新型コロナウィルス感染症の影響で海外から外国人を招聘するのが厳しい状況が続いています。そうはいっても、このままの状態がずっと続くわけではありません。今は厳しい外国人の入国も時期が来れば緩和されると思われます。そこで、そのときに備えて外国人の入国の準備をしておいてはいかがでしょうか。
今回は、外国人を招聘するときに必要になる手続きについて書きたいと思います。
| 在留資格認定証明書ってなに?
以前の記事“在留資格認定証明書の有効期間の更なる延長措置”でも書きましたが、もう一度繰り返して確認したいと思います。
在留資格認定証明書は、日本に入国するために必要になる在留資格を事前に認定してもらって発行してもらう証明書です。
原則的としては、母国にある日本の在外公館(日本大使館など)でビザ(在留資格と査証)の申請をして、査証を発給してもらってから日本に入国します。ただ、このような方法では、ビザが発給されるかどうかわかりませんし、時間も6か月以上かかったりします。
そこで、日本に働きに来る方など、日本で受け入れ先が決まっている方は、ビザ(査証)の発給前に、日本で受け入れ先の機関が在留資格を取得することができるようになっています。在留資格認定証明書が発行されると、日本から母国に認定証明書を郵送してもらい、それをもって母国にある日本の在外公館(日本大使館など)へビザ(査証)の申請をすると、短期間でビザ(査証)を発給してもらえます。とても便利ですね。
この在留資格認定証明書には有効期間があって、通常は3か月です。その期間に日本へ入国しなければいけません。
| 在留資格認定証明書の交付申請の必要書類
在留資格認定証明書は日本での受け入れ先の機関が招聘する外国人の在留資格を取得します。いくつかの書類を提出すればOKです。ただし、在留資格を得られるかどうかは別の問題です。
在留資格認定証明書の交付申請には次の書類を提出します。
1 日本での活動内容に応じた資料
2 在留資格認定証明書交付申請書
3 身元保証書
4 (興行の場合)申立書
5 (場合によっては)外国人患者に係る受入れ証明書
大きくはこの4つないし5つです。この中で難しいのは、“日本での活動内容に応じた資料”です。大企業の場合にはそれほど難しくはありません。基本的に決まった書類を提出するだけです。中小企業の場合は資料を集めるのに手間と時間がかかります。
1つずつ見ていきましょう。在留資格は多いと思われる技術・人文知識・国際業務を念頭に置いています。
| 日本での活動内容に応じた資料
日本での活動内容に応じた資料は、企業の規模に応じて4つに分けられています。
1 上場企業、地方公共団体など
2 源泉徴収額が1,000万円以上ある企業
3 源泉徴収額が1,000万円未満で法定調書合計表を提出した企業
4 上記以外の企業
このうち1と2、3と4の提出資料はそれぞれほぼ同じです。1と2は少し違いますし、3と4では4の方が提出資料は多いです。順番に見ていきます。
“1 上場企業、地方公共団体など”、“2 源泉徴収額が1,000万円以上ある企業”の場合
(1)在留資格認定証明書交付申請書(1通)
(2)招聘する外国人の写真(縦4㎝×横3㎝)(1葉)
(3)返信用封筒(404円分の切手を貼付(1通)
(4)四季報の写しなど(1の場合)、法定調書合計表の写し(受付印のあるもの)など(2の場合)
(5)専門学校を卒業して専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士または高度専門士の照合を付与されたことを証明する文書(1通)
(6)派遣契約に基づいて就労する場合、派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書など)(1通)
これだけですのでかなり書類集めが楽です。大きな企業の場合にはご自身で申請をされることが多いのも頷けます。
“3 源泉徴収額が1,000万円未満で法定調書合計表を提出した企業”、“4 上記以外の企業”
(1)在留資格認定証明書交付申請書(1通)
(2)招聘する外国人の写真(縦4㎝×横3㎝)(1葉)
(3)返信用封筒(404円分の切手を貼付(1通)
(4)(3の場合)法定証書合計表の写し(受付印のあるもの)
(5)専門学校を卒業して専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士または高度専門士の照合を付与されたことを証明する文書(1通)
(6)派遣契約に基づいて就労する場合、派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書など)(1通)
(7)次の3つのうちのいずれかの資料
(あ)労働契約を締結する場合、労働条件を明示する資料(1通)
(い日本法人の会社役員に就任する場合、定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録の写し(1通)
(う)外国法人の日本支店に転勤する場合や会社以外の団体の役員に就任する場合、担当業務や期間、報酬額を明らかにする所属団体の発行する文書(1通)
(8)招聘する外国人の学歴や職歴、その他の経歴を証明する文書
(あ)職務に従事した機関、内容、期間を明示した文書
(い)学歴または職歴などを証明する次のいずれかの文書
・大学などの卒業証明書など(1通)
・在職証明書などで、関連業務に従事した期間を証明する文書(1通)
・IT技術者については、情報処理技術の合格証明書または資格証明書(専門士または高度専門士の証明を提出している場合は不要)
・外国文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合、関連業務に3年以上従事したことを証明する文書(1通)
(9)登記事項証明書(1通)
(10)事業の内容を明らかにする次のいずれかの資料
(あ)勤務先などの沿革、役員、組織、事業内容などが詳細に記載された案内書(1通)
(い)その他の勤務先などが作成した上記文書に類する文書(1通)
(11)直近の年度の決算文書の写し(1通)
(12)(4の場合)法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(あ)源泉徴収の免除を受ける機関の場合、免除証明書など(1通
(い)給与支払い事務所などの開設届出書の写し(1通)
(う)直近3カ月分の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)(1通)
(え)納期の特例を受けている場合は、証人を受けていることが明らかになる書類の写し(1通)
以上になります。3と4は書類集めがかなり大変です。特に4は提出書類が多くなっています。このような場合は、行政書士などに依頼した方がよいかもしれません。
長くなりましたので、続きは次回以降に書きたいと思います。
| まとめ
1 在留資格認定証明書で簡易・迅速なビザ発給!
2 企業の規模によって提出書類が違う!
3 中小企業の申請は提出書類が多い!