家族からの暴力やストーカー行為、児童虐待などが原因で家族から逃げたいと思われている方はたくさんいらっしゃいます。警察の資料では、家族からの暴力の相談は年間約80,000件、ストーカー行為の相談は年間約20,000件にも上っています。
このような被害から逃れるためには引越しをするだけでは足りません。警察への相談はもちろん、行政が力を貸してくれることがあります。
今回は、裁判所の支援措置について書きたいと思います。
| 裁判所の仲裁
家族から逃げるための法的な方法として、家庭裁判所による仲裁があります。“親族関係調整調停”です。親族関係が円満でなくなった場合に、家庭裁判所が円満な親族関係を回復するための話し合いの場を設けます。
親族関係調整調停では、調停委員が当事者双方の事情を聞いたり必要に応じて資料の提出を求めたりします。円満にいかない事情を調停委員が把握することで解決案を提示したり解決に必要な助言したりします。
代理人を通じて手続きができますので、直接相手と顔を合わせる必要はありません。代理人は弁護士がします。親族関係調整調停の手続の前に弁護士を尋ねてもいいですし、裁判所で教えてもらいながら手続きをした後に弁護士を尋ねてもOKです。
ただし、相手方が調停での話し合いを拒絶しているときは、調停での解決は期待できません。
| 親族関係調整調停の方法
親族関係調整調停を申し立てるには申立書を提出します。申立先は、相手方の住所がある家庭裁判所です。
申立書は複写式になったものが裁判所に置かれています。複写式の申立書を使わない場合には、申立書の写し(コピー)を1通用意して提出します。申立書を3通準備するように言われることもあります。
その他には、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手1000円分(80円×10枚、50円×2枚、10円×10枚)を準備しておきます。連絡用の郵便切手は裁判所によって異なることがありますので、事前に電話などで問い合わせておいた方が安心です。
また、“連絡先などの届出書”や“進行に関する照会回答書”を提出することもあります。
| 親族関係調整調停申立書の書き方
親族関係調整調停の申立書は、基本的に申立人と相手方の住所・氏名・生年月日を記入します。ハンコを押す箇所もあります。また、“申立ての趣旨”や“申立ての理由”を書く欄があります。これらの欄の書き方は難しいと思いますので、弁護士に依頼した方が間違いはないと思います。
ひな形は次のようなものです。
裁判所の記入例も挙げます。
当事者が多い場合には“当事者目録”を提出することがあるそうです。詳しくは家庭裁判所か弁護士にお尋ねください。
| まとめ
1 親族関係調整調停で裁判所が仲裁!
2 相手が話し合いを拒絶すれば調停不可!
3 申立ての趣旨や理由を書くのは難しい!?