2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。
合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。
今回は、2019年の問題44です。今回は行政法の記述式です。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。今回で行政法は終了です。
| 行政書士試験の行政法検討(問題44)
行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。
【問題44】
行政手続法の問題です。パッと閃かないと言葉が出てこないかもしれません。
問題の要旨は次のとおりです。消防署長Yが、防火設備に不備がある危険な建設物の所有者Aに対して、行政指導を繰り返すのみで消防法5条1項の命令(不利益処分)をしない場合に、消防署長Yに対して、誰が、どのような行動をとることができるか、またYはどのような対応を取るべきかを書けというものです。
行政事件訴訟であれば非申請型の義務付け訴訟を思い浮かべますね。ただ、問題文では“行政手続法によれば”とありますので、行政手続法上の制度を書かなければいけません。
行政手続法では、違法状態が放置されていると思うときは、誰でも行政庁に処分や行政指導を求めることができます。この“処分等の求め”は新たに新設された制度です。
行政は人的資源や予算の関係で全ての違反を知っているわけではありません。市民から違反の事実の申出を受け付けることで有効な是正策を講じることができます。また、問題44のように、有効ではない行政指導を繰り返すだけで違反状態が続く事態を避けることができます。
解答例 “誰でも、Aへの命令を求めることができ”
処分等を求められた行政庁は、必要な調査をして必要があるときは処分や行政指導をしなければいけません。
解答例 “Yは必要な調査を行い、必要があれば命令する。”
似たような制度に“行政指導の中止等の求め”というものもあります。併せて覚えておきましょう。こちらは“処分等の求め”とは違って誰でも申出ができるわけではありません。中止の求めの申出は行政指導を受けた人だけです。申し出があると行政庁は必要な調査をして必要があるときには行政指導を中止するなどしなければいけません。
[解答例]
“誰でも、Aへの命令を求めることができ、Yは必要な調査を行い、必要があれば命令する。”(41字)
| まとめ
1 処分を求める申出の制度を知らないと書けません!
2 申出を受けた行政庁は調査をしなければいけません!
3 申出を受けても処分をするか決めるのは行政庁!