行政書士には外国人の入国・滞在を手助けする業務があります。外国人や代理人の代わりに入管当局へ出頭したり書類を作成して提出したりします。この業務は入管当局に登録された弁護士か行政書士しか行うことができません。
ただ、行政書士の場合、入管当局に登録されるためには業界内の研修会に参加をして試験に合格しなければいけません。
そこで、入管業務を行うための申請取次研修会について書きたいと思います。内部事情もちらほら出てくるかも…。今回は第16回です。
| 定住者の告示外定住
前回までは定住者の告示定住について書いてきました。今回は告示外定住について書きたいと思います。
告示外定住は、告示定住のように決められた要件はなく、個々の活動の内容に応じて入国や在留を認めるものです。特別な事情を考慮して入国や在留を認められる場合もあります。
主な事例は次のようなものです。
1 日本人、永住者、特別永住者である配偶者と離婚した後、引き続き日本に在留することを希望している場合
2 日本人、永住者、特別永住者である配偶者が死亡した後、引き続き日本に在留を希望している場合
3 日本人の実子を監護または養育する場合
4 日本人、永住者、特別永住者との婚姻関係が事実上破綻した後、引き続き在留を希望している場合
5 家族滞在の在留資格で日本に在留しており、日本の小学校・中学校・高等学校を卒業した後に日本で就職をする場合
告示外定住は在留資格認定証明書の対象外になっています。ですから、日本で在留資格認定を受けることができず、在外公館で告示外の定住者などに対応している査証の発給を受ける必要があります。
もう一つの手段としては、短期滞在の査証の発給を受けて来日し、在留資格を短期滞在から告示外の定住者へ変更許可申請を行う方法があります。
| 入国審査で行う上陸審査
入国審査のときにはまず上陸審査がなされます。上陸審査では、次の4つの要件に適合するかどうかが審査されます。
1 外国人が所持する旅券、査証が必要な場合は査証が有効であること
2 日本で行おうとする活動が虚偽のものではなく、在留資格に該当すること、別表第一の二の表および四の表の下欄に掲げる活動を行おうとするものについては上陸許可基準に適合すること
3 在留期間が法務省令の規定に適合していること
4 上陸拒否事由に該当しないこと
旅券(パスポート)と査証のチェック、在留期間のチェック、上陸拒否事由のチェックは分かりやすいですが、在留許可基準への適合のチェックは分かりにくいですね。
上陸許可基準の適合性がチェックされるのは、次の在留資格で日本に在留しようとする場合です。
1 高度専門職
2 経営・管理
3 法律・会計業務
4 医療
5 研究
6 教育
7 技術・人文知識・国際業務
8 企業内転勤
9 介護
10 興行
11 技能
12 特定技能
13 技能実習
14 留学
15 研修
16 家族滞在
上陸許可基準については次回以降に書きたいと思います。
| まとめ
1 告示外定住は特別な事情がある場合に個々に審査!
2 上陸審査は4つの基準をチェック!
3 ほとんどの在留資格で上陸許可基準の適合性をチェック!