毎年、行政書士試験の問題を検討しているのですが、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。
合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。今回も引き続き択一問題を見ていきます。
| 択一式 第14問(行政法)
選択式に引き続いて、択一式の問題も掲載しません。行政書士試験の問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターのサイトにありますので、気になる方は各自ダウンロードしてください。PDFファイルで約570KB程度のサイズです。
第14問は行政不服審査法の執行停止に関する問題です。執行停止は条文が3つしかありませんので、しっかりと学習して点数を取りたい分野だと思います。簡単にまとめますと、次のようになります。
1 原則
審査請求があっても執行停止しない。
2 例外
・審査庁が必要があると認めたときは執行停止ができる。
・重大な損害を避けるために緊急の必要があるときは執行停止をしなければいけない。
3 例外の例外
・公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるとき、本案について理由がないと見えるときは執行停止ができない。
・処分の効力の停止はこれ以外の措置で目的を達成できるときは執行停止ができない。
【肢1】
誤りです。重大な損害を避けるために緊急の必要があるときでも、本案について理由がないと見えるときは執行停止できません。
行政不服審査法 第25条
略
2 略
3 略
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5以下、略
【肢2】
誤りです。執行停止をした後であっても、執行停止によって公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかになったときなど事情が変更したときは、執行停止を取り消すことができます。
行政不服審査法 第26条
執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
【肢3】
正しいです。審理員は執行停止について意見書を提出することができます。意見書が提出された場合には、審査庁は速やかに執行停止をするかどうかを決定しなければいけません。
行政不服審査法 第25条
略
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
行政不服審査法 第40条
審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。
【肢4】
誤りです。再審査請求でも審査請求の規定である25条2項が準用されています。それ以外の25条1項、3項~7項、26条、40条は準用されていませんのでご注意ください。
行政不服審査法 第66条
第二章(第九条第三項、第十八条(第三項を除く。)、第十九条第三項並びに第五項第一号及び第二号、第二十二条、第二十五条第二項、第二十九条(第一項を除く。)、第三十条第一項、第四十一条第二項第一号イ及びロ、第四節、第四十五条から第四十九条まで並びに第五十条第三項を除く。)の規定は、再審査請求について準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 再審査庁が前項において準用する第九条第一項各号に掲げる機関である場合には、前項において準用する第十七条、第四十条、第四十二条及び第五十条第二項の規定は、適用しない。
行政不服審査法 第25条
略
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3以下、略
【肢5】
誤りです。行政不服審査法25条2項のとおり、審査庁は申立または職権により執行停止をすることができます。どこが審査庁になるのかもしっかりと暗記してください。
| まとめ
1 執行停止の条文は3つ+準用条文だけ!
2 再審査請求の準用規定は25条2項だけ!
3 審査庁がどこになるのかも要確認!