宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は相続のその1です。相続はそれほど多く出題されていませんが、細かい知識が問われています。基本を押さえた上で知識を上乗せしてください。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 法定相続人
1 配偶者
2 子(第1順位)
3 直系尊属(第2順位)(父母・祖父母など)
4 兄弟姉妹(第3順位)
| 相続欠格と相続廃除
1 欠格
相続に関して、不法な行為によって利益を得ようとした者の相続権を剥奪する制度です。
・被相続人や先順位・同順位の相続人を殺したり、又は殺そうとして刑に処せられた者
・被相続人が殺害されたことを知っていながら訴えなかった者(例外あり)
・被相続人をだましたり脅したりして遺言の作成・取消・変更をさせなかった者
・被相続人をだましたり脅したりして遺言をさせたり、遺言の取消・変更をさせた者
・遺言書を偽造したり書き換えたり捨てたり隠したりした者
2 廃除
家庭裁判所の審判や遺言によって相続人の相続権を剥奪する制度です。
・被相続人に対する虐待、重大な侮辱
・著しい非行
| 代襲相続
法定相続人が相続開始以前に死亡したり、相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合に、その者の子が代襲して相続人になる制度です。相続放棄の場合は代襲相続されませんので注意してください。
| 法定相続分
法定相続分は表でまとめて覚えてください。基本になります。
| 指定相続分
遺言で相続人の相続分を指定することができます。たとえば、妻Aに7/10、子Bに2/10、子Cに1/10といった具合です。
| 特別受益者
特別受益者は、相続人で、被相続人の生前に贈与を受けたり遺言によって遺贈を受けたりした者のことです。
相続の時の財産に贈与や遺贈した額を加えて分配します。特別受益者は相続分から贈与や遺贈によってもらった額を差し引かれます。
| 寄与分
相続人で、相続財産の維持や増加に貢献した場合に増加される相続分のことです。
相続の時の財産から寄与分を差し引いた額を分配します。寄与のある者は、相続分に寄与分を加えた額を受け取ることができます。
| 遺産分割
1 指定分割
遺言で分割方法が指定された場合の遺産分割です。5年以下であれば、遺産の分割を禁止することができます。
2 協議分割
相続人が全員参加して遺産の分割を協議する場合の遺産分割です。協議の結果を記した遺産分割協議書が作成されます。
3 家庭裁判所の審判による分割
協議が整わないときに行う遺産分割です。相続人は1人でも家庭裁判所に遺産の分割を請求することができます。
| 遺産分割の注意点
1 被相続人の同居人
被相続人の許諾を得て同居していたときは、特段の事情のない限り、遺産分割までは同居人に無償で使用させる旨の同意があった者と推認されます(最判H8.12.17)。
2 遺産分割協議の解除
共同相続人の全員が、すでに成立した遺産分割協議の全部または一部を合意による解除をした上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上当然に妨げられるものではありません(最判H2.9.27)。
| まとめ
1 法定相続人と法定相続分は丸暗記!
2 欠格・廃除・放棄は区別して暗記!
3 特別受益者や寄与分には要注意!