2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。
合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一だけを検討をする予定でしたが、記述式についても書きたいと思います。
今回は、2019年の問題25、問題26です。今回で行政法の択一は終了です。次回は多肢選択式を検討します。行政法は苦手なのでつたない検討になりますがご了承ください。
| 行政書士試験の行政法検討(問題25~26)
行政法の択一は問題8~26の19問です。選択式は問題42と問題43の2問です。記述式は問題44の1問です。択一式の問題数が多いですね。
【問題25】
上下水道に関する問題です。組合せの判例問題です。正しいものを選びます。
ア 問題文のとおりです。取水源が貧困で取水量の増加が困難なときは、水不足が生じないように水道水の需要の著しい増加を抑制する施策を採ることができます。
イ 問題文のとおりです。水道の給水契約締結の拒否をちらつかせて寄付金の納付を迫ることは違法です。寄付金の納付が任意であれば適法です。水道事業者は、正当な理由がなければ給水契約の申し込みを拒めません。
ウ 建築指導要綱に従わないことから建築中のマンションの給水契約を拒否することは、建築指導要綱順守のための行政指導を継続する理由があっても違法です。行政指導は任意でなければいけませんし、水道事業者は正当な理由がなければ給水契約の申し込みを拒めません。
エ 建築基準法違反の状態を是正するために給水装置新設工事の申込書を返戻する行為は、建築確認を受けて改めて申し込みをするよう一応の勧告をしたにすぎず、最終的な受理の拒否ではない場合には適法です。
【問題26】
国公立学校に関する問題です。組合せの判例問題です。妥当なものを選びます。行政法では難しい裁量権の範囲や原告適格などが出題されています。
ア 剣道実技の履修を宗教上の理由で拒否した有名な判例ですね。判例では問題文のような判断をすべきではないとしています。校長の裁量権の範囲を超えたり濫用したりしたと認められる場合に限り違法であるとしています。判例では、裁量権の範囲を重大な事実誤認、目的違反、信義則違反、平等原則違反、比例原則違反、手続き違反などの理由で判断しています。
イ 同一市内の他の中学校に転任させる処分は、単に配置換えを命じたもので転任させられた教諭に不利益がない場合には、特段の事情がない限り、当該教諭に転任処分の取り消しを求める法律上の利益は認められません。
ウ 国歌斉唱の斉唱やピアノ伴奏に関する有名な判例ですね。一時話題になりました。校長が教職員に対して命じた、儀礼的行事での行動に関する職務命令は、校長の上司としての職務上の指示であって、教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響しません。したがって、抗告訴訟の対象になる行政処分には当たりません。
エ 富山大学の専攻科修了不認定事件です。単位不認定事件と併せて有名な判例ですね。国公立大学は一般市民の利用に供された施設で、学生は一般市民として公の施設を利用する権利があります。大学が学生に対して国公立大学の利用を拒否することは、公の施設を利用する権利の侵害にあたり司法審査の対象になります。
ちなみに、単位不認定の方は部分社会の法理を展開して単位の不認定は当然には司法審査の対象になるものではないとしました。
| まとめ
1 給水契約の申し込みは正当な理由がなければ拒めません!
2 行政指導は任意でなければいけません!
3 裁量権の範囲や部分社会の法理はしっかり学習しましょう!