2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。
前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は宅地造成等規制法と土地区画整理法になります。
| 2020年10月試験 宅造法・土地区画整理法
1 問19 正解肢3
宅地造成工事に関する問題です。
肢1 宅地造成工事規制区域指定のための測量・調査
宅地造成工事規制区域に指定するために土地に立ち入って測量や調査をすることは認められています。ただし、立ち入り調査等によって損失が発生した場合には、通常生ずべき損失を補償しなければいけません。
肢2 土地形質変更
宅地造成規制法の対象になる“宅地”は、宅地造成地が工事によって宅地にする場合です。現在宅地であっても工事によって宅地として利用する場合には宅地造成規制法の対象になります。本肢は宅地を宅地以外の土地にする場合ですので宅地造成規制法の対象ではありません。
肢3 宅地造成工事規制区域内での宅地への転用
宅地造成工事を行う場合には原則として許可が必要です。また、届出が必要な場合もあります。届出が必要な場合は3つです。(1)宅地造成工事規制区域の指定の差異に工事をここなっている造成主(指定から21日以内)、(2)高さ2m超の擁壁または排水施設の除去工事を行おうとする者(着手の14日以内)、(3)宅地以外の土地を宅地に転用したもの(転用から14日以内)、の3つです。本肢は届出が必要な場合の(3)に該当します。許可ではありません。届出は試験での頻出事項です。
肢4 工事施工者の変更
工事の変更を行うには、原則として知事の許可が必要です。ただし、軽微な変更は知事に届け出るだけでOKです。軽微な変更は、(1)造成主・設計者・工事施工者の変更、(2)工事の着手・完了の予定日の変更、のことをいいます。本肢では工事施工者の変更ですので軽微な変更にあたり、知事への届出が必要です。許可は必要ありません。
2 問20 正解肢2
土地区画整理組合に関する問題です。
肢1 組合の設立許可の要件
土地区画整理組合を設立するには3つの要件があります。(1)7人以上、(2)定款・事業計画の作成、(3)所有者・借地権者の各2/3以上の同意、の3つです。都道府県知事に認可申請をして認可されると、所有者や借地権者の全員が強制的に組合員になります。未登記の借地権者も借地権者に含まれます。
肢2 組合の総会会議の定足数
組合の総会の定足数は知りませんでしたが、調べたところ組合員の半数以上の出席が必要だそうです。
肢3 賦課金の徴収額
賦課金は事業に要する経費に充てる金銭で、総会の決議で決定されます。金額は土地の位置、地積などを考慮して公平に定めることになっています。肢4の参加組合員は賦課金の支払い義務はありません。
肢4 土地区画整理事業への参加
土地を所有していなかったり借地もしていなかったりする人でも土地区画整理事業へ参加することができます。たとえばURや住宅供給公社や地方公共団体などの専門家が参加します。資力や信用があるだけでは参加資格はありません。
| まとめ
1 宅地造成規制法の対象は宅地になる場合だけ!
2 宅地造成工事の届出義務は試験に頻出!
3 土地区画整理事業の参加組合員は限定的!