国土交通省が宅建取引業者数や宅地建物取引士数の状況についてのまとめを発表しました。2020年3月末現在での情報です。この調査によりますと、宅地建物取引業者数は6年連続で増加しています。宅地建物取引士の登録者数も増加しています。
さっそく調査の結果を見てみましょう。
| 不動産屋は6年連続で増加
不動産屋は2013年頃までどんどん減っていました。2000年に13万8000以上あった不動産屋が2013年には12万2000ほどまで減りました。約1万6000減ったことになります。1割以上の減少ですので、ご近所でもなくなった不動産屋があるのではないでしょうか。
私の知るところでも、高齢で後継者もいないため個人経営の不動産業を辞めたところがあります。重要事項説明のネット化などIT化の波が不動産業界にも押し寄せています。設備投資だけでなく操作できる人材がいなければやめてしまうのかもしれません。2020年度の結果が出されるとコロナの影響も見えるかもしれませんね。
この10年の宅地建物取引業者の推移は次のようになっています。
2010年度 125,832件
2011年度 123,922件(▲1.6%)
2012年度 122,510件(▲1.2%)
2013年度 122,127件(▲0.4%)
2014年度 122,631件(+0.4%)
2015年度 123,249件(+0.5%)
2016年度 123,416件(+0.1%)
2017年度 123,782件(+0.2%)
2018年度 124,451件(+0.5%)
2019年度 125,638件(+0.9%)
2013年に底になり2014年以降は0.5%ほどずつ増えています。2020年3月末では2010年度の業者数くらいまで回復しています。
| 不動産屋の監督処分などの推移
不動産屋が増えると監督処分を受ける業者も増えるのは当然です。ところが、近年の監督処分などの数は減ってきている傾向にあります。実数を見てみましょう。
2010年度 374件
2011年度 358件(▲4.3%)
2012年度 258件(▲28.0%)
2013年度 314件(+21.7%)
2014年度 249件(▲21.8%)
2015年度 227件(▲8.9%)
2016年度 251件(+10.5%)
2017年度 209件(▲16.8%)
2018年度 182件(▲13.0%)
2019年度 198件(+8.4%)
2014年度から不動産屋が2.8%増えているにもかかわらず、監督処分などを受けた件数は37.0%も減っています(2013年度比)。監督処分等の内容は重い処分が減って軽いものが増えています。
2013年度との比較では、免許取消は41%減、業務停止は51%減、13%減になっています。監督処分等に含まれない勧告等は31%減です。実際の処分件数は減っていますが、不動産屋のうさん臭いイメージは払拭できているのでしょうか。
| 宅建士の登録者数の推移
不動産屋が増えているなら登録している宅建士も増えていると予想できます。実際に、宅建士の登録者数は2010年度から21%も増えています。実際の数字を見てみましょう。
2010年度 888,097人
2011年度 901,687人(+1.5%)
2012年度 920,860人(+2.1%)
2013年度 941,614人(+2.2%)
2014年度 958,974人(+1.8%)
2015年度 982,411人(+2.4%)
2016年度 1,004,101人(+2.2%)
2017年度 1,024,974人(+2.0%)
2018年度 1,049,253人(+2.3%)
2019年度 1,076,177人(+2.5%)
おおよそ2%ずつ増えています。登録宅建指数が100万人を超えてもう4年もたつのですね。新規に登録する宅建士の数も2017年度までは2.1万~2.4万人だったのが、2018年度は2.5万人、2019年度は2.7万人になっています。新規登録者数が増えているのですから、全体的な人数も増えています。
不動産屋も増えて登録宅建指数も増えているということは、今後の不動産業界はライバルが増えて活性化するのでしょうか。
| まとめ
1 不動産屋は6年連続で増加(微増)!
2 監督処分数は減少傾向!
3 登録宅建指数は年間2%ずつ増加!