| 勝手に通るな!
「ある日突然、隣から土地を通るなと言われたけど、どうしたらいいの?」というご相談がごくまれにあります。例えば、自分の土地の一部分で出入りするために使っていた通路だと思っていたのに隣から「通るな!」と言われて、さらに法務局から境界の確定の立ち合いのお願いが来たというお話です。早速、調査開始です!
| 登記簿に問題あり?
登記簿を調べたところ、分筆が何度かありますが特に変わったところはありません。
もう少し詳しく調べてみました。そうすると以前は十分に道路に面していたのです。では、なぜ道路に面していない状態になったのでしょうか?実は、分筆を繰り返したことで土地の境界がはっきりとしておらず、通路部分の土地が他の人にも売られていたのです。つまり、お隣同士が両方とも自分の土地だと思って通行していたということです。境界がはっきりしないので法務局から境界の確定の立ち合いのお願いがあったのです。
| 他人の土地を通行する権利
ここで、他人の土地を通行する権利についてお話します。
そもそも道路には、誰もが通行できる“公道”と原則としては自由に通行できない“私道”があります。“私道”は私有地ですので、ここを通るには通行する権利=通行権がいります。
通行権には通行地役権(つうこうちえきけん)、囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)、通行の自由権などがあります。
(1)通行地役権
通行地役権は契約をして地役権を設定(民法280条)すると登記ができますので、登記された地役権なら調べれば誰にでもすぐにわかります。また登記がされた地役権は新しい所有者に対しても通行する権利を主張することができます。
(2)囲繞地通行権
公道に面していない土地を“袋地”といい、袋地を囲んでいる土地を“囲繞地”といいます。囲繞地通行権は、袋地の所有者が求めれば民法210条によって強制的に発生する権利で、登記はされません。ですのでよく調べても分からないのです。
(3)通行の自由権
通行の自由権は判例上認められた権利で、建築基準法の適用を受ける私道についてかなり厳しいですが認められることがあります。こちらも登記はされませんので、調べても分かりません。
| 通行権発生!
今回の事例は、分筆が繰り返されて道路に面しない土地ができたという場合です。この場合、囲繞地通行権が認められます。この権利はいくら調べてもわかりませんし、どの範囲で通行権が認められるのかもわかりません。結局、当事者同士で通行権自体を争っても完全決着は難しい状況です。裁判をしないと解決しない事案でした。
| まとめ
1 登記簿に載っていない情報がある!
2 通行権はいろいろ!
3 囲繞地通行権に注意!
麻田不動産では様々なご相談を受け付けています。行政書士法人を併設しておりますので、開発許可や農地転用の許可など許認可が絡んだ案件でも適切にアドバイスいたします。また、日ごろから弁護士や司法書士、土地家屋調査士と連携しておりますので、法律の絡んだ案件でも適切にアドバイスします。土地や建物についてのお困りごとならお気軽にご相談ください。