行政書士試験の振り返り 問題37・38

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)でした。

合格された方、おめでとうございます!登録をして行政書士としてがんばろう!と思われる方もいらっしゃると思います。よろしくお願いします。

惜しくも不合格の方、お疲れ様でした。2021年の試験も受験しようと思われる方は、どうぞこのブログの試験問題検討ページをご覧になってください。試験合格にお役に立てると嬉しいです。

さて、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式が終わりましたので、択一式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。今回は商法(会社法)です。

 

 

| 問題37 正解肢1

 

株式会社の設立に関する問題です。組合せ問題です。発起設立と募集設立の違いも問われています。

肢ア 発起人による株式の引き受け

発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければいけません(会社法25条2項)。発起設立でも募集設立でもどちらでも同じです。

肢イ 定款認証と訴え

定款が公証人に認証されていない場合であっても、株主等は株式会社の設立の取消の訴えを提起することはできません。そもそも株式会社の設立の取消の訴えという制度がありません。公証人の認証がない場合には、公証人の認証を得てから改めて会社設立の手続きをする必要があります。ちなみに、持分会社では持分会社の設立の取消の訴えという制度があります(会社法832条)。

肢ウ 現物出資の価格の証明

弁護士などによって、定款に記載されている現物出資の価格が適正だと証明された場合には、検査薬の調査は必要ありません(会社法33条10項3号)。現物出資は価格のごまかしが多発するため厳しくチェックされます。

肢エ 発起人等の責任

株式会社が成立しなかった場合には、発起人はその責任を負い、設立に関して支出した費用を負担しなければいけません(会社法56条)。ただし、この責任を負うのは発起人だけで、設立時役員等は負いません。

肢オ 払込金額の保管の証明

募集設立の場合には、発起人は金融機関に対して払込金保管証明書の交付を請求できます(会社法64条1項)。ただし、発起設立の場合には請求はできません。発起設立は発起人がすべての株式を引き受けますから、発起人に払込金保管証明書の交付を請求させる必要はないからです。

 

 

| 問題38 正解肢5

 

自己株式の取得に関する問題です。細かい点を出題されていますので難しい問題だと思います。自己株式の取得は原則禁止されていましたが、現在は原則として自由に自己株式を取得し保有することができるようになりました。

肢1 株主の取得請求の定め

株式会社は、自己株式の一部や全部について取得することを株主が請求できるように定めることができます(会社法107条1項2号、108条1項5号)。

肢2 条件付の株主の取得請求の定め

株式会社は、自己株式の一部や全部について一定に事由が生じた場合に取得することを株主が請求できるように定めることができます(会社法107条1項3号、108条1項6号)。

肢3 全部譲受時の株式取得

事業の全部を譲り受ける場合には、譲り受ける会社は譲り渡す会社の株式を取得することができます(会社法155条10号)。

肢4 取締役会決議での取得

取締役会設置会社では、自己株式の取得を取締役会決議で決定することを定款に定めることができます(会社法165条2項)。

肢5 株主総会決議での有償取得

株式会社が株主との合意によって自己株式を有償で取得する場合、分配可能額を超えて金銭を交付することはできません(会社法461条1項2号)。

 

 

| まとめ

 

1 発起設立と募集設立の違いは表でまとめて覚える!

2 現物出資は厳しくチェック!

3 自己株式は原則自由に取得・保有可能!



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