2019年行政書士試験 行政法検討 (問題18~問題19)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。

今回は、2019年の問題18、問題19です。今回から行政法の検討をします。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。

 

 

| 行政書士試験の行政法検討(問題18~19)

 

行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。

 

【問題18】

行政事件訴訟法の被告や訴訟参加に関する問題です。誤った肢を選びます。

1 取消訴訟の被告は、国や公共団体に属するときは国や公共団体、国や公共団体に属しないときは処分をした行政庁です。丸暗記が必要です。

2 取消訴訟の被告が国や公共団体になったとしても、処分庁は当該処分をした当事者ですから、裁判上の一切の行為をすることができます。当然と言えば当然ですね。

3 肢1に書きましたが、取消訴訟の被告は、処分庁が国や公共団体に属するときは国や公共団体になります。裁決であっても同じです。

4 義務付け訴訟が申請型であっても非申請型であっても、裁判所は、義務付け訴訟の認容判決を下すときには処分をすべき行政庁に対して処分をすべき旨を命じます。義務付け訴訟は重要分野です。

5 争点訴訟の訴訟参加です。行政事件訴訟法第23条では、裁判所は、処分庁以外の行政庁を訴訟に参加させたいときは、当事者や参加させる行政庁の“申立て”又は“職権”で、決定をもって、訴訟参加させることができます。ただし、あらかじめ当事者や参加させる行政庁の意見を聞かなければなりません。この規定が民事訴訟の争点訴訟の場合に準用されています。

 

【問題19】

抗告訴訟全般に関する問題です。正しい肢を選びます。

ここで、行政事件訴訟の訴訟類型を見てみましょう。

(1)主観訴訟

(あ)抗告訴訟

・処分取消訴訟 ・裁決取消訴訟 ・無効等確認訴訟 ・不作為の違法確認訴訟 ・義務付け訴訟 ・差止め訴訟

(い)当事者訴訟

・形式的当事者訴訟(土地収用など) ・実質的当事者訴訟(公務員の地位確認訴訟など)

(2)客観訴訟

(あ)民衆訴訟(選挙無効訴訟、住民訴訟など)

(い)機関訴訟(行政庁同士の訴訟)

分かりにくいのは当事者訴訟でしょうか。形式的当事者訴訟は、本来行政庁を相手に訴訟をすべきですが、当事者の私人間同士で争った方が直接的に解決できる場合です。たとえば、土地収用の金額の争いでは、本来収用委員会を相手にすべきですが、企業者を相手にして争った方が直接的に解決できます。

実質的当事者訴訟は、本来私人間の争いのはずですが、立場上行政庁を相手にする訴訟です。たとえば、公務員が免職した場合の地位の争いでは、本来雇用者と被雇用者が民事訴訟で争うべきですが、雇用者が国や地方自治体、被雇用者が公務員であるため立場上行政庁を相手に争います。

これらを念頭に問題19を見てみましょう。

1 問題18の肢5でも書きましたが、裁判所は職権で行政庁を訴訟参加させることができます。

2 民事訴訟では当事者主義が採用されているため訴訟要件だけしか職権証拠調べができません。肢2はこの説明になっています。他方で、行政事件訴訟では職権探知主義が採用されていますので、弁論主義を原則としつつ補充的に職権証拠調べをすることができます。

3 取消訴訟では、自己の法律上の利益に関係しない違法性を争うことができません。法律上の利益を有しない者は訴えの利益がないため原告適格がありません。原告適格がなければ訴えは却下されます。訴えの利益は重要分野です。

4 事情判決です。事情判決は内容審査をしていますので、“却下”ではなく“棄却”されます。事情判決は2019年度の試験で何度も問われていますね。重要分野です。

5 申請型の義務付け訴訟です。処分拒否型の申請型義務付け訴訟では、必ず無効等確認訴訟と併合提起をしなければいけません。不作為型の申請型義務付け訴訟では、必ず不作為の違法確認訴訟と併合提起しなければいけません。

 

 

| まとめ

 

1 行政事件訴訟の被告は丸暗記しましょう!

2 行政事件訴訟の訴訟参加は難しいかも!

3 訴えの利益、事情判決、義務付け訴訟は頻出分野!



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