宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は抵当権のその2です。抵当権は権利関係の中では売買や賃貸借と並んで超重要分野です。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 妨害排除請求権
抵当権者は抵当権に基づく妨害排除請求権を行使できます。
1 vs.設定者
・差止請求
・返還請求
・増担保請求
・期限の利益の喪失
2 vs.第三者
・差止請求
・返還請求
・無効登記抹消請求
・損害賠償請求
| 第三者保護の制度
1 第三取得者の代価弁済
買受人は、“抵当権者の請求に応じて”代価を弁済すれば抵当権を消滅させることができる制度です。
2 抵当権の消滅請求
買受人が“抵当権者に対して”代価を弁済して抵当権を消滅させることを“請求”することができる制度です。
| 抵当権の処分
1 転抵当
抵当権自体を抵当の目的物にすることができます。
2 抵当権の譲渡(対無担保債権者、譲受人が優先)
他の無担保債権者に抵当権を譲渡することです。譲渡人の債権額の範囲内で譲受人が譲渡人に優先して弁済を受けることができます。
3 抵当権の放棄(対無担保債権者、両者同位)
他の無担保債権者のために抵当権を放棄することです。放棄した人と放棄を受けた人は、放棄をした人の債権額の範囲内で、それぞれの債権額に応じた案分の比率で弁済を受けることができます。
4 抵当権の順位の譲渡(対抵当権者、譲受人が優先)
他の抵当権者に抵当権の順位を譲渡することです。譲渡人の債権額の範囲内で譲渡人と譲受人の順位の交換が行われます。
5 抵当権の順位の放棄(対抵当権者、両者同位)
他の抵当権者のために抵当権の順位を放棄することです。放棄した人と放棄を受けた人は、放棄した人の債権額の範囲内で、それぞれの債権額に応じた案分の比率で弁済を受けることができます。
6 抵当権の順位の変更
抵当権者全員の合意で、抵当権の順位の変更をすることができます。ただし、利害関係者(転抵当権者など)の承諾が必要です。
| 抵当権の消滅
1 消滅時効
・vs.債務者、抵当権設定者
抵当権は独立して消滅時効にかかりません。
・vs.第三取得者や債権者など
抵当権は独立して消滅時効にかかります。
2 取得時効
債務者・抵当権設定者以外の者が時効取得すると抵当権は消滅します。
3 放棄
地上権や永小作権が目的になっている抵当権の場合、地上権や永小作権を放棄しても抵当権者に抵当権の消滅を主張できません。
4 混同
地上権や永小作権が目的になっている抵当権の場合、地上権者や永小作権者が不動産の所有権を取得しても混同によって抵当権は消滅しません。
| まとめ
1 代価弁済と消滅請求は異なる制度!
2 抵当権の放棄は両者同位、譲渡は譲受人優先!
3 消滅時効と取得時効は区別して暗記!