親が亡くなって遺産を相続することになった場合、相続人で遺産を分け合います。遺産には分けやすいものだけでなく、不動産などの分けにくいものもあります。これらをどうするか、だれがどれだけ相続するかを決めるのが遺産分割協議です。
では、遺産分割協議の書面、遺産分割協議書を自分で作るにはどうしたらいいのでしょうか。
遺産分割協議書の作成についてまとめたいと思います。
| 遺産分割協議書作成の手順
遺産分割協議書の作成は段階を踏んで行います。
1 相続人の確定
2 相続財産の確定
3 財産目録の作成
4 遺産分割協議(相続人の同意・了承)
5 遺産分割協議書の作成
大きく分けて5つの手順があります。それぞれについてまとめていきたいと思います。
| 相続人の確定(まとめ)
1 戸籍の収集
相続人を確定するために亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を収集します。戸籍は本籍のある市区町村役場で入手できます。遠方の場合には郵送でも取得できます。郵送の場合には次のものが必要になります。
(1)交付請求申請書
(2)亡くなった方と取り寄せる相続人の関係性(親子など)が分かる戸籍
(3)発行手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
(4)返信先の宛名を書いて切手を貼った返信用封筒
(5)取り寄せる相続人の本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカードなど)
(6)(代理人の場合)委任状
戸籍には、現在戸籍、除籍、改製原戸籍の3種類があります。新しい戸籍はワープロ打ちですので読みやすいですが、古い除籍や改製原戸籍には読みにくいものがあります。
除籍謄本や改製原戸籍謄本は右上にある「本籍」の部分とその左横にある上下2段組になっているところを読んでください。ここで本籍を遡って追っていけます。
2 相続人関係図を作って整理する
戸籍を読んでいるうちに全く知らない人も登場するかと思います。誰が誰だかわからなくなると困りますので、簡単に相続人関係図、いわゆる家系図を書いてみてください。頭の中が整理されてよくわかるようになると思います。
相続人関係図ができたら法定相続人が確定します。親、祖父母などの尊属、子、孫などの卑属、配偶者、兄弟姉妹、甥姪などが相続人になります。
| 相続財産の確定
1 相続財産の調査
相続財産は、まず預金通帳と郵便物から手を付けていきます。預金通帳があれば口座引落の取引先が分かりますし、郵便物では固定資産税通知書や請求書などで所有不動産や支払先が分かります。
固定資産税や都市計画税が課税されている不動産は市区町村役場で名寄帳を閲覧することもできます。家の前の私道などは非課税になっていますのでご注意ください。この場合には法務局で「公図」を閲覧して該当箇所の「登記事項全部証明書(登記簿謄本)」を取得します。その他の不動産の登記簿謄本も忘れずに。
株式は証券保管振替機構に問い合わせて開示請求をすると証券会社名が分かります。
また、借入金の調査は預金通帳や郵便物のほかに、個人の信用情報を開示請求するとわかります。信用情報の開示請求先は次の3つです。
(1)全国銀行個人信用情報センター(KSC)
(2)株式会社シー・アイ・シー(CIC)
(3)株式会社日本信用情報機構(JICC)
2 財産目録の作成
財産目録はすべての財産の一覧表です。相続財産にどのようなものがあるのかが一目でわかるようにするために作成します。遺産分割協議のときに威力を発揮します。相続財産に漏れがあると後々トラブルになりかねませんので、間違いのないように慎重に行ってください。
| 遺産分割協議書の作成
相続人と相続財産が確定したら、他の相続人と話し合いをしてください。全員と一度に話をする必要はありません。電話で個別に話してもいいですし、法要の際に話をしてもいいと思います。
相続人全員の同意・了承が得られましたら、遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書には書くべき内容がありますので注意してください。
(1)(題名)遺産分割協議書
(2)亡くなった方の氏名、最後の住所・本籍、登記簿上の住所、生年月日、死亡日など
(3)遺産分割協議に参加した人の氏名、住所
(4)誰がどの遺産を取得するのか
(5)相続する財産の具体的な内容
(6)遺産分割協議の日付
(7)記載のない遺産を誰が相続するのか
(8)相続人や遺贈を受けた人全員の氏名と住所(自筆)
(9)相続人や遺贈を受けた人全員が実印を押印
インターネット上にあるひな形を利用すると楽に作成することができると思います。裏技として「遺産分割証明書」を作成する」方法もありますが、詳しくは以前の記事「遺産分割協議書は自分で作れる?(遺産分割協議書の作成編)」をご参照ください。
| まとめ
1 遺産分割協議書の作成には手順がある!
2 相続財産の調査は間違いないように!
3 相続人・相続財産が確定したら協議書の作成へ!