行政書士試験の振り返り 問題43

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)でした。

合格された方、おめでとうございます!登録をして行政書士としてがんばろう!と思われる方もいらっしゃると思います。よろしくお願いします。

惜しくも不合格の方、お疲れ様でした。2021年の試験も受験しようと思われる方は、どうぞこのブログの試験問題検討ページをご覧になってください。試験合格にお役に立てると嬉しいです。

さて、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式と択一式の法令が終わりましたので、選択式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。今回は引き続き選択式の行政法です。

 

 

| 問題43の概要

 

普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰に関する問題です。最一小判H31.2.14の最新判例が題材になっています。論点は2つあります。

(1)普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の司法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否の判断方法

「当該措置が議会の内部規律の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきである。」

(2)市議会の議会運営委員会による議員に対する厳重注意処分の決定が違法な公権力の行使にあたるか

問題43では、(2)の厳重注意処分の決定が違法な公権力の行使にあたるかの部分が書かれています。

 

 

| 空欄ア 正解番号:11

 

さっそく問題文を読んでいきます。

被上告人(議員)は、議会運営委員会から厳重注意処分の決定を受け、市議会議長が公表しました。このことによって名誉が毀損され精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対して損害賠償請求をしています。

問題文では、空欄アの侵害を理由とする国家賠償請求だとされていますので、空欄アには権利など侵害されるものが入ると予想されます。

選択肢を見て絞ってみましょう。

“1 公法上の地位”、“2 一般市民法秩序”、“4 既得権”、“5 地方自治の本旨”、“6 知る権利”、“10 議会の内部規律”、“11 私法上の権利利益”、“15 権力分立原理”、“17 自己情報コントロール権”、“20 司法権”のいずれかが入りそうです。ただ、これではほとんど絞れていませんね。

選択肢を絞るために問題文をもう少し読み進めます。

「性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、(中略)適法というべきである」と書かれています。本案審理すべきか却下すべきかという訴えの入り口の問題、つまり法律上の争訟にあたるかどうかを判断しています。

憲法の範囲になりますが、法律上の争訟の要件を思い出してみましょう。法律上の争訟であるとされるためには、次の2つの要件を両方とも満たさなければいけません。

(1)当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争

(2)法律を適用することにより終局的に解決することができる

法律上の争訟になるには具体的な権利義務・法律関係の紛争でなければいけませんから、抽象的である“2 一般市民法秩序”、“4 既得権”、“5 地方自治の本旨”、“15 権力分立原理”は除外されます。

また、法律の適用によって終局的に解決できなければいけません。“10 議会の内部規律”、“20 司法権”は、自律権の範囲内であれば法律の適用によって終局的に解決できませんから除外します。

残りは“6 知る権利”、“11 私法上の権利利益”、“17 自己情報コントロール権”です。

“6 知る権利”や“17 自己情報コントロール権”は、本問では表現の自由が問題になっているかどうか分かりませんから選択できません。

したがって、空欄アには“11 私法上の権利利益”が入ります。

 

| 空欄イ 正解番号:18

 

空欄イでは、「本件訴えは、裁判所法3条1項にいう空欄イに当たり、適法というべきである」と書かれています。

これは、空欄アで何度も書いたとおり“18 法律上の争訟”が入ります。

行政法の問題ですが、憲法で勉強する“法律上の争訟”を知っていなければどうしようもない問題です。“7 制度改革訴訟”、“13 公法上の当事者訴訟”、“19 抗告訴訟”などの訴訟の分類は入りません。

 

 

| 空欄ウ 正解番号:5

 

空欄ウでは、「普通地方公共団体の議会は、憲法の定める空欄ウに基づき自律的な法規範を有する」と書かれています。

選択肢の中から憲法に定められている原理・原則を選んでみます。“3 直接民主制”、“5 地方自治の本旨”、“15 権力分立原理”、“20 司法権”がありました。

地方議会の自律的な法規範を導くための原理・原則ですので、“3 直接民主制”や“20 司法権”は入りません。

残りは“5 地方自治の本旨”か“15 権力分立原理”です。“15 権力分立原理”は立法権、行政権、司法権の調整原理ですので、地方議会の自律的な法規範を導く言葉にはそぐいません。

したがって、空欄ウには“5 地方自治の本旨”が入ります。

“法規範”との言葉に引っ張られて“8 行政立法”、“9 立法裁量”、“20 司法権”などを選ばないようにしましょう。

 

 

| 空欄エ 正解番号:10

 

空欄エでは、地方議会には自律権があるので「議会の議員に対する懲罰その他の措置については、空欄エの問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である」とされています。

文脈から考えると、空欄エには“組織の内部”のような言葉が入ると思われます。選択肢を見てみますと、“10 議会の内部規律”との言葉があります。その他には適当な言葉がありません。

したがって、空欄エには“10 議会の内部規律”が入ります。

“◯◯の問題にとどまる限り”との言い回しだからといって、“2 一般市民法秩序”、“16 当不当”などを選ばないようにしましょう。

 

 

| まとめ

 

1 行政法でも憲法の知識が必要!?

2 法律上の争訟は訴訟関係の問題では必須の知識!

3 問題文の一部の言葉に惑わされないように!



ブログランキングに参加しています。ボタンをクリックしていただけると更新の励みになります。右のサイドバーからもぜひ!(スマホの方は下部のバナーから!)


にほんブログ村 企業ブログへ