“特定技能で入管法違反が増える!?”の記事で見ました“平成30年における入管法違反事件について”という法務省統計。国籍別や在留資格別を見てきましたが、今回は不法就労者について見てみたいと思います。
| 不法就労者はどのくらいいるの?
不法就労者は年々増えてきています。男女比ではおおよそ男性:女性=2:1くらいの割合です。男性は62~67%くらい、女性は32~38%くらいで推移しています。
2014年 6,702人
2015年 7,973人
2016年 9,003人
2017年 9,134人
2018年 10,086人
2018年には10,000人の大台を突破しました。このうち男性が6,754人で67%、女性が3,332人で33%です。
年齢は20~40歳くらいが多くなっています。
20歳未満 41人
25歳未満 1,613人
30歳未満 2,651人
35歳未満 2,027人
40歳未満 1,347人
45歳未満 936人
50歳未満 705人
55歳未満 396人
60歳未満 202人
60歳以上 168人
40歳未満の総数は7,679人で、全体の76%以上を占めています。3/4が20代30代の若い方です。
| 仕事内容は?
若い方が多いということは肉体系の労働が多いのでしょうか。職業別を見てみましょう。
農業従事者 2,504人
工員 1,875人
建設作業員 1,835人
労務作業者 998人
サービス業 589人
接客業 337人
その他 1,948人
農業従事者・工員・建設作業員の3種別で6,214人、全体の61%以上です。工員が一番多いのかと思っていましたが、農業従事者が圧倒的な1位ですね。勉強不足でした。
農業従事者が多いということは、農業が盛んな北海道、東北、北関東あたりが多いのでしょうか。
| 都道府県別の人数は?
就労場所を都道府県ごとに見てみましょう。
茨城県 1,975人
千葉県 1,666人
東京都 1,437人
愛知県 912人
埼玉県 860人
神奈川 556人
群馬県 456人
大阪府 317人
栃木県 274人
兵庫県 209人
その他 1,424人
関東が多いですね。茨城県、千葉県、東京都、埼玉県、神奈川県、群馬県、栃木県の1都6県で6,668人です。全体の66%以上になります。
しかも、茨城県の農業従事者は1,436人、千葉県の農業従事者は630人で、この2県を併せると2,066人になり農業従事者の82%以上になります。
工員が多いのは、愛知県307人、埼玉県294人、群馬県224人、千葉県189人、茨城県121人、兵庫県120人などとなっています。工員も関東が多いですね。愛知県はトヨタの影響でしょうか。
大阪府は、工員80人、建設作業者49人、サービス業21人、接客業12人です。世間としては違法就労者が多いイメージのある大阪は意外にも少ないようです。ただ、全国の都道府県で8位に入っているのですが…。
| 不法就労者の給料はどのくらい?
不法就労者は安い賃金で長時間働かされているイメージがあります。法務省の統計で給料を確認してみましょう。日額の報酬です。
3,000円以下 404人(約4%)
5,000円以下 2,251人(約22%)
7,000円以下 4,338人(約43%)
10,000円以下 2,335人(約23%)
30,000円以下 168人(約1.7%)
30,000円超 10人(約0.1%)
不詳 580人
日給3万円超の不法就労者が10人もいるんですね。接客業の歩合でしょうか。それにしても70%近くの不法労働者が日給7,000円以下ですので、安い賃金であることは間違いないのでしょうね。ちなみに、日給1万円以下の不法労働者は約92%です。
この日給は手取りである可能性が高いと思いますが、給料から天引きする費用として渡航費用等があります。外国人の自由な意思で毎月2~3万円ずつ返済するのであれば違法ではないようですので、1日1,000円くらいは天引きされている可能性があります。それでも、8時間労働だと時給875円以下ですから安いことには変わりありませんね。
| まとめ
1 2018年に不法就労者が10,000人の大台に!
2 不法就労者の76%が40歳未満の若者!
3 農業、工員、建設が業種トップ3!
4 不法労働者の2/3が関東!
5 70%近くが日給7,000円以下!