| 在留資格に“介護”を新設
1年前になりますが、平成28年11月18日の第192回臨時国会で入管法が改正され、同月28日に公布されました。この改正では、罰則の整備や在留資格取消事由の拡充などの措置が講じられています。罰則の整備については“新入管法で初の逮捕者!”の記事でも書かせていただきました。
この新入管法では、介護業務に充実する外国人の受け入れを図るために在留資格として“介護”が新設されました。介護福祉士の資格を有する外国人が対象になっています。平成29年9月1日から施行されています。
| 入管法の“介護”ってどんな内容?
一般に介護といえば、体の不自由な方やお年を召された方などの日常生活を手助けすることです。入管法の介護は、日本の公私の機関との契約にもとづいて、介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事することです。
ポイントは3点。①働く契約があること、②介護福祉士であること、③実際に介護をしていなくても介護の指導をすることも含まれていること。注意が必要なのは、介護やその指導が専門的知識及び技術に基づくものでなければならないことです。
今までは、実際に介護をする職業で在留資格を得るときには“技術・人文知識・国際業務”に該当するとして運用されてきましたが、解釈に少し無理がありました。新入管法で“介護”が新設されることで、きちんと位置づけされたのです。
| “介護”で在留資格を得る方法
外国人が介護福祉士の資格を得て“介護”として在留資格を得るためにはいくつものステップがあります。典型的な例はこのような流れになります。
1 外国人留学生として入国 (在留資格:留学)
2 介護福祉士養成施設で修学 (在留資格:留学)
3 介護福祉士の国家資格を取得 (在留資格:留学)
4 在留資格を“留学”から“介護”へ変更
5 介護福祉士として業務に従事 (在留資格:介護)
ここでの注意点は「2 介護福祉士養成施設で修学」の部分です。実は、介護福祉士試験を受験するには3つのコースがあります。
1 介護福祉士養成施設で修学
2 一定以上の実務経験と研修
3 福祉系高校で修学
このうち“介護”で在留資格をもらえるのは「1 介護福祉士養成施設で修学」した場合だけです。実務経験を積んだり福祉系高校を卒業したりしても“介護”では在留できません。
以前は介護福祉士養成施設を卒業した人は介護福祉士試験に合格しなくても介護福祉士になれました。しかし、平成29年度からは介護福祉養成施設の卒業生も介護福祉士試験に合格しなければ介護福祉士になれなくなりました。かなり厳しい変更ですね。
“介護福祉士養成施設”と何度も書いていますが、これは全国に487施設あり、大学、短期大学、専門学校などが厚生労働省から指定を受けています(平成29年10月1日現在)。近畿圏では短大を中心に18施設、大阪府では9施設が指定されています(平成29年4月現在)。近畿圏の介護福祉士養成施設一覧です。
| まとめ
1 新入管法で在留資格に“介護”が新設!
2 “介護”で在留するには要件が厳しい!?
3 介護福祉養成施設の卒業が必須!
4 大阪府では9施設が指定されています!