不動産登記簿謄本(登記事項証明書)については以前の記事でお伝えしました。
不動産登記簿謄本(登記事項証明書)に似たものとして“登記事項要約書”というものがあります。登記事項要約書っていったい何なのでしょうか?
| 登記事項要約書ってなに?
登記事項要約書は、登記事項証明書の一部分を記載したもので、法務局が内容を証明していないものです。
昔は登記事項要約書はありませんでした。と言いますのも、昔は登記簿が紙で保存されていましたので、それらを閲覧することができました。登記簿を閲覧して必要な箇所だけメモをとったりしていたようです。今は全てデータになっていますから閲覧ができません。
そこで、登記簿の閲覧の代わりのサービスとして登記事項要約書の交付が行われるようになりました。メモの代わりですから、法務局が内容を証明することはありません。正面分もなければ印も押されていません。さらには法務局名も省略されています。
では、登記事項要約書には何が書かれているのでしょうか?
登記事項要約書には、現在の登記の内容が書かれています。過去の内容はありません。内容としては“登記事項現在事項証明書”と同じです。違いは法務局の証明があるかどうかです。
| 登記事項要約書の取り方
登記事項要約書は、不動産の所在地を管轄する法務局の窓口でもらうことができます。管轄の異なる法務局へ行っても取得できませんのでご注意ください。
また、登記事項証明書は郵送でも取寄せられませんし、インターネットで取得することもできません。あくまでも“閲覧のメモの代わり”だからです。
登記事項要約書の取得に必要な手数料は450円です。登記情報提供サービスで登記事項全部証明書を取得すると334円ですから、インターネットを使える環境でクレジットカードを所有していて登記情報提供サービスの利用登録ができる方は、登記事項要約書を取得するよりも内容的にも金銭的にもお得です。
登記情報提供サービスを利用できる方は、所有者事項情報を取得することができます。1通あたり144円で、所有者の氏名と住所を知ることができます。
| 登記事項要約書が必要な場合
登記事項要約書は、法務局の証明が必要なく、さらに現在有効な権利関係がわかればよいという場合に取得します。
登記情報提供サービスが使えない方で現在の有効な権利関係を知りたい方が取得するというかなり利用しづらいサービスになっています。
登記事項要約書の利用場面としては、相続名義変更など申請書に従前の情報を正確に記載しなければいけない場合などでしょうか。ただ、申請書に不動産番号を記載すれば記載事項を省略できる場合がありますので、全部事項証明書を取得した方がよいかもしれません。
| まとめ
1 登記事項要約書に証明力なし!
2 登記情報提供サービスを利用する方がお得!?
3 相続名義変更申請書の作成時に使える!?