法定相続情報証明制度、聞いたことがありますか?相続の手続きを経験したことがある方なら、もしかすると知っておられるかもしれません。法定相続情報証明制度は、一定の書類を登記所に提出すると認証文付きの書類がもらえて、銀行口座の解約や相続税の申告などに使えます。
今回も引き続き便利な法定相続情報証明制度について書きたいと思います。今回は申請書への記入についてです。
| 法定相続情報証明制度の流れ
法定相続情報証明制度を利用するための手続の流れは前回の記事で少し書きました。今回は、申請書の書き方について書いていきます。
1 必要書類の収集
(1)亡くなられた方の戸籍謄本と除籍謄本
(2)亡くなられた方の住民票の除票または戸籍の附票
(3)相続人の戸籍謄本または抄本
(4)申出人の身分証明書
(5)相続人の住民票の写し
(6)委任状
2 法定相続情報一覧図の作成
3 申出書の記入
申出書の記入は難しくありません。住民票や戸籍の写しを取得するときの申請書と同じような感じです。ただし、注意点がいくつかあります。申出書は法務局のサイトにひな形があります。
記入することは9つです。
(1)申出年月日
申出をする年月日を書きます。登記所の窓口へ持参して提出する場合は、窓口で記入してもOKです。郵送で提出する場合は記入しなくてもかまいません。登記所に届いた日が申出年月日として取り扱われます。
(2)被相続人の表示
亡くなられた方の情報を記入します。
・氏名
戸籍謄本に書かれているとおりに記入します。戸籍謄本、法定相続情報一覧図、申出書に書いてある亡くなられた方の氏名は同じになります。
・最後の住所
除籍謄本に書かれているとおりに記入します。こちらも除籍謄本、法定相続情報一覧図、申出書に書いてある最後の住所は同じになります。
・生年月日
戸籍謄本に書かれているとおりに記入します。
・死亡年月日
除籍謄本に書かれているとおりに記入します。
(3)申出人の表示
申出人の情報を記入します。
・住所
住民票に書かれているとおりに記入します。
・氏名
住民票に書かれているとおりに記入します。
・連絡先
家の電話でも携帯番号でもかまいません。日中に連絡の取れる電話番号を書いてください。
・被相続人との続柄
夫、妻、子、長男、長女などと記入します。
(4)代理人の表示
代理人に申出書を提出してもらうときに記入します。
・住所(事務所)
住所を記入します。代理人が親族の場合は戸籍謄本に書かれているとおりに記入します。代理人が専門家の場合は事務所の住所を記入します。所属団体の身分証明書と同じように書きます。
・氏名
代理人が親族の場合は戸籍謄本に書かれているとおりに記入します。代理人が専門家の場合は所属団体の身分証明書に書かれているとおりに記入します。
・連絡先
固定電話でも携帯電話でもOKです。日中に連絡の取れる電話番号を記入します。
・申出人との関係
“法定代理人”か“委任による代理人”かを選んでチェックをします。法定代理人は未成年者の親権者などをいい、制限行為能力者の法定代理人のことです。委任による代理人は、申請者ではない親族や専門家による代理の場合です。
(5)利用目的
次の中から必要なものの全てにチェックを入れます。複数にチェックを入れてもOKです。
・不動産登記
不動産を相続して登記をするときに利用する予定の場合にチェックを入れます。
・預貯金の払戻し
亡くなられた方の名義になっている預金や貯金を引き出すときに利用する場合にチェックを入れます。
・相続税の申告
相続税の申告に利用する場合にチェックを入れます。相続税の申告で利用する場合には、法定相続情報一覧図の“続柄”や“住所”の記入に注意してください。
・年金等手続
亡くなられた方の年金手続に利用する場合にチェックを入れます。
・その他
上の利用目的以外に利用する場合に記入します。何に使う予定なのかを記入するための( )がありますので、具体的に記入します。たとえば、“株式の相続手続”というように書きます。“相続手続”だけではダメです。
(6)必要な写しの通数・交付方法
法定相続情報一覧図の写しが必要な通数を書きます。思いもよらないところで利用できたりしますので、必要な枚数の2倍くらいをもらっておくことをおすすめします。交付方法は“窓口で受取”と“郵送”を選んでチェックを入れます。郵送の場合は返信用の封筒と郵便切手が必要です。窓口での受取の場合には受け取り時に申出人の身分証明書や戸籍謄本、住民票などを持参します。
(7)被相続人名義の不動産の有無
亡くなられた方の名義の不動産がある場合には“有”、ない場合には“無”にチェックを入れます。“有”にチェックを入れた場合には不動産の所在地または不動産番号を記入します。不動産が複数ある場合には、そのうちの1つだけを記入すればOKです。ただし、下で説明する申出先の登記所で“被相続人名義の不動産の所在地”を選択した場合には、その登記所が管轄する地域の不動産の所在地を記入しなければいけません。
(8)申出先登記所の種別
“被相続人の本籍地”、“被相続人の最後の住所地”、“申出人の住所地”、“被相続人名義の不動産の所在地”のどれかにチェックを入れます。これ以外の登記所に申し出ることはできません。郵送で受け取る場合には大きな問題はありませんが、窓口で受け取る場合には受け取りに行きやすい登記所を選択することをおすすめします。
(9)法務局、支局・出張所名
申出先登記所の名称を記入します。たとえば、大阪府枚方市に在住している申出人が、申出先登記所で“申出人の住所地”を選択した場合、申請先登記所は“大阪”地方法務局“枚方”出張所になります。分からない場合は法務局のサイトで探すことができます。
4 登記所へ提出
5 法定相続情報一覧図の受け取り
今回も長くなりましたので、4登記所へ提出以降は次回に書きたいと思います。
| まとめ
1 交付の通数は多めに申請することをおすすめ!
2 不動産を相続する場合には記入に注意が必要!
3 法務局、支局・出張署名は法務局のサイトで調査!