行政書士法違反の申請は多いの?

| 行政書士の業務ってなに?

 

これまでに何度か記事にしてきましたが、行政書士法には行政書士の独占業務と非独占業務が規定されています。“行政書士って何をする人?”、“行政書士って何をするの?”などの記事です。記事の一覧を見直してみますと1年に1度くらいのペースで書いていました。ちょっと多いですね。

行政書士の業務の1つめは行政手続き関係の書類作成や申請代行です。建設業や風俗業などの許認可の申請や在留資格の申請、民泊やドローンの許可・免許申請などです。2つめは権利義務や事実証明移管する書類作成と手続代行です。契約書や議事録の作成、遺言や相続関係の書類作成などです。もちろんその他にも資格予備校の講師をしたり観賞用の家系図を作成したりすることもできます。

ただし、紛争のある事案は弁護士の独占業務ですから行政書士はできませんし、その他の法律で他士業の独占業務とされている業務(登記や税務関係など)はできません。

実は、今回も行政書士の業務内容のお話になります。ただ、今までとは少し趣向が違います。それでは本題に入りたいと思います。

 

 

| 行政書士以外の行政書士法違反

 

行政書士の業務には独占業務と非独占業務がありますが、行政書士の独占業務を行政書士以外が行うと行政書士法違反になります。罰せられますので絶対に行政書士法違反の行為はしないでくださいね。

違法な行為で罰則があったとしても、やはり違法行為をする人はいます。スピード違反や駐車違反などの道路交通法違反の行為を経験された方は多いでしょう。同じように行政書士法違反をする人も多いようです。

たまに話題になるのが建設業の許可申請。行政書士登録をしていない税理士さんや建設業界団体の従業員さんがこっそりと建設業の許可申請をされるらしいです。私はまだそのような事案に遭遇していませんので真偽のほどは分かりません。

大阪府の建設業許可申請の窓口では、申請に来ているほとんどが行政書士でいくつもの事案を一度にパパっと済ませています。その他では建設業者の従業員さんが書類を持ってきて窓口で相談しながら進めているのも見かけます。

余談ですが、大阪府では2019年3月4日から宅地建物取引業(宅建業)の免許申請と建設業の許可申請の窓口での手続きが変わりました。受付等の業務委託事業者が行政書士会になったそうです。

行政書士の業務は他士業の方や無資格者が違法に申請をしていることが、他士業と比べると多いという噂もあります。行政書士の業務が易しくて専門家でなくてもできるということなのでしょうか。会社設立のうち簡単な商業登記や不動産の売買による単純な移転登記、建物の抹消登記なども意外と簡単で誰でもできそうですので、司法書士の業務である登記も違法行為が結構多いと思っています。

 

 

| まとめ

 

1 行政書士には独占業務があります!

2 行政書士の独占業務を無資格者がすると違法!

3 行政書士業務は無資格者の違法申請が多い!?



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1人で“できること”と“できないこと”

| 行為能力が制限される

 

前回の記事でも書きましたが、1人で契約をすると契約を取り消されてしまう人たちがいます。未成年者、成年被後見人については前回の記事のとおりです。本日は、残り2つの被保佐人と被補助人について書きたいと思います。

未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人はまとめて制限行為能力者と呼ばれています。昔は行為無能力者と呼ばれていましたが名称が変わりました。また、禁治産者は成年被後見人に、準禁治産者は被保佐人となりました。

被保佐人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた者をいいます。法律の書き方は分かりにくいですね。つまり、一般の人よりも判断力がすごく弱くて裁判所の審判を受けた人です。

判断力がすごく弱いとは言っても、原則として1人で契約ができます。成年被後見人と比べますと、判断力が少しあっていつも判断力が悪いわけではない人ですから、成年被後見人ほど保護をしなくても大丈夫なのです。

被保佐人が1人で契約できるますが、次の9つのことは保佐人の同意がなければいけません。

1 元本の領収、利用

2 借金、保証

3 不動産などの重要な財産の権利の得喪に関すること

4 訴訟

5 贈与、和解、仲裁合意

6 相続の承認、相続放棄、遺産分割

7 贈与の申し込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申込の承諾、負担付贈与の承認

8 新築、改築、増築、大修繕

9 長期(土地5年以上、建物3年以上)の賃貸借

日常の中ではあまり経験しないことばかりですね。分かりにくいのは3番の“権利の得喪”でしょうか。権利の得喪というのは、たとえば不動産を買ったり売ったりして所有権を得たり手放したりすることです。

7番の負担付贈与は、たとえば“うちの猫の世話をしてくれるならこの時計をあげる”といった〇〇をするならこれをあげるというものです。単に“これをあげる”という贈与ではなくて、“〇〇をするなら”という負担が付いた贈与のことです。

保佐人の同意がない行為は取り消すことができます。

 

 

| 被補助人はどんな人?

 

被補助人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者をいいます。成年被後見人は“能力を欠く常況”、被保佐人は“能力が著しく不十分”、被補助人は“能力が不十分”になっています。これをみると、被補助人は被保佐人よりも軽い状態ですね。

ですから、被補助人は基本的に何でも1人で契約ができます。ただし、家庭裁判所が決めた行為は補助人の同意が必要です。家庭裁判所は、被保佐人が補佐人の同意を得なければいけない9つの行為の中からしか指定できません。上に書いた借金とか訴訟とか新築とかのあの9つの中からです。

補助人の同意がない行為は取り消すことができます。

 

 

| まとめ

 

1 被保佐人は同意が必要な行為が列挙されています!

2 被補助人は裁判所が同意の必要な行為を指定します!

3 被保佐人も被補助人も原則として1人で契約ができます!



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未成年者が契約できないってホント?

| 法定代理人の同意は必要?

 

みなさんご存知のとおり、未成年者は20歳未満の方です。2022年4月1日に改正民法が施行されると未成年は18歳未満になります。

たとえば、未成年者が携帯電話の契約をしようとすると親御さん(法定代理人)の同意が求められます。この同意がないと契約はできません。そうは言っても、未成年者はどんな契約もできないのかと言いますとそうではありません。

学校帰りにお菓子を買って食べている中学生や数人で集まって駄菓子を頬張る小学生を見かけることあります。このお菓子はどうしたのでしょうか?もちろん小学生や中学生が自分だけでお店で買ったものです。

スーパーやお菓子屋で子どもが買い物に来た時には親御さんの同意を求めませんよね?先ほどの携帯ショップとは何が違うのでしょうか。

民法上、原則として未成年者は親御さんの同意なしでは契約はできません。ですから、未成年者だけで携帯電話の契約もできませんし、お菓子も買えないのが原則です。もし契約をしてしまうと後から親御さんに契約を取り消される可能性があります。

しかし、原則には例外があるものです。例外は3つあります。

1つめは、単に権利を得たり単に義務を免れたりする行為は未成年者が単独ですることができます。たとえばタダでモノをもらう場合ですね。

2つめは、親御さんが処分を許した財産の処分です。固い言い方で分かりにくいですが、お小遣いでお菓子を買ったりする行為がコレです。お小遣いは自由に使ってよいという暗黙のルールで渡されます。つまり親御さんがお小遣い(財産)の使い方(処分)を許したのです。ですから、先ほどの中学生や小学生はお小遣いでお菓子を買って食べられたのですね。

3つめは、親御さんから営業を許された場合です。未成年者が起業したという場合には親御さんから営業を許されたのだと思います。

以上から、結論としては未成年者がする契約は原則として取り消しうるが、例外もあるということになります。

 

| 成年被後見人ってなに?

 

未成年者と同じく制限行為能力者という括りには成年被後見人も入ります。この2者以外にも、被保佐人と被補助人があります。

成年被後見人は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者です。さっぱりわかりません。簡単に言い換えますと、認知症などになって大体いつも判断力がない状態になっている人で、家庭裁判所から審判を受けた人のことです。よくあるのは認知症が相当程度進んだ状態でしょうか。このような方は自分が正しいことをしているのか間違ったことをしているのか分かりませんし、周りの状況も理解できていない可能性があります。このような方が結んだ契約は原則として取り消すことができます。

未成年者と大きく違うポイントは、後見人が事前に同意をしても意味がなくて契約を取り消すことができます。未成年者の場合は親御さんの同意があれば有効に契約が成立しましたが、成年被後見人の方がより強く保護されています。また、契約の時に正気に戻っていたとしても取り消すことができます。

ただし、原則にはやはり例外があります。日用品の購入や日常生活に関する行為は取り消すことができません。毎日の食料品の買い物まで取り消せるとなると、誰もお年寄りにモノを売らなくなってしまうかもしれませんものね。

 

 

| まとめ

 

1 未成年者は原則として単独で契約はできません!

2 成年被後見人も原則として単独で契約はできません!

3 両者とも例外があります!



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在留資格の更新手続がオンラインで!

| 外国人の方に朗報!

 

日本にいる外国人の方は必ず在留資格を持っています。在留資格は日本に滞在するためには必要で、査証(ビザ)とは少し違います。ビザは入国の時に必要な推薦状です。在留資格は滞在するために必要な資格です。

この在留資格は数カ月~数年ごとに更新が必要です。今話題の特定技能という在留資格では、1年、6ヵ月、4ヵ月のいずれかの期間ごとに更新が必要です。どの期間で在留資格をとれるかは外国人の方の状況次第です。

外国人の多くは技術・人文・国際という在留資格を持っています。この資格では5年、3年、1年、3ヵ月ごとの更新です。

1年しか在留資格がない場合は、毎年更新手続をしなければいけません。入国管理局に行って手続きをすればいいだけでしょ!?と思われるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。

手続が楽になるように、在留資格の更新がオンラインでできるようになりました。2019年7月25日(木)から受付が開始されます。

 

 

| オンライン申請はどうやってするの?

 

オンライン申請の対象になる在留資格は就労系の在留資格のほとんどです。ただし、外交、特定技能、短期滞在は除かれます。…特定技能、除かれちゃいましたね。特定技能の在留資格の更新はまだ先でしょうから、今はまだ除外されていてもいいのではないでしょうか。

オンラインでできる手続は、在留期間更新許可申請、期間更新と同時に行う再入国許可申請、期間更新と同時に行う資格外活動許可申請の3つだけです。

また、オンラインで申請ができる人は、外国人の雇用主(所属機関)と所属機関から依頼を受けた弁護士または行政書士だけです。

所属機関の職員の方は特にご注意いただきたいのですが、オンラインを使うためには事前に利用の申出が必要です。最寄りの地方入国管理局へ必要書類を提出して行います。用紙は法務省のサイトからダウンロードできます。IDはメールで届きますのでメールアドレスが必須です。

提出に必要な書類は、次のとおりです。

1 利用申出書

2 外国人の所属機関の概要が分かる資料

3 誓約書

4 登記事項証明書

5 外国人従業員リスト

6 弁護士・行政書士の場合、依頼を受けたことがわかる資料

一応はこれらが挙げられていますが、“~等”となっているところが気になります。入管は追加書類を出せということが多いですから、実際にはもっと多い書類の提出が必要になるかもしれません。

 

 

| まとめ

 

1 在留期間更新許可申請がオンライン化!

2 更新手続で入国管理局まで出向く必要がなくなりました!

3 オンラインシステムを使うには事前に利用申出が必要です!



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民法ってどんな法律?(物権編①)

| 物権ってなに?

 

物権にはいくつもの権利が法定されていますが、簡単に言えば“モノに対する権利”で“誰に対しても主張できる権利”です。たとえば所有権は代表的な物権ですが、あなたの持っているボールペンはあなたのもので、誰に対しても自分のものだと主張できます。

民法上の物権は9つあり、全て法律に書かれています。民法その他の法律で規定されている物権以外は認められません。譲渡担保のように担保物件と同じような効果がある権利もありますが、いわゆる物権ではありません。

9つの物権は以下のとおりです。

1 占有権

2 所有権

3 地上権

4 永小作権

5 地役権

6 留置権

7 先取特権

8 質権

9 抵当権

聞いたことがある権利は、占有権、所有権、留置権、質権、抵当権でしょうか。特に所有権や抵当権はなじみのある権利だと思います。

 

 

| 物権ってどんな権利?

 

物権は物に対する直接的・排他的な支配を内容とする権利です。ですから、一個の物には一個の物権しか成立しません。同じ物に同じ複数の物権は認められません。“一物一権主義”と呼ばれている性質です。物の何が一個かは難しい時もありますが、土地は1筆、建物は1棟ですね。

物権にはいくつかの性質や効力があります。どの物権にも認められている性質・効力としては、優先的効力と物権的請求権があります。

優先的効力は、物権と物権、物権と債権の関係がありますが、物権と物権は先に対抗要件(登記や占有)を備えた物件が優先します。物権と債権では物件に優先的効力があります。特に担保物権と債権では債権よりも物権が優先されます。

物権的請求権は、物権が侵害された時に妨害を排除したり予防したりする権利です。妨害されていれば除けるように請求できますし、妨害されそうであれば予防するように請求できます。

このように物件は強力な権利です。直接的・排他的に物を支配できますし、債権にも優先します。ですから、物権は法定されているモノしか認められていないのです。

 

 

| まとめ

 

1 物権は所有権や抵当権のような権利!

2 物件は法定されたものだけ!

3 物件には強力な性質や効力があります!



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