行政書士試験が近づいてきました。受験生は最後の知識の確認中でしょうか。今年は改正民法が出題されます。旧民法の規定が頭に残っている受験生が、試験問題を前に悩んで間違えることがないようにチェック項目を作りたいと思います。
| 主な民法改正箇所のチェックポイント
改正民法の主な注意点を箇条書きで書きだしたいと思います。最後のチェックリストとして利用してもらえると幸いです。厳選して13個を挙げました。
1 意思能力に瑕疵ある場合
旧:条文なく判例で無効
新:条文にて無効
2 錯誤の要件と効果
旧:判例の要件を満たせば無効
新:条文の要件を満たせば取消可
3 消滅時効の期間
旧:原則10年
新:権利行使可能を知った時から5年、権利行使可能時から10年
4 時効の用語変更
旧:時効の中断、時効の停止
新:時効の更新、時効の完成猶予
5 譲渡禁止特約
旧:譲渡禁止特約による譲渡禁止
新:譲渡禁止特約があっても譲渡可(悪意重過失者は除外)
6 連帯保証の保証限度額の定め
旧:保証限度額の定めなし
新:連帯保証の保証限度額の合意が必須
7 賃貸目的物の返還義務
旧:判例にて返還義務あり
新:判例を条文化
8 賃貸借の存続期間の延長
旧:上限20年
新:上限50年
9 契約不適合責任の法的性質
旧:特定物売買は瑕疵担保責任、不特定物売買は債務不履行責任
新:特定物・不特定物に関係なく契約不適合責任
10 契約不適合責任の効果
旧:解除と損害賠償のみ可
新:解除、損害賠償、追完請求、代金減額請求可
11 配偶者居住権の新設
改正前:制度なし
改正後:条文で制度化
12 遺言の第三者への対抗要件
改正前:遺言で対抗可
改正後:遺言と登記で対抗可
13 遺留分減殺請求
旧:金銭による解決不可
新:金銭による解決可
これらの他にも次のようなものがあります。
1 法定利率の見直し(民事商事ともに3%)
2 約款に関する規定の新設
3 制限行為能力者が法定代理人としてした代理行為の取消
4 債務不履行の帰責事由の明確化(債務者の帰責事由がなくても解除可)
5 契約解除の要件の見直し
6 原始的不能時の損害賠償規定の新設
7 免責的債務引受の見直し
8 不法行為債権の相殺禁止規定の見直し(誘発防止と現実弁済の必要性)
9 第三者弁済の見直し
10 契約の基本原則の明記
11 危険負担規定の見直し
12 消費貸借の見直し
13 敷金の規定の新設
14 賃借人の原状回復義務の明記
15 請負契約の報酬請求権の見直し
16 寄託契約の諸規定の新設
かなり細かい内容もありますが、代理、帰責事由、契約解除の要件、原始的不能時の損賠、免責的債務引受、不法行為債権の相殺禁止規定、危険負担、賃貸借、請負あたりも見直しておく必要があると思います。
機会があればこのブログでも記事にしたいと思います。
| まとめ
1 消滅時効や契約不適合責任などは要チェック!
2 代理、契約解除、債務不履行の損賠などの重要事項にも変更点あり!
3 賃貸借、請負の変更点にも目を通して!