相続の知識で争族にしない ~その2~

| “その1”を読まれていない方のために

 

今回は“相続の知識で争族にしない~その2~”です。その1を読まれていない方は“相続の知識で争族にしない ~その1~”をご参照ください。

面倒くさいという方のためにまとめておきます。

1 被相続人が離婚・再婚していたり、被相続人の面倒を見ていた方がいたり、不動産以外に遺産がない場合には、争族になりやすいと言われています。

2 相続は亡くなった方の財産や負債を受け継ぐ制度です。

3 同時に亡くなられたときには相続はありません。

4 胎児は相続することができます。

 

 

| 相続人ってだれ?

 

相続人になるのは一定範囲の親族です。このブログでは何度も書いていますが、もう一度書きたいと思います。詳しくは“相続人って誰?”を読んでいただけますと嬉しいです。

親族には奥さんの祖父母や姪の旦那さんも含まれますが、彼らはあなたの相続人ではありません。相続人になりうるのは、配偶者、曾祖父母、六世の孫、甥姪までです。

この中で相続人になることができる順番が決められています。

1 配偶者

2 子

3 直系の祖先

4 兄弟姉妹

配偶者は常に相続人です。お子さんがいれば相続人になります。お子さんがいない場合には、配偶者と直系の祖先が相続人です。お子さんも直系の子孫もいない場合には、奥さんと兄弟姉妹が相続人です。

曾祖父母や孫、甥姪などは代襲相続が発生したときに相続人になります。詳しくは“相続人って誰?”をご参照ください。

 

 

| 相続できない人もいる!

 

法定相続人の範囲に入っていても相続できない人がいます。たとえば、相続で不正な利益を得ようとして不法なことをしたりすると相続権がなくなります。“相続欠格”と言います。法律の文章は分かりにくいので簡単に言い換えますと、次のとおりです。

1 被相続人や先順位・同順位の相続人を殺したり、又は殺そうとしたりして刑に処せられた者

2 被相続人が殺害されたことを知っていながら訴えなかった者(例外あり)

3 被相続人をだましたり脅したりして遺言の作成・取消・変更をさせなかった者

4 被相続人をだましたり脅したりして遺言をさせたり、遺言の取消・変更をさせた者

5 遺言書を偽造したり書き換えたり捨てたり隠したりした者

 

その他にも“相続排除”という制度もあります。こちらは、被相続人が家庭裁判所の審判によって前もって相続人の相続権を失わせる制度です。被相続人の意思に重きを置かれているのですね。廃除の対象者は次の人です。

1 被相続人に虐待や重大な侮辱をした者

2 著しい非行をした者

 

 

| まとめ

 

1 親族と相続人は範囲が違います!

2 相続人の範囲内でも相続できない人がいます!

3 “相続欠格”と“相続排除”で相続させない!



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相続の知識で争族にしない ~その1~

| 相続を争族にしないために

 

相続は誰もが1度は経験するのではないでしょうか。親御さんが亡くなられたり旦那さんや奥さんが亡くなられたりすると、特殊な場合を除いて“相続人”になります。

争族になりやすいケースは多種多様ですが、次の場合には相続人の間でもめる可能性が高いと言われています。

1 亡くなられた方が離婚・再婚されている

2 亡くなられた方の面倒を見ていた方がいる

3 不動産以外に遺産がない

心当たりのある方は、相続について正しく理解をして死後に家族がもめないように対策を講じてください。行政書士、司法書士、弁護士などのプロに相談されることをおすすめします。

 

 

| 相続ってなに?

 

みなさんはもちろんご存知だと思われます。最初に一応は書いておかないと格好がつきませんのでご容赦ください。

相続は、ヒトが亡くなったときに、法律の規定や亡くなった人の意思に従って、その人が持っていた権利や義務を一定の者に承継させる制度のことです。定義のような言葉にするとややこしいですが、親御さんや配偶者が亡くなったときに相続人が財産を貰ったり負債を負ったりする制度です。亡くなった人を“被相続人”、相続する人を“相続人”と言います。

相続は、被相続人が亡くなったときに始まります。相続人が生きておられることが前提ですけれどもね。相続の場所は被相続人の住所です。

 

 

| 相続で迷う特殊なケース

 

相続人が生きておられることが前提と書きましたが、迷ってしまう微妙なケースもあります。たとえば、被相続人と相続人が一つの事故で亡くなられた場合、配偶者のおなかに赤ちゃんがいる場合ですね。

1 被相続人と相続人が一つの事故で亡くなられた場合

一つの事故で亡くなられるなど、被相続人と相続人のどちらが先に亡くなられたか分からない場合は、同時に亡くなったと推定されます。“推定”ですから反論・反証が可能です。

同時死亡の推定が適用されると、亡くなられた被相続人と相続人の間では相続が発生しません。

たとえば、Aさんには奥さんBとお子さんC、Dがいる場合を考えてみます。AさんとCさんが一つの事故で亡くなって、どちらが先に亡くなったのか分からず同時死亡の推定が適用されると、Aさんの相続人は奥さんのBさんとお子さんのDさんだけです。

もし、Cさんにお子さんがいらっしゃる場合には、そのお子さんもAさんの財産を相続します。これを代襲相続と言います。

2 配偶者のおなかに赤ちゃんがいる場合

ヒトは生まれることで権利を得たり義務を負ったりすることができるようになります。ですから、おなかの中にいる赤ちゃんはまだ生まれていませんので、本来なら相続する権利はありません。

ただ、生まれてくるのが被相続人の死亡よりも先か後かという数カ月のことで大きな差が出てしまいます。ですから、民法では、相続についておなかの中の赤ちゃんは生まれたものとみなされます。“みなされる”のですから反論・反証はできません。

 

 

| まとめ

 

1 相続はほとんどの人が経験する一大イベント!

2 同時に亡くなられると相続は発生しません!

3 おなかの中の赤ちゃんは生まれたものとされます!



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残したいものといらないもの

| 経営者は何を残したいの?

 

経営者は会社を背負って生きています。人生とともに成長してきた会社を信頼できる配偶者や子どもが引き継いでくれるのなら、これに勝る喜びはないのではないでしょうか。

経営者と配偶者が会社の引継ぎについてどのように思っているのかを、ストライクが調査を行ったそうです。調査の対象者は男性の経営者。自分がなくなったときに残したい資産は何かを尋ねています。

では、さっそく結果を見てみましょう。

1位 現金・預金(70%弱)

2位 居住用の不動産(40%強)

3位 会社(約40%)

4位 保険金(20%強)

5位 投資用の不動産(約20%)

現金・預金、家の次に会社が来ています。経営者の方は家を残したいのと同じくらいの割合で会社を引き継いでほしいと思っておられるようです。

 

 

| 経営者の妻が残されて困るものは?

 

では、逆に経営者の奥さんが残してほしくないと思っているものは何でしょうか。ストライクが去年の夏に調査しています。

1位 会社(40%弱)

2位 美術品・骨董品(20%弱)

3位 投資用の不動産(10%弱)

4位 株式・国債(7%)

5位 居住用の不動産(6%)

この結果を見て愕然とされる経営者の方は多いのではないでしょうか。約40%もの経営者は会社を残したいと考えているのに対して、40%弱の経営者の奥さんは会社を残してほしくないと答えています。

逆に残して欲しいものは、現金・預金(90%弱)、保険金、居住用の不動産、株式・国債となっています。会社と答えた奥さんは15%だったそうです。

 

 

| 事業の引継ぎは社会問題化

 

中小企業の経営者には団塊の世代(第一次ベビーブームの世代)が多いと思います。中小企業庁の2015年の調査によりますと、中小企業の経営者で最も多い年齢層は66歳だそうです。現在だと70歳ですね。

多数いる団塊の世代の経営者がいくら家族に事業を引き継いでほしくても、奥さんは会社を引き継ぎたくないと思っています。もちろんお子さんがしっかりと継いでくれるのが一番ですが、不景気なご時世ですから不安定な自営業はあまり人気がありません。脱サラをしてまで継いでくれるということは稀でしょう。

70歳になる中小企業の経営者は約245万人もおられますが、その半分は後継者が決まっていないようです。70歳は平均的な引退の年齢とも言われていますので、事業を辞めるかどうか思案されている経営者が多いのでしょうね。中小企業の黒字廃業がこれからどんどん増えていきそうです。

 

 

| まとめ

 

1 会社を残したい経営者は約40%!

2 会社を残してほしくない経営者の妻は40%弱!

3 中小企業の後継者が決まらず黒字廃業が多発する!?



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遺言のルールが変わりました

| 遺言書のいろいろな種類

 

単に遺言書と言った場合、どのようなものを思い浮かべますか?多くの方は自分で書く遺言書を思い浮かべるのではないでしょうか。自分で書いて自分で保管する遺言書は“自筆証書遺言”と言います。その他にも、自分で書いて公証人が保管する“秘密証書遺言”、船が沈みそうなときなど特殊な環境で書く“危急時遺言”や“隔絶値遺言”があります。これらは自分で書くことが前提です。

他の人に書いてもらう遺言には“公正証書遺言”があります。遺言書の案を作って公証役場へ行って公証人に作ってもらいます。

このように遺言書にはいろいろな種類があります。

 

 

| 自筆証書遺言のルールが変わりました

 

一番メジャー(?)な自筆証書遺言は、様式を守りながら全て自分で手書きをして自分で保管しておかなければいけませんでした。奥さんやお子さんは遺言書があることすら知らない場合には、遺品を回収する業者が遺言書を発見するということもあるようです。

自筆証書遺言は自分で書いて自分で保管するのが原則ですから作成に費用はかかりません。せいぜいペン代、紙代、封筒代、印鑑代でしょうか。ただ、自分で作成するのは大変です。特に財産目録は資料を集めるだけで一苦労です。それから手書きをするのですから、遺言書を書くのが億劫なのも理解できます。

新しい制度では、財産目録は手書きで書く必要がなくなりました。パソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることもできます。もちろん1枚1枚に署名と捺印は必須です。

この“手書き”という高いハードルが少し下がったことは高齢者にとって朗報ではないでしょうか。この改正は2019年1月13日から始まっています。

 

 

| 自筆証書遺言を法務局に預ける

 

自分で書いた自筆証書遺言を法務局に預けることができる制度もあります。これは2020年7月10日から始まります。現在の秘密証書遺言と似たようなものですが、あくまでも自筆証書遺言ですから証人が必要ありません。自筆証書遺言は家庭裁判所が開封しますが、これは秘密証書遺言でも同じです。

自筆証書遺言の欠点は紛失や偽造・変造の可能性があることです。自筆証書遺言を法務局に預けると、紛失や偽造・変造の可能性は激減します。秘密証書遺言も公証役場に保管してもらいますから同じです。

結局、秘密証書遺言との違いは承認が必要かどうかの違いになるのでしょうか。

 

 

| まとめ

 

1 遺言にはいろいろな種類があります!

2 自筆証書遺言は手書きがネック!

3 財産目録はパソコン作成ができるようになりました!

4 自筆証書遺言を法務局に預ける制度は来年発足!



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相続法の改正で何が変わる?

| 大きな改正は2~3か所

 

この記事の題名に相続法と書きましたが、主に民法の相続のところです。第1篇から順に総則、物権、債権、親族ときて相続が第5編になります。この相続部分と関連法の改正が2018年にありまして、法律の施行が2019年1月から順次行われることになりました。

改正で何が変わったのでしょうか?法務省のサイトで改正点をざっと眺めてみますと細かいところが多いように思います。私が個人的に大きな改正点だと思うところは2~3点だけでした。

 

 

| 配偶者居住権の新設

 

被相続人が亡くなって相続が開始すると、今まで住んでいた土地や建物も相続の対象になる場合が多いです。そうすると相続財産は相続人で共有しますから、勝手に住むわけにはいきません。家賃相当額の使用料を支払わないといけない場合もあります。亡くなった方の配偶者の方が住んでいると面倒くさいことになります。

そこで、配偶者居住権という権利を作って、配偶者は終身または一定期間無償で住めるようになります。もちろん条件はあります。具体的には、相続人が遺産分割をする場合に配偶者が配偶者居住権を取得して、配偶者以外の相続人は負担付所有権を取得するという制度です。

この制度のいいところは、今まで老夫婦で暮らしてきた家にそのまま住めるだけでなく、制限のある居住権を取得することで土地や建物の評価額が低くなって預貯金などの現金をより多く相続できるようになったことです。老後の不安も減って安心して暮らせるようになりました。

 

 

| 自筆証書遺言について

 

遺言の作成の多くは自筆証書遺言か公正証書遺言だと思います。自筆証書遺言は安価に作成できる反面、厳格なルールに違反すると無効になってしまいます。反対に公正証書遺言はお金がかかる代わりに間違いのない遺言を作ることができます。

自筆証書遺言では全て自筆で書く必要がありましたが、今回の改正で財産目録はパソコンで作成することができるようになりました。さらに通帳のコピーもOKです。

さらに、自筆証書遺言は紛失や改ざんなどが怖かったのですが、法務局での保管が可能になります。特に、同居していた相続人と遠隔地に別居していた相続人との間で書き換えや誘導があったような争いや禍根を残すこともありました。そのようなことがないように、第三者である法務局で自筆証書遺言を保管する制度が作られます。

 

 

| その他の改正点

 

その他の改正点としてまして、遺産の分割前に被相続人の預貯金が一部払い戻し(金融機関ごとに上限150万円)できるようになったり、被相続人の介護などをした相続人ではない親族にも金銭の請求ができるようになったり、配偶者に短期の居住権を付与することができるようになったり、20年以上の夫婦間限定で自宅の生前贈与が遺産の先渡しにならないように扱うことができるようになったりと色々あります。

施行日は内容によって様々です。自筆証書遺言の財産目録については2019年1月13日に施行されました。多くは2019年7月13日までに施行される予定ですが、配偶者居住権や遺言の補完制度については2020年7月13日までに施行されることになっています。施行日が決まると法務省のサイトに載せられますので、気になる方は覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

| まとめ

 

1 改正相続法の施行がスタート!

2 配偶者居住権を新設!

3 自筆証書遺言の財産目録がPCで作成可能に!



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