意外に厳しい宅建業免許のポイント1

宅建士試験で問われるポイントを過去問中心に書いていく第4弾です。今回は宅建士試験に必須の“免許基準”です。覚えることが多いところですが、分かってしまえば点数につながります。

下線は過去問に問われたところです。

 

 

| 宅建業の免許基準ってなに?

 

不動産屋を営むためには宅建業の免許が必要です。免許は誰でも受けられるわけではありません。細かい基準があります。

免許の基準は、“欠格要件”という形で決められています。“欠格要件”ですから、欠格要件に該当すると免許を受けられないということです。免許をつけている場合には取り消される要件にもなります。

免許の基準には大きく分けて2つあります。形式的な欠格要件と実質的な欠格要件です。形式的な欠格要件は、申請書や添付書類の中で重要事項の記載漏れがあったり、虚偽の記載があったりする場合です。

虚偽の記載をして申請すると100万円以下の罰金に処せられますので、かなり厳しいのではないでしょうか。過料じゃなくて罰金ですから前科持ちになってしまいます。記載内容を間違えないようにしっかりとチェックしてください。

 

 

| 宅建業免許基準~実質的な欠格要件

 

実質的な欠格要件は15個あります。これらのうち一つでも該当すると免許が拒否されます。また、免許を持っていると取消の原因になります。

免許の欠格要件には、該当しなくなるとすぐに申請ができるものと5年間の期間が設けられているものがあります。すぐに申請ができるものを意識して覚えて、残りは5年間の期間付きと決めておくと覚えることが少なくなります。

1 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者(1号)

成年被後見人や被保佐人の審判が取り消されたり破産後に復権を得たりした場合には、翌日から免許を受けられます。

2 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(3号)

禁固以上の刑には禁錮・懲役・死刑の3つがあります。刑務所から出てきて5年間は宅建業の免許を取得できません。

判決に不服があって控訴・上告中の場合は該当しませんが、執行猶予中は該当します。また、執行猶予の期間が経過後は翌日から免許を取得できます。しかし、刑の時効が完成した場合や刑の執行が免除された場合は、その日から5年間は免許を取得できません。

3 宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(3号の2)

罰金刑で免許を取得できなくなりますから、かなり厳しい規定です。傷害罪~脅迫罪は暴力的な事件を起こした場合です。現場助勢罪は喧嘩の野次馬、凶器準備集合罪は決闘のために鉄パイプを持って集まった場合などです。背任罪はライバル会社に企業の秘密を売り渡した場合などですね。控訴・上告、執行猶予については2と同様です。

 

 

| まとめ

 

1 不動産屋をするには厳し条件があります!

2 一定の罪で罰金以上を受けると免許取得不可!

3 執行猶予中も免許取得不可!



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宅建業になること、ならないこと

| 宅地建物取引業ってなに?

 

宅地建物取引業は一般的な不動産屋の仕事のことです。宅地建物取引業法では次のように書かれています。

“宅地建物取引業とは、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう(2条2号)。”

これを読んでもさっぱり分かりませんね。

取引の対象になるのは“宅地”と“建物”です。駐車場の賃貸は宅建業ではありません。

行為としては“売買”と“交換”。それに、“売買・交換・貸借の代理”と“売買・交換・貸借の媒介”です。簡単に言いますと、自分が売主や買主になること、他人の不動産の売買や賃貸の代理や媒介をすることです。

ポイントは自分の不動産を貸借するときには宅建業ではないのです。

また、“業として”の意味は(1)不特定多数を相手に、(2)反復・継続する場合と言われています。営利目的かどうかは問いません。

 

 

| 宅建業者って?

 

宅建業者は免許を受けて宅建業を営む者です。宅建業を営む者には、(1)免許を受けている者、(2)免許を受けていない者、(3)国や地方公共団体(都道府県や市区町村)の3種類があります。

国や地方公共団体は免許を受けなくても土地の売買を業としてできます。市有地の払下などは典型的ですね。

免許を受けずに宅建業を営むとかなり厳しい罰則があります。

1 無免許で宅建業を営んだ者:3年以下の懲役または300万円以下の罰金

2 他人に名義を貸した場合:3年以下の懲役または300万円以下の罰金

3 無免許なのに宅建業の表示・広告をした場合:100万円以下の罰金

4 他人に名義を貸して宅建業の表示・広告をさせた場合:100万円以下の罰金

懲役刑まであるなんてかなり厳しいですね。

 

 

| 罰則って他にどんなのがあるの?

 

宅建業法にある罰則はものすごく多いです。とくに免許関係は厳しいです。

1 不正の手段で免許を受けた者(宅建業法3悪)

3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。法人の場合は罰金の上限が1億円まで増えます。

2 無免許で宅建業を営んだ者

上で書いた通り、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。法人の場合も上記と同様です。

3 名義貸し

上で書いた通りです。法人の場合も1億円が上限です。

4 業務停止命令違反(宅建業法3悪)

3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。法人の場合は上限1億円です。

この4つの罰則が一番重いです。その他には次のようなものがあります。

1 変更の届出をしなかった場合:50万円以下の罰金

2 契約書を書面で渡さなかった場合:50万円以下の罰金

3 報酬額を見やすい位置に提示しなかった場合:50万円以下の罰金

4 従業員に証明書を携帯させずに業務をさせた場合:50万円以下の罰金

5 重要事項説明のときに宅建士証を提示しなかった場合:10万円以下の過料

最後の宅建士証の不提示は“過料”ですので刑事的な罰ではなく行政的な罰です。行政的な罰は“過料”、刑事罰は“科料”と区別されます。どちらも“かりょう”と読むのですが、専門家は“過料”を“すぎりょう”、“科料”を“とがりょう”と言ったりするそうです。

 

 

| まとめ

 

1 自分の駐車場を他人に貸すのは宅建業ではありません!

2 無免許で宅建業を営むと懲役刑になるかも!

3 宅建士証の不提示にも罰則があります!



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不動産屋の免許って誰でも取れるの? ~その2~

| 前回のまとめ

 

前回の記事で不動産屋の免許には、大臣免許と知事免許があっていくつかの要件もあると書きました。免許があれば全国のどこでも営業ができることがメリットですね。

ただし、申請書にウソを書いたり、被成年後見人・被保佐人・破産者は免許が貰えなかったり、悪いことをした人やすることが分かっている人も免許がもらえません。

今回はもう少し細かな要件を見ていきます。

 

 

| 免許のための実質的要件 2

 

前回では申請者本人だけに関するものを挙げてみました。今回は本人と関係者に関するものを挙げていきます。前回と同じように今回も要件に該当すると免許がもらえません。

1 禁固以上の刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年以内の者

禁固以上の刑というのは“禁錮”と“懲役”です。“死刑”もありますが、死刑判決で刑務所にいる人は事務所を持てませんのでそもそも免許を取ることはありません。刑務所から出てきてから5年以内は免許がもらえません。ただ、禁錮や懲役でも執行猶予がついていた人は、執行猶予が終わった日からすぐに免許の申請ができます。

2 宅建業法違反、暴力的犯罪、背任罪で罰金以上の刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年以内の者

この要件は他の免許ではなかなか目にすることはありません。宅建業と建設業くらいでしょうか。さきほどの禁錮以上とは違って、こちらは罰金以上です。一般的には“罰金”“禁錮”“懲役”です。暴力的犯罪では、脅迫罪、暴行罪、傷害罪、傷害現場助勢罪、凶器準備集合及び結集罪が挙げられています。

3 宅建業法の3悪で免許が取り消されてから5年以内の者

宅建業法の3悪は、(1)不正な手段で宅建業免許を受けたとき、(2)業務停止事由に該当して情状が特に重いとき、(3)業務停止処分違反の3つです。宅建業法ではこの3つは特に悪いことだとされていますので、“3悪”と呼ばれてたりします。

4 法人で3に該当する場合の役員

宅建業法3悪で免許を取り消されるときには“聴聞”という言い訳をする機会が与えられます。この聴聞の期日や場所が公示される前、60日以内に役員だった人は、5年間宅建業の免許を取ることはできません。黒幕を逃さないためです。

5 宅建業法3悪で免許取消の聴聞の公示日以降に解散や廃止をした者

悪だくみをする人は、聴聞の公示があると会社を解散したり宅建業を廃止したりして免許取消処分を免れようとするかもしれません。3悪で免許取消処分になると5年間免許が取れませんからね。このような悪だくみを防ぐためにこのような規定があります。

6 法人で5に該当する場合の役員

聴聞の公示日前、60日以内に役員でだった人も新たに宅建業の免許を5年間取ることができません。こちらも黒幕を逃さないためです。

7 営業の許可がない未成年者と法定代理人

未成年者は親から営業の許可を貰うと大人と同じように営業ができます。営業の許可がない未成年者が宅建業の営業をする場合には、未成年者本人と法定代理人(親)が宅建業免許の要件を満たしているかどうかを審査されます。営業の許可を親から得ている場合には未成年者だけが要件を満たしているかどうかを審査されます。

8 法人の役員や政令使用人

法人の役員や政令使用人(支店長、支配人など)が宅建業免許の要件を満たしている必要があります。

9 個人事業主の政令使用人

法人の政令使用人と同じように、個人事業主が雇っている政令使用人が宅建業免許の要件を満たしているかどうかが審査されます。

10 従業員5人に1人以上の宅建士

 

以上が、不動産屋の免許を取るための要件です。いろいろと厳しい要件もありますが、悪いことを逃さないためのものですね。不動産屋を開業したい人はまずは宅建士の資格、次に免許の要件を検討してみてください。

 

 

| まとめ

 

1 喧嘩の野次馬で罰金刑になってもダメ!

2 宅建業法3悪にあたると免許がもらえません!

3 法人の役員や政令使用人も清廉潔白に!



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不動産屋の免許って誰でも取れるの?

| 一般的には誰でも取れます

 

不動産屋の免許は“宅地建物取引業”の免許です。大臣免許と知事免許があり、大臣免許は事務所が2つ以上の都道府県にある場合、知事免許は事務所が1つの都道府県にある場合です。どちらの免許でも全国どこでも営業ができます。

免許と取るために必要な資格は宅地建物取引士(宅建士)だけです。宅建士は従業員5人に1人以上いないといけません。宅建免許を取るための条件になっています。1人だけで不動産屋を営もうと思っても宅建士の資格が必要です。

免許の基準は言い換えると免許取消の条件とも言えます。まだ免許を持っていない人にとっては免許をもらうために満たす基準ですし、すでに免許を持っている人にとっては免許の条件を欠くと免許取消の対象になります。

免許の基準は大きく分けて2つあります。

1 形式的要件

2 実質的要件

法律では、“欠格要件”として記載されています。“○○に該当すると免許をあげませんよ”という書き方です。

形式的要件と実質的要件を見ていきます。

 

 

| 免許のための形式的要件

 

形式的要件は2つだけです。

1 重要事項の記載漏れ

申請書や添付書類の重要事項に記載漏れがあって、役所から問い合わせがあっても補正できない場合には免許はもらえません。

2 虚偽の記載

申請書や添付書類にウソの記載があって、それがバレた場合には免許がもらえません。

 

 

| 免許のための実質的要件

 

こちらはたくさんあります。大きく分けて、(1)申請者本人だけに関するもの、(2)申請者本人や関係者に関するものがあります。

申請者本人だけに関する要件から見ていきます。これらに該当すると免許がもらえません。

1 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者

成年被後見人や被保佐人は制限行為能力者と呼ばれている人で、認知症になった人などが対象です。物事がよく分からなくなった人に免許をあげられませんので、欠格要件になっています。また、破産者は財産の管理ができない人ですから、このような人にも免許を挙げることはできません。

2 免許の申請前5年間に宅建業で不正または著しく不当な行為をした者

当たり前といえば当たり前ですね。以前に不正や不当なことをした人に免許はあげられません。“5年”となっていますが、この年数は他の要件でもよく出てきます。ほとんどの要件に“5年”の期間がついています。

3 宅建業で不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者

悪いことをするとはっきりとわかっている人に免許をあげることはできません。

 

今回は、実質的な要件のうち申請者本人だけに関するものを挙げました。次回は申請者本人と関係者に関するものを見ていきます。

 

 

| まとめ

 

1 不動産の免許を取るには宅建士の資格が必須!

2 申請書にウソを書くと免許がもらえません!

3 破産者や悪いことをした人は免許をもらえません!



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ありもしないおとり物件にはご注意を!

| この物件、すごい!

 

“新築住宅を購入して一国一城の主に!”という夢や“一人暮らしをして思う存分自由に暮らしたい!”という思いをもって、物件がたくさん載っているポータルサイトで様々な物件を探し始めた方。中にはこの価格でこの物件はすごい!駅近だし、安いし、広いし、きれい!と飛びつくのは少し注意してください。

実際にメールや電話で問い合わせてみると、物件の案内の日程を調整することになると思います。ところがここで悪質な不動産屋は卑怯な手を使ってきます。

さぁ、物件を見に行こう!と不動産屋へ出向くと、“さきほどこの物件が売れた(入居者が決まった)んですよ。似たようなほかの物件がありますのでご案内させていただきたいのですが、いかがでしょうか?”などと言われたりします。

この物件、本当にあったのでしょうか。今回はこのようなおとり物件について書きたいと思います。

 

 

| おとり物件は見分けられる?

 

おとり物件は、すでに売れていたり入居者が決まっていたりする物件を、すでに案内ができないことを知りながら、集客のために広告をして、問い合わせてきたお客さんを店までおびき寄せて他の物件を案内する手法です。中には全く存在しない物件を作り上げる業者もあると聞きます。

おとり物件の場合は現地での待ち合わせを嫌がります。ただし、現地での待ち合わせを断られたからと言ってかならずおとり物件というわけではありません。どちらかと言えば、店舗で広告を出せない物件も併せて検討してもらいたいと考えている営業マンの方が多いと思います。

実は、大手のポータルサイトにもおとり物件があります。ポータルサイトの運営者はおとり物件にならないようにチェックをしていますが、小さな不動産屋ではポータルサイトの手入れが行き届かず、すでに売れていたり入居者が決まっていたりする物件の削除が遅れてしまうこともあるのです。その結果、物件を掲載したままになっておとり物件になってしまいます。不動産屋もだまそうと思っていないところが厄介です。

おとり物件を見分けるポイントをご紹介します。

1 客付の仲介業者

物件情報の中に大家さん(売主さん)と広告を出している不動産屋がどのような関係にあるのかが記載されています。大家さん(売主さん)、代理、元付の仲介業者、客付の仲介業者です。

元付というのは、大家さんや売主さんから物件の広告を直接任された業者です。客付というのは、元付業者から物件の広告を任された業者です。

この中でおとり物件を掲載しやすいのは、情報元から遠い位置にいる客付の仲介業者です。一番安心なのは、ウチコミ!のような大家さんと直接やり取りができるポータルサイトです。

2 条件がいいのにずっと売れていない(借りられていない)

誰もが住みたくなるような良い条件の物件なのに、何か月もずっと掲載されている物件があります。このような物件はおとり物件の可能性が高くなります。

3 住所の詳細が書かれていない

たとえば、住所が〇〇市××町までしか記載がなく、中には町名さえも書かれていない場合があります。このような物件はおとり物件の可能性があります。

しかし、広告を出している以上は自社で案内をしたいと考える営業マンはいますから、おとり物件であるとは断言できません。このような場合には、メールや電話で問い合わせて案内をしてもらうのはいかがでしょうか。

 

 

| まとめ

 

1 良い条件の物件は早くになくなります!

2 良い物件が何か月もネットに掲載されるのは怪しい!?

3 大家さんと直接やり取りができるサイトもあります!



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