中小企業でも管理者は必要? ~その3~

| 作業主任者と安全衛生推進者

 

前回と前々回で、衛生管理者、安全管理者、統括安全衛生管理者についてまとめました。本日は、その他の責任者・管理者などをまとめたいと思います。

1 作業主任者

作業主任者は、作業に従事する労働者の指揮などをとる業務をします。

危険・有害作業を行う事業場で選任する必要があります。会社や事業場の規模は問いません。危険・有害な作業を行う事業場のすべてで選任します。選任しましたら関係労働者へ周知します。専属や専任でなくてもかまいません。

作業責任者は資格が必要です。都道府県労働局長の免許を受けた者、または登録教習機関が行う技能講習を修了した者です。

2 安全衛生推進者

安全衛生推進者は統括安全衛生管理者が行う業務を行います。統括安全責任者は少なくとも常時100人以上使用する場合ですし、安全管理者や衛生管理者は常時50人以上使用する場合ですから、それ以下の規模で常時10人以上50人未満の場合に選任します。

安全管理者を選任しなければいけない業種に限られます。屋外的産業、製造工業的産業、商業などで、多くの企業が当てはまると思います。選任しましたら関係労働者への周知をするのは作業主任者と同様です。

安全衛生推進者には次の資格が必要です。主なものを挙げます。

・都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者

・大卒(高専卒)で1年以上の安全衛生の実務経験者

・高卒で3年以上の安全衛生の実務経験者

・5年以上の安全衛生の実務経験者

安全衛生推進者は作業主任者と違って専属でなければいけません。コンサルタントの場合は例外があります。

 

| 産業医

 

産業医は厳しいルールがあります。みなさまのイメージ通り、労働者の健康管理などを行ったり、毎月1回以上の作業場などの巡視、労働者の健康障害防止のための措置をとったりする業務です。

全業種で常時50人以上を使用する事業場で選任が必要です。常時3000人超の場合には2人必要です。選任しましたら、原則として遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します。選任には次のような条件があります。

・法人の場合は代表者以外、法人以外は事業者以外

・事業の実施を統括管理する者以外

もちろん産業医は医師でなければいけませんし、それに加えて次の資格のどれかが必要です。

・厚生労働大臣の指定する者が行う研修を修了した者

・産業医科大学などの卒業者で大学が行う実習を履修した者

・労働衛生コンサルタント試験の合格者

・大学の労働衛生科目を担当する常勤の教授・准教授・講師

・その他、厚生労働大臣が定める者

産業医は専属でなくてもかまいませんが、常時1000人以上を使用したり、一定の有害業務に常時500人以上使用する事業場では専属でなければいけません。

 

| まとめ

 

1 作業主任者は危険・有害な事業場で選任!

2 安全衛生責任者は実務経験などが必要!

3 産業医は50人以上の事業場で選任!



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中小企業でも管理者は必要? ~その2~

| 会社の安全管理と衛生管理

 

中小企業は、中小企業基本法で原則的な定義が定められています。前回の“中小企業でも管理者は必要?”でまとめましたが、資本金(出資金)の額か常時使用する従業員数で決められているようです。

会社の安全管理や衛生管理のために、会社は規模に応じて“衛生管理者”“安全管理者”“統括安全衛生管理者”を選任しなければいけません。

今回は“安全管理者”と“統括安全衛生管理者”についてまとめたいと思います。

 

| 安全管理者ってどんな人?

 

安全管理者は“安全”に係る技術的事項を管理して作業場などを巡視します。もし、設備、作業方法などに危険のおそれがあるときは、直ちに危険を防止する措置を講じなければいけません。

衛生管理者とは違って、巡視の頻度は定められていないんですね。何か理由が理由がありそうですが分かりません。

安全管理者を選任するときには資格を持っている人でなければいけません。衛生管理者以上に、この資格なかなか厳しいです。

1 厚生労働大臣が定める研修を修了した者

・理科系大学・高等専門学校卒業後2年以上の産業安全の実務経験を有する者

・理科系高校卒業後4年以上の産業安全の実務経験を有する者

2 労働安全コンサルタント

3 その他厚生労働大臣が定めた者

 

安全管理者の内の1人は専属かつ専任でなければいけません。衛生管理者と同様に、従業員に資格を取らせたり資格者を新たに雇ったりしなければいけませんので、小さめの会社ではかなり厳しい要件ですね。

| 統括安全衛生管理者ってどんな人?

 

統括安全衛生管理者は安全管理者、衛生管理者、救護に関する技術的事項を管理する者を指揮します。また、安全衛生に関する業務を統括管理します。具体的には次のような事柄です。

1 労働者の危険・健康障害の防止の措置

2 安全衛生教育の実施

3 健康診断の実施など健康の保持増進の措置

4 労働災害の原因調査、再発防止対策

5 その他の労働災害防止の業務

統括安全衛生管理者には特別な資格や免許は必要ありません。また、専属や専任でなくてもかまいません。

 

| まとめ

 

1 会社の規模に応じて安全・衛生の管理者の設置を!

2 安全管理者は理系出身者が多数!?

3 統括安全衛生管理者に資格は不要!



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中小企業でも管理者が必要?

| 中小企業ってどのくらいの規模?

 

中小企業とひとくくりにされていてもどのような規模の会社なのか分かりにくいです。中小企業基本法という法律では“原則”を次のように定められています。

1 小売業

資本金や出資額が5,000万円以下、または常時50人以下の従業員。

2 サービス業

資本金や出資額が5,000万円以下、または常時100人以下の従業員。

3 卸売業

資本金や出資額が1億円以下、または常時100人以下の従業員。

4 製造業、建設業、運輸業、その他の業種

資本金や出資額が3億円以下、または常時300人以下の従業員。

 

小売業では51人以上の社員やパートさん、アルバイトさんがいると中小企業ではなくなってしまうんですね。

 

| 会社の安全管理や衛生管理

 

会社は規模に応じて“衛生管理者”“安全管理者”“統括安全衛生管理者”を選任しなければいけません。このうち“衛生管理者”と“安全管理者”は常時50人以上の従業員がいる会社では必須になっています。選任の基準をまとめました。

1 衛生管理者

全業種で、常時50人以上の従業員がいる会社です。

2 安全管理者

屋外的産業、製造工業的産業、商業などで、常時50人以上の従業員がいる会社です。

3 統括安全衛生管理者

屋外的産業は常時100人以上の従業員、製造工業的産業と商業などでは常時300人以上の従業員、その他の業種では常時1,000人以上の従業員がいる会社です。

 

常時50人の従業員がいる小売業では、ぎりぎり中小企業の範疇でも衛生管理者を選任しなければいけないことになっています。

 

| 衛生管理者ってどんな人?

衛生管理者は衛生に係る技術的事項を管理して、少なくとも毎年1回は作業場などを巡視します。もし、設備、作業方法、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに健康障害を防止する措置を講じなければいけません。

衛生管理者を選任するときには資格を持っている人でなければいけません。この資格、なかなか厳しいです。

1 都道府県労働局長の免許取得者

第1種衛生管理者免許、第2種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許の3種類の免許取得者のみが対象です。

2 医師、歯科医師

3 労働衛生コンサルタント

4 その他厚生労働大臣が定めた者

・保健体育・保険の強化の教諭免許を持っていて中・高校などに常勤している教師

・大学・高等専門学校で保健体育を担当する常勤の教授、准教授、講師

第2種衛生管理者免許を持っている人は、次の業種では衛生管理者に選任できません。

1 農林畜水産業

2 鉱業

3 建設業

4 製造業

5 電気業

6 ガス業

7 水道業

8 熱供給業

9 運送業

10 自動車整備業

11 機械修理業

12 医療業

13 清掃業

衛生管理者の内の1人は専属かつ専任でなければいけません。従業員に資格を取らせたり資格者を新たに雇ったりしなければいけませんので、小さめの会社ではかなり厳しい要件ですね。

 

| まとめ

 

1 小売業では常時51人以上の従業員で大企業!?

2 会社の安全や衛生には管理者の設置を!

3 衛生管理者は資格持ち!



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パートさんの待遇は? ~その2~

| パートさんは短時間労働者

 

前回の記事“パートさんの待遇は?”でまとめましたが、パートさんは短時間労働者で、多くの方は職務内容同一労働者ではないのが通常でしょうと書きました。

“短時間労働者”の中に“職務内容同一労働者”がいて、さらに“職務内容同一労働者”の中に“通常の労働者と同視すべき短時間労働者”がいるという構造です。
職務内容同一労働者は職務の内容と責任の程度が正社員と同一の短時間労働者です。

短時間労働者に対する措置は5つあります。労働条件に関する文書の交付、短時間労働者の待遇、就業規則の作成手続、短時間雇用管理者の選任、通常の労働者への転換の推進です。詳しくは前回の記事“パートさんの待遇は?”をご覧ください。

 

| 通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する措置

 

短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取り扱いをしてはならないとされています。

一般の短時間労働者と比べてかなり厳しいルールですね。

 

| 通常の労働者と同視すべき短時間労働者“以外”の短時間労働者に対する措置

 

これには3つ規定されています。“賃金”と“教育訓練”と“福利厚生”です。

1 賃金

通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験などを勘案して、その賃金を決定するように努めなければいけません。これは努力義務です。

2 教育訓練

通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験などに応じて、教育訓練を実施するように努めなければいけません。これも努力義務です。

3 福利厚生

給食施設、休憩室及び更衣室について、利用の機会を与えるように配慮しなければなりません。これは配慮することが義務になっています。

 

| 通常の労働者と同視すべき短時間労働者“以外”の“職務内容同一短時間労働者”に対する措置

 

これは教育訓練のみです。

通常の労働者に対して実施する教育訓練で、通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者に対しても実施しなければいけません。

少し突っ込むと、すでに通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力が備わっていれば、教育訓練を実施する必要はありません。

 

| まとめ

1 パートさんの賃金は正社員との均衡が努力義務!

2 パートさんの教育訓練も正社員との均衡が努力義務!

3 パートさんにも更衣室などを使わせる配慮が必要!



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パートさんの待遇は?

| パートさんは短時間労働者

 

パートタイム労働法という法律には短時間労働者に関する規制が書かれています。短時間労働者は、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間よりも短い労働者をいいます。そのままですね。短時間労働者には他に2つ規定されています。

1 職務内容同一短時間労働者

職務の内容と責任の程度が通常労働者と同一の短時間労働者のことです。

2 通常の労働者と同視すべき短時間労働者

職務内容同一短時間労働者のうち、事業所の慣行その他の時事王から、雇用関係が終了するまでの全期間において、職務の内容や配置が通常の労働者の職務内容や配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれる労働者のことです。

“短時間労働者”の中に“職務内容同一労働者”がいて、さらに“職務内容同一労働者”の中に“通常の労働者と同視すべき短時間労働者”がいるという構造です。
パートさんの多くは職務内容同一労働者ではない通常の短時間労働者でしょうか。

 

| 短時間労働者に対する措置

 

パートさんに関する具体的な規制は次のようなものがあります。

1 労働条件に関する文書の交付など

労働条件のうち大切なものを特定事項としています。特定事項には①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無、④雇用管理などの相談窓口の4つが挙げられています。

事業主はパートさんを雇入れたときは速やかに特定事項は明示しなければいけませんし、特定事項以外も明示するように努めるものとされています。

特定事項は義務ですが、特定事項以外は努力義務です。そのほかに、労働基準法で書面での交付を義務付けられている事柄もあります。

2 短時間労働者の待遇

短時間労働者の待遇を通常の労働者の待遇と変えるときには、職務の内容や配置の変更範囲などを考慮して不合理なものにしてはいけません。

3 就業規則の作成の手続き

パートさんに係る事項の就業規則を作成・変更するときは、パートさんの過半数を代表する者の意見を聞くように努めなければいけません。努力義務です。

4 短時間雇用管理者の選任

常時10人以上のパートさんを雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任するように努めなければいけません。努力義務です。短時間雇用管理者は、パートさんの雇用管理の改善などに関する事項を管理します。

5 通常の労働者への転換の推進

通常の労働者への転換を推進するために次の措置を講じなければいけません。

・通常の労働者の募集を行う場合に、事業所に掲示するなどの方法で募集事項をパートさんに周知させること

・通常の労働者の配置を新たに行う場合に、パートさんに希望を申し出る機会を与えること

・一定の資格を持つパートさんに通常の労働者への転換のための試験制度を設けること

・その他、通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること

 

その他にも様々な規制があります。次回以降にまとめたいと思います。

 

| まとめ

 

1 パートさんの多くは通常の短時間労働者!

2 パートさん関連の就業規則を作成・変更するときには注意!

3 資格を持つパートさんへ正社員登用試験制度を!



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