契約書の担保責任ってなに? ~その3~

| 売買契約の担保責任

 

前回・前々回の記事で売買契約の担保責任は6つあることを書きました。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失したりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

1と2は前々回、3と4は前回に内容を書いています。“契約書の担保責任ってなに? ~その1~”と“契約書の担保責任ってなに? ~その2~”をそれぞれご参照ください。

今回は、5の隠れた瑕疵がある場合と6の担保権によって制限されている場合を書きたいと思います。今回で売買の担保責任は終わりです。

 

 

| 全然分からなかった不具合はどうする?

 

通常の人は業界の人に比べてモノやサービスに詳しくないので、どこをどのように見たらいいのか分かりません。建物を買うときも同じです。建築士や不動産屋が見れば分かる不具合でも、一般の人が見ても分からない不具合がたくさんあるのではないでしょうか。

そこで、通常の人の注意では知りえない欠陥(隠れた瑕疵)が存在する場合、売主は担保責任を負うことになっています。

買主は契約の解除と損害賠償請求をすることができます。ただ、欠陥を知っていた買主は売る主に何も請求することができません。

 

 

| 土地の抵当権が実行されちゃった!

 

土地を買ったけど抵当権が付いていて、その抵当権が実行されて土地を失ったとき、買主は何を主張できるでしょうか。

実行されるかもしれない抵当権がついていることを知っていたんだし、その分安く買ったんだから、何も請求できないんじゃないの?と思われた方は残念ながらハズレ。

買主が抵当権の存在を知っていても知らなくても、売主に対して契約の解除と損害賠償請求をすることができます。実際の取引では抵当権は抹消することが多いのですが、民法上は抵当権がついたまま取引をすることは通常だとされています。

ここでのポイントは、担保権の実行によって所有権を失ったときという限定付きであることです。

 

 

| まとめ

 

1 隠れた瑕疵があったときは解除と損害賠償請求!

2 担保権が実行されたときも解除と損害賠償請求!

3 担保権の実行の場合は悪意の買主も請求可能!



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契約書の担保責任ってなに? ~その2~

| 売買契約の担保責任

 

前回の記事で売買契約の担保責任の種類を6つ挙げました。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失したりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

このうち1と2は前回の記事に内容を書いています。“契約書の担保責任ってなに? ~その1~”をご参照ください。

今回は3の数量が足りなかったり一部滅失したりする場合と4の用益権によって制限されている場合を書きたいと思います。

 

 

| 数が足りない!?

 

たとえば瓶ビールを1ダース酒屋さんに注文したとします。酒屋さんは1ダースを配達したつもりでしたが、ビンの1本が空ビンでした。酒屋さんに「1本少ないから持ってきて」と電話すると「あれが最後の1ケースだったので、今日は配達できません」と断られてしまいました。

この場合、売主の担保責任以外にもいろいろ追及できそうですが、ここでは担保責任を考えてみます。

まず、モノが足りないのだから代金を返してよという主張が考えられます。買主が数の足りないことを知っていた場合は主張できませんが、知らなかった場合には主張できます。また、1本足りないことでビールを買った目的が達成できない場合は契約の解除をすることができます。ただし、買主が数量不足を知っていた場合にはやはり主張できません。さらに、損害賠償請求をすることもできますが、数量不足を知っていた買主は主張できません。

数量が足りない場合や一部が滅失している場合には、このことを知っていた買主は売主に何も請求できず、知らなかった買主は代金減額請求、解除、損害賠償請求を主張できます。

 

 

| 使いたくても使えない!

 

たとえば家を建てようと思って土地を買ったのに、その土地は別の人が耕作をしていて使えない場合、どうしたらいいでしょうか。

耕作をしている人が永小作権を持っていて適法に耕作しているなら、土地の買主は家を建てることができません。このように契約の目的を達成できない買主は契約を解除することができます。ただし、別の人が耕作していることを知っていた買主は解除ができません。

また、損害賠償請求をすることもできますが、別人が耕作いていることを知っていた買主は損害賠償請求もできません。

この場合も、用益権による制限を知っていた買主は売主に何も主張できませんが、知らなかった買主は契約の解除と損害賠償請求をすることができます。

 

 

| まとめ

 

1 数が足りない場合は代金減額ができます!

2 使いたくても使えない場合は解除や損害賠償請求ができます!

3 ただし、どちらも悪意の買主は何も主張できず!



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契約書の担保責任ってなに? ~その1~

| 売買契約の担保責任

 

モノを売ると担保責任を負います。担保責任はモノに何かしらの不具合があった場合に、売主が負う責任です。

モノが売買されると、売主と買主はお互いに相手に対して義務を負います。売主から見ますとモノを引き渡す義務、買主から見ますと代金を支払う義務です。モノと代金が同じ価値があるから売買が成立します。

ところが、モノの権利に問題があったりモノ自体に欠陥があったりする場合には、モノの価値は下がります。そうすると、モノの価値に対して多すぎる代金を支払うことになってしまいます。

そこで、この不公平を何とかしようとして定められたルールが売主の担保責任なのです。

売主の担保責任は6個あります。

1 モノの全部が他人のモノの場合

2 モノの一部が他人のモノの場合

3 数や量が足りなかったり一部が滅失してしまったりする場合

4 用益権によって制限されている場合

5 隠れた瑕疵がある場合

6 担保権によって制限されている場合

それぞれを順に書きたいと思います。

 

 

| モノの全部が他人のモノの場合

 

他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。買った人に引渡すまでにそのモノを入手できれば問題ないからです。しかし、売主がモノを手に入れることができなかった場合には売主は責任を負います。

どのような責任を負うかは、他人のモノであることを買主が知っていたかどうかによって変わります。買主が知っていた場合、契約の解除と損害賠償ができます。買主が知らなかった場合には契約の解除だけができます。

実は、売主が自分のものだと思い込んでいたけれど実は他人のモノで、それを売主が知らなかった場合には、売主から契約を解除することができます。

 

 

| モノの一部が他人のモノの場合

 

先ほど書いた通り、他人のモノを売ることは民法上違法ではありません。売ったモノの一部分が他人のモノであったとしても同じです。

売主が他人のモノを手に入れることができず、買主に引渡せなかった場合には、買主は売主に代金の減額を請求できます。

また、一部他人のモノであることを買主が知らなかった場合には、損害賠償をすることができます。さらに、契約の目的を達成することができない場合には解除をすることもできます。期間は知ったときから1年です。

買主が知っていた場合には、代金の減額を請求できるだけで解除や損害賠償はできません。しかも、代金減額請求ができる期間は契約から1年です。

 

 

| まとめ

 

1 モノが不完全だった時の責任が担保責任!

2 全部が他人のモノだったときは解除と損害賠償!

3 一部が他人のモノだったときは代金減額請求!



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引越し後の準備を引越し前に

| 新居への引っ越しの準備

 

3月4月は引っ越しシーズンですね。新居への引っ越しにウキウキされている方もいらっしゃると思います。新居へ引越しをした後に何から始めますか?荷物をほどいて部屋の片づけ!という方、ちょっと待ってください。引越したらすぐに使うものは準備できていますか?

引越しの前のギリギリまで使うものはいろいろありますが、それらは引越しした後にすぐに使うものが多いです。そこで、段ボールに分かるような目印をつけておきましょう。たとえば次のようなものがあります。

1 カーテン

2 食器類

3 タオル・雑巾

4 洗剤

5 トイレットペーパー

このようなものは引っ越す前のギリギリまで使って、引越し後にはすぐに使えるようにしておきたいものです。段ボール1~2箱にまとめておき、すぐに取り出して使えるようにしておくと便利です。

また、引越し先の挨拶用の手土産の準備も必要です。一般的には次のような方に引越しの挨拶をすると言われています。

1 アパート・マンションの場合:両隣の部屋+上下の部屋

2 一軒家の場合       :両隣の家+向かいの3件

3 大家さん、自治会長、管理組合長などのこれからお世話になる方

金額的には近隣に1000円前後、大家さんなどには2000円前後が相場のようです。タオル・洗剤・お菓子などが一般的です。のし袋をつけてご挨拶と書かれていればベストです。先方が留守の場合にはメッセージを残しておくとよいでしょう。挨拶は引っ越し作業が始まる前にするのが良いと言われています。

 

 

| 新居ですぐにやること

 

新居へ着いたらやっておきたいことがいくつかあります。

1 賃貸住宅の場合:入居前の部屋の状態を写真撮影

写真はスマートホンで十分です。入居前の状態を証拠として残しておきましょう。特に、汚れや傷、建て付けの悪い場所、電気系統の不具合などです。大家さんとトラブルにならないためにも、引越し屋が荷物を搬入する前に済ませておきましょう。

2 引越しの挨拶

引越しの作業のときにトラックが道に停車したり、荷物の搬入の際にうるさくしてしまったりするのは仕方がないことです。そのため、事前に手土産をもって近隣へあいさつに行きましょう。先にしておくか後にするかで印象が大きく変わります。

3 気になるところは最初に掃除を

賃貸住宅や新築住宅はクリーニングをしているので酷い汚れは少ないと思います。ただ、ホコリは時間とともにたまるものですから、掃除用の使い捨てペーパーを持参して引越しの荷物が搬入される前に済ませておくと気持ちよく住み始めることができます。

4 荷物の搬入は段ボールから

ベッドやタンスなど大きなものを搬入した後に段ボールの移動をしようとすると大変です。体力がある早い時間に段ボールを使う部屋に移動させてしまいましょう。

 

これらの他にも、役所への手続やライフラインの開栓などやるべきことはたくさんあります。やるべきことは書き出しておいて順番に片づけていけばOKです。無理せずスムーズに引越しを乗り切ってください。

 

 

| まとめ

 

1 引越し前から引越し後のことを考えて!

2 すぐに使うものは1つにまとめて梱包!

3 新居に着いたら写真とあいさつ!



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ご近所トラブル!どうする?

| ご近所トラブルって何が原因?

 

助成を対象にしたある調査によりますと、ご近所トラブルに遭った人は約18%いらっしゃるそうです。5~6人に1人の割合でご近所トラブルを経験されています。

ご近所トラブルで多いのは、“飲酒による騒ぎ声(約27%)”“足音(約23%)”“ドアの開閉音(約16%)”などの“騒音(約67%)”がダントツの一番。その他には、ペット、ゴミ出しマナー、マンションの管理組合、違法駐車、境界、たばこなどがあります。

このようなトラブルが起こった時にはどのような対応をすればいいのでしょうか。

 

 

| トラブルの解決策

 

騒音やゴミ出しマナーのトラブルがあっても、半数以上の方は何もしないという選択をしているようです。声を上げても解決しない、自分が我慢すればいいと考えている方が多いのかもしれません。

我慢しないためにも、トラブルの解決方法をいくつか挙げてみたいと思います。

1 管理会社に相談する

お住まいが賃貸マンションでしたら管理会社があるはずです。契約書に管理会社は明記されていませんか?管理会社はマンションを管理する立場にありますのでトラブルの相談にも乗ってくれます。トラブルの起こった日時や状況をメモしておいて管理会社に相談すれば、管理会社から対象者へ注意をしてくれます。誰からの苦情なのかを言わないでもらうこともできます。

2 自治会に相談する

お住まいが戸建住宅ならば自治会へ相談するのも一つの手段です。特に騒音問題やゴミ出しマナーは近隣の住民も迷惑をしていますから、自治会が対策を取ってくれると思います。管理会社ほど直接的な方法ではありませんが、回覧板などで騒音問題が起こっていることを知らせてもらえますので、角が立たない方法を提案してみてはいかがでしょうか。

3 役所に相談する

管理会社や自治会が行う対策では改善される気配がない場合、役所に相談してみる方法もあります。たとえば、騒音・ゴミ・悪臭などは環境対策課のような部署に相談すると、当事者同士が話し合わなくても地域の問題として取り上げてもらうこともできます。役所の職員はご近所トラブルの相談にも慣れていますので良い助言をもらえるかもしれません。

4 直談判をする

ご近所の顔や名前を知っている方ならば直接伝える方法があります。“近頃ゴミが改修されないことがありますよね~”とか“夜に楽器の音が聞こえませんか?”のような雑談の中で伝えていくこともできます。ただ、いくら面識があるからと言っても言語の関係を考えると、まずは管理会社や自治会などへ相談する方がよいと思います。

5 専門家に相談する

最後の手段ですが、弁護士などの専門家に相談する方法があります。専門家の対応にもよりますが、ご近所さんと決定的な亀裂が生じる可能性もありますので慎重に判断されることをおすすめします。

 

 

| まとめ

 

1 ご近所トラブルは5~6人に1人が経験!

2 騒音がご近所トラブルで最多!

3 解決には第三者への相談がベスト!



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