行政書士には外国人の入国・滞在を手助けする業務があります。外国人や代理人の代わりに入管当局へ出頭したり書類を作成して提出したりします。この業務は入管当局に登録された弁護士か行政書士しか行うことができません。
ただ、行政書士の場合、入管当局に登録されるためには業界内の研修会に参加をして試験に合格しなければいけません。
そこで、入管業務を行うための申請取次研修会について書きたいと思います。内部事情もちらほら出てくるかも…。今回は第6回です。
| 高度専門職の優遇制度
前回の記事“【申請取次】申請取次研修会に参加! ~その5~”で高度専門職の優遇制度のうち、永住許可要件の緩和について書きました。
今回は、そのほかの2つの緩和である親の帯同要件の緩和と家事使用人の帯同要件の緩和について書きたいと思います。
| 親の帯同要件の緩和
2021年10月現在のところ、就労系の在留資格では親の帯同は原則として認められていません。ところが、高度専門職の在留資格を有していればご自身の親だけでなく配偶者の親の入国や在留が認められています。
親の帯同が認められるのは次のどちらかのケースのみです。
1 高度人材外国人またはその配偶者の7歳未満の子を養育する場合
2 妊娠中の高度人材外国人本人または高度人材外国人の妊娠中の配偶者の介助などを行う場合
これらの場合には、次のすべての要件を満たせば親の帯同が認められるケースがあります。
1 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上であること
2 高度人材外国人と同居すること
3 高度人材外国人またはその配偶者のどちらかの親であること
要件はかなり厳しいですが、原則として認められない親の帯同が認められるのは大きな優遇になっていると思います。
| 家事使用人の帯同要件の緩和
家事使用人の雇用は一定の在留資格を持つ外国人にしか認められていません。たとえば、経営・管理や法律・会計業務などです。ところが、高度専門職の在留資格を有していれば一定の条件を満たした場合に限り、外国人の家事使用人を帯同することが認められています。
1 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合(入国帯同型)
(1)高度人材外国人の世帯年収が1,000万円以上であること
(2)帯同する家事使用人が1名であること
(3)家事使用人の報酬が月額20万円以上であること(予定)
(4)高度人材外国人と共に入国する場合、1年以上前から雇用されている者であること
(5)高度人材外国人が先に入国する場合、1年以上前から雇用されており、高度人材外国人が日本へ入国した後も引き続いて高度人材外国人または高度人材外国人と同居していた親族に雇用されている者であること
(6)高度人材外国人が日本から出国する場合、共に出国することが予定されていること
2 1以外の家事使用人を雇用する場合(家庭事情型)
(1)高度人材外国人の世帯年収が1,000万円以上であること
(2)帯同する家事使用人が1名であること
(3)家事使用人の報酬が月額20万円以上であること(予定)
(4)申請時点で、13歳未満の子または病気等によりに事情の家事ができない配偶者がいること
親の帯同よりも条件は厳しくなっています。特に世帯年収の要件が800万円から1,000万円に上がっています。生活費は別にして親には報酬を支払う必要はありませんが、家事使用人には年額240万円以上の報酬を支払う予定であることから、このように条件が厳しくなったのだと思います。
| まとめ
1 高度専門職では親の帯同が許される!?
2 高度専門職では家事使用人の帯同も許される!?
3 世帯年収が800万円または1,000万円以上必要!