2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。
合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。
今回は、2019年の問題16、問題17です。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。
| 行政書士試験の行政法検討(問題16~17)
行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。
【問題16】
行政不服審査法のうち地方公共団体に関する問題です。正しい肢を選びます。
1 一見すると正しい肢のように思えます。しかし、行政不服審査法にこのような条文はありません。行政手続法ならばあってもおかしくない条文です。
2 審理員の名簿については、名簿の作成が努力義務であること、名簿を作成したときには公開することが定められています。議会の議決が必要である旨の条文はありません。
3 地方公共団体に行政不服審査機関を設置することができないときは、条例の定めによって、事件ごとに処理機関を置くことができます。国の行政不服審査会を利用することはできません。
4 議会の議決による処分は不服申立ての対象になりません。行政不服審査法の適用除外です。適用除外は試験直前に丸暗記することをおすすめします。
5 行政不服審査機関の組織や運営に関する事項は条例で定められます。
【問題17】
行政事件訴訟法の執行停止に関する問題です。正しい肢を選びます。行政不服審査法にも執行停止がありますので、記憶が混ざりやすいです。区別して理解した上で、覚えましょう。
執行停止には“処分の効力の停止”“処分の執行の停止”“手続の続行の停止”の3種類があります。処分の効力・執行、手続の続行は原則として執行不停止です。重大な損害を避けるために緊急の必要がある場合に執行が停止されます。その他には、(1)審理が適法に継続していること、(2)処分が完了していないこと、(3)公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと、(4)本案について理由がないと見えないことの要件があります。
1 執行停止の決定は疎明に基づいて行われます。“疎明”は、一応確からしいという推測がある状態です。確信にまでは至りません。また、執行停止の決定は口頭弁論を経ずに行うことができます。ただし、この場合にはあらかじめ当事者の意見を聞かなければいけません。
2 執行停止の決定は申立てによって行われます。職権ではできません。
3 先ほども書きましたが、執行停止の決定は“重大な損害”を避けるために緊急の必要がある場合に行われます。“償うことができない損害”までは必要ありません。
4 本案について“理由があるとみえる”ときはもちろん執行停止ができますが、“理由がないとみえない”ときにもできます。執行停止ができないのは“理由がないとみえる”ときです。本案に“理由がないとみえる”ときには執行を停止するほどの重大な損害は生じないでしょうし、緊急の必要性もありません。“理由がないとみえる”とき以外は執行停止が可能です。
5 処分の効力の停止は、処分の執行の停止や手続の続行の停止によって目的を達成することができる場合には、することができません。執行停止をする場合には、まず処分の執行の停止や手続の続行の停止によって執行停止の目的を達することができるかどうかを検討します。
| まとめ
1 地方自治体の特別な規定が多いのは行政手続法!
2 行政不服審査法の適用除外は試験前に丸暗記!
3 執行停止は不服審査法でも事件訴訟法でもしっかりと勉強を!