行政書士試験の振り返り 問題9・10

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)です。合格発表まであと少しですね。受験された方は解答速報でおおよその自己採点ができているかと思います。気が気でない方もいらっしゃるでしょう。

そこで、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式が終わりましたので、択一式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。今回から行政法です。

 

 

| 問題9 正解肢1

 

処分に関する判例問題です。処分の取消や無効、撤回について問われています。

肢1 明白な瑕疵(最判S36.3.7)

処分が無効になるのは重大かつ明白な瑕疵があるときです。明白な瑕疵になるのは、外形上・客観的・一見看取の3つが揃ったときです。処分の瑕疵は行政書士試験に必須事項です。

肢2 発信主義と到達主義(最判S29.8.24)

行政庁からの処分の通知は到達主義です。処分の相手方に通知が届いた時点で処分の効力が発生します。処分の通知を発した時ではありません。

肢3 不可争力発生後の無効(最判S48.4.26)

課税処分について不服申立期間が過ぎて不可争力が発生すると、例外的な場合を除いて課税処分が当然に無効になることはありません。例外的な場合は、たとえば課税処分による不利益が著しく不当だと認められたときです。

肢4 根拠規定のない撤回(最判S63.6.17)

行政処分には原則として法による根拠規定が必要です。しかし、公益上の必要が高い場合、法令上の根拠がなくても撤回できる場合があります。ただし、処分をする権限がなければいけません。

肢5 訴願後の裁決庁の取消(最判S29.1.21)

訴願を認める裁決が出された後は、原則として裁決庁自ら認容した裁決を取り消すことはできません。

 

 

| 問題10 正解肢2

 

地方公共団体が締結する契約に関する問題です。契約の種類と制限について問われています。

肢1 契約の相手方の選定方法

地方自治法234条1項によれば、契約の相手方の選定方法は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、競り売りの4種類です。条例で定めることはできません。

肢2 契約の相手方の選定方法

地方自治法234条2項によれば、指名競争入札、随意契約、競り売りの3種類は政令で定められた場合のみ行うことができます。一般競争入札にはそのような制限はありません。

肢3 一般競争入札

一般競争入札は、原則として最高または最低の価格で申し込んだ人と契約をします。ただ、例外として、普通地方公共団体の支出の原因となる契約の場合にだけ、最低の価格以外で申し込んだ人と契約ができます(地方自治法234条3項)。

肢4 随意契約の手続

地方自治法234条6項によれば、随意契約や競り売りの手続や方法については政令で定めることになっています。

肢5 契約締結と議会の議決

契約の種類や金額を条例で定めた契約を締結する場合には、議会の議決が必要です(地方自治法96条1項5号)。指名競争入札に限定されていません。

 

 

| まとめ

 

1 処分の瑕疵は行政書士試験に必須分野!

2 根拠規定の不要な行政処分には要注意!

3 地方公共団体の契約の種類は内容まで理解!



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