大家さんから一方的に家賃の値上げを伝えられて困っている方はいらっしゃいませんか?値上げされた後の家賃を支払わないと追い出されるのでしょうか?このような場合には供託という制度を使えるかもしれません。
今回は家賃を供託できる場合について書きたいと思います。
| 供託ってなに?
法務省のサイトによりますと、「供託とは、金銭、有価証券などを国家機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度」です。
難しいですね。簡単に言いますと、値上げした家賃を請求されたけれども納得できない場合、供託所に家賃を預けておくと家賃の支払いが滞納したことにはならないという制度です。
ただし、供託が認められるのは法令によって認められた場合だけです。家賃の場合には、民法494条が当てはまりそうです。
民法 第494条
債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
このような場合にする供託を弁済供託というようです。
| 弁済供託はどんな場合にできるの?
弁済供託をするためには次の要件を満たしていなければいけません。
1 供託原因が存在すること
供託原因とは、大家さんの受領拒否や受領不能です。民法494条では債権者を知ることができない場合にも供託ができますが、契約書に記載されているとおり、通常は大家さんが誰なのかを知らないということはないでしょうから、ここでは省略します。
過去の事例で大家さんに受領拒否が認められたのは次のような場合です。一例です。
(1)大家さんから家賃の値上げを要求されて協議が整わないときに従前の家賃を提供しても大家さんが受け取りを拒否したとき
(2)共同住宅で契約に従って家賃に光熱費を含めた金額を提供したけれども大家さんが受け取りを拒絶したとき
(3)公営住宅の賃借人が家賃の値上げを不当なものと考えて従前の家賃を提供したけれども大家さんが受け取りを拒否したとき
(4)家賃の支払場所が借りている部屋であるときに、催告をしたにもかかわらず支払日を経過しても大家さんが受け取りに来ないとき
(5)賃借人が家賃を提供しても大家さんが領収書を発行しないとき
(6)家賃の滞納があるけれども、そのうちの1か月分の家賃と遅延損害金を提供したのに大家さんが受け取らないとき
2 供託物と債権の同一性
供託をする物が弁済の目的物でなければいけません。通常、家賃はお金で支払いますから、供託する物は現金になります。
| まとめ
1 供託は国にお金を預ける制度!
2 供託が認められるの法令に書かれている場合だけ!
3 家賃の値上げの場合には供託ができるケースも!