかいつまんで書きます。正確ではありませんので、概略を理解していただければと思います。
1 自然科学・人文科学に属する技術や知識を必要とする業務に従事する場合
(1)技術・知識に関連する科目を専攻して大学を卒業したこと
(2)技術・知識に関連する科目を専攻して日本の専修学校を修了したこと
(3)10年以上の実務経験を有すること
2 国際業務に従事する場合
(1)翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾のデザイン・商品開発などに従事すること
(2)3年以上の実務経験を有すること(大卒で翻訳・通訳・語学指導の場合は不要)
3 日本人の報酬と同等額以上の報酬を受けること
上陸許可基準はこの3つです。これらすべてを上陸しようとする外国人が証明しなければいけません。
全ての書類を持参して日本に入国するのは大変ですから、多くの場合、事前に在留資格認定証明書を取得しておきます。これがあれば在留資格に関する部分は証明できることになります。
報酬額についてはどの就労系の在留資格にも入っています。
| まとめ
1 上陸許可基準は在留資格の審査プラスαの審査基準!
2 技術・人文知識・国際業務の上陸許可基準は大きく3つ!
3 報酬要件はどの就労系在留資格の上陸許可基準にも入っている!