宅建士試験の振り返り(2020年度12月)問3・4

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

今回から2020年12月試験の問題を振り返ってみたいと思います。まずは民法から始めてまいります。

 

 

| 2020年12月試験 民法

 

まずは民法から振り返っていきます。受験をされなかった方はインターネット上で問題を探してみてください。

1 問3 正解肢4

親族に関する問題です。民法の規定と判例の内容を問うています。

肢1 姻族関係の終了

姻族とは、配偶者の3親等内の血族のことです。姻族関係は離婚によって終了しますが、配偶者の死亡によっては当然には終了しません。配偶者が死亡した場合は、姻族関係修了届を提出すること姻族関係が終了します。

肢2  財産分与の請求

離婚をすると相手に財産分与を請求できます。財産分与には、夫婦の財産の清算、慰謝料などの損害賠償、離婚後の生活の扶助の意味合いがあります。このうち、慰謝料などの損害賠償を請求する場合には相手方の有責不法の行為が必要ですが、財産の清算や離婚後の生活扶助は相手方の有責不法の行為は必要ありません。

肢3  未成年後見人の選任

未成年者に親権者がいないときには家庭裁判所は未成年後見人を選任します。選任請求ができるのは未成年者本人とその親族が基本ですが、利害関係人の請求や家庭裁判所が職権で選任することもあります。検察官は請求できません。また、未成年後見人は親族の中から選ばれるとは限りません。

肢4  夫婦間の共有財産

婚姻後に築いた財産のうち夫婦のどちらに属するか明らかでない財産は、財産の帰属を定めている場合を除いて、夫婦の共有の財産になります。

2 問4 正解肢2

債務不履行に関する問題です。民法の規定と判例の内容を問うています。

肢1  不確定期限と遅滞責任

債務の履行に不確定期限のある時は、期限の到来後に請求を受けた時点か期限の到来を知った時点のいずれか早い方です。期限の到来を知らなくても、期限の到来後に請求を受けたときに履行できなければ履行遅滞になります。

肢2  特定物の受領拒否

目的物の引渡しを理由なく拒絶した場合は受領遅滞になります。受領遅滞によって履行費用が増加した場合には、全額が債権者(目的物の受領者)の負担になります。

肢3  履行遅滞中の履行不能

履行遅滞中に、当事者の双方の責めに帰することができない事由によって履行不能になった場合には、履行不能の責任は履行遅滞中の債務者が負います。

肢4  履行不能による損害賠償請求

債務者の責任によらずに履行不能になった場合は、債権者は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。契約の初めから履行不能であった場合でも損害賠償請求ができます。

 

 

| まとめ

 

1 配偶者が亡くなっても姻族関係は終了しない!

2 財産分与には3つの意味がある!

3 受領拒否・履行遅滞中の責任は本人に!



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