駐車場を経営されている方の頭を悩ます問題は、ゴミの不法投棄と無断駐車が2大トラブルではないでしょうか。いつも不法投棄や無断駐車がある場合、駐車場に不法投棄や無断駐車を禁じる張り紙をしていても大きな効果がないかもしれません。
不法投棄はゴミを処分すればいいだけですが、無断駐車の場合には勝手に車を移動させることはできませんので、契約者との関係もあって大きな問題になってしまいます。
今回は、無断駐車について書きたいと思います。
| 無断駐車と違法駐車は違う?
無断駐車は契約などの権原なく他人の私有地に駐車することです。違法駐車は主に法律で禁じられている路上に駐車することです。
道路交通法によりますと、駐車とは“自動車が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障、その他の理由により継続的に停止すること”、“自動車等が停止し、かつ運転をする人がその自動車等を離れて直ちに運転することができない状態”とされています。
路上に違法駐車をすると6,000~25,000円の反則金が科せられますし、場合によると車庫法違反で3か月以下の懲役または20万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
それに対して無断駐車には原則として罰則はありません。無断駐車が住居侵入罪に該当する場合には3年以下の懲役または10万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
住居侵入罪が成立するためには、土地が住居に接していてその周辺に存在し、かつ管理者が外部との境界に門塀などを設置して、住居の付属地として住居利用のために使用していることが明示されている必要があります。
個人宅の駐車場に無断駐車された場合には住居侵入罪が成立する可能性がありますが、月極駐車場の場合には住居侵入罪は成立しない可能性が高いと思われます。
| 無断駐車への対応方法は?
無断駐車はどうすればなくすことができるのでしょうか。なくすことはできなくても減らしたいと思う駐車場経営者は多いと思います。どうすればいいのでしょうか。
1 駐車場に損害賠償をする旨の警告文を掲示
契約者以外の無断駐車に対して損害賠償をすることを明示する警告文を掲示してみてください。対して効果はないかもしれませんが、運転手に月極駐車場であることを分かってもらうとともに、良心に不法であることを訴えることができます。“罰金◯◯万円”と書くよりも“実費を含めた損害賠償”と書いた方が効果があるかもしれません。
2 無断駐車を発見したら警察に通報
無断駐車を発見したら警察に通報する方法があります。ただし、警察は月極駐車場のような住居侵入罪の可能性が低いケースでは解決してくれません。民事不介入を建前に取りあってくれない可能性が高いです。対応してくれたとしても、ナンバープレートから所有者を割り出して注意をしてくれる程度だと思います。
3 無断駐車車両に警告文を掲示
無断駐車車両に警告文を掲示します。粘着テープで貼り付けると車に傷をつける可能性がありますので、ワイパーに挟むようにしてください。
4 写真を撮影
無断駐車車両の所有者を特定するための手続きで使う写真を撮影して、日時をメモしてください。無断駐車を発見した翌日にもまだ駐車しているようでしたら、毎日撮影をします。写真は、駐車場全体を見渡せる写真、無断駐車車両の前か後ろのナンバープレートが識別できる写真、車の車種が分かる写真など複数枚撮影しておくと安心です。
大阪府では所有者を特定するための手続きで下のような書類を作成して提出します。参考にしてください。
| まとめ
1 私有地に放置すれば無断駐車!
2 無断駐車禁止の看板は有効!?
3 警告文と写真撮影で請求の準備を!