2020年4月1日に民法が大きく改正されました。宅建士(宅地建物取引士)試験を受験しようと思っている方は、元々勉強がしづらい民法が改正されて不安に思われているのではないでしょうか。
今回から民法の改正されたところのうち、宅建士試験でよく問われるだろうと思われるところを、アシュラの独断と偏見で書きたいと思います。
| 民法の主な改正点
改正されたところは主に契約関係です。相続関係も改正されています。従来の判例や通説を明文化したパターンと争いのあった条項の解釈を明文化したパターンの2つがあります。
宅建士試験対策としては、判例・通説を明文化したパターンは今までの知識が活かせますので大した問題はありません。ところが争いのあった解釈を明文化したパターンは新たに知識を仕入れなければいけませんから大変ですね。
契約関係に限れば、主な改正箇所は次の9つです。
1 消滅時効
2 解除
3 危険負担
4 契約不適合責任
5 賃貸借契約
6 法定利率
7 保証
8 債権譲渡
9 約款
これらのうちで宅建士試験でよく出題されそうなところは、消滅時効、解除、危険負担、契約不適合責任、賃貸借契約、保証でしょうか。特に契約不適合責任は怖いですね。
| 消滅時効の改正点
消滅時効は、権利を行使しないまま一定期間が経過した場合にその権利を消滅させる制度です。
期間については、従来は(1)原則、(2)職業別の短期消滅時効、(3)商事債権などと分かれていましたが、全てひとまとめにして1つになりました。
1 知った時から5年
2 権利行使ができる時から10年
同じように、生命・身体への侵害に対する損害賠償請求権についても変更されています。一般の不法行為や債務不履行に基づく損害賠償請求権に特則が設けられて、次のようになりました。
1 知った時から5年(債務不履行と同じ)
2 権利行使ができる時から20年(不法行為と同じ)
また、時効の中断・停止も見直されて、用語の変更がありました。
1 更新:新たに時効が進行すること
2 完成猶予:時効の完成が猶予されること
たとえば、債務の承認の場合には承認があると新たに時効が進行しますが、これを“更新”と呼ぶことになります。債務の承認があると時効が更新するということになります。
また、裁判上の請求があった場合は、時効期間満了時から裁判が確定するまで時効の完成が猶予され、裁判確定後に新たな時効が進行しますが、これらは“時効期間満了時に完成猶予”され、“裁判確定時に更新”すると言うことになります。
さらに催告の場合には、時効期間満了時から裁判確定時まで完成猶予され、裁判確定後に時効が更新されることになります。
なんとなくイメージがつかめたでしょうか。
今回はここまでにしたいと思います。
| まとめ
1 改正民法は債権法が中心!
2 消滅時効は期間が統一化!
3 完成猶予、更新に用語変更!