毎年、行政書士試験の問題を検討しているのですが、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。
合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。今回も引き続き択一問題を見ていきます。
| 択一式 第22問(行政法)
選択式に引き続いて、択一式の問題も掲載しません。行政書士試験の問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターのサイトにありますので、気になる方は各自ダウンロードしてください。PDFファイルで約570KB程度のサイズです。
第22問は地方自治法に関する問題です。判例の組み合わせ問題です。公の施設は頻出分野です。過去問だけでなく条文もしっかりと読んでおくことをおすすめします。
【肢ア】
妥当です。肢の記載のとおりです。条文そのままです。
地方自治法 第244条の2
普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。
2以下、略
【肢イ】
誤りです。地方公共団体の長がした処分については、都道府県知事の場合は総務大臣、市町村長の場合は都道府県知事が審査請求先になります。。しかし、長以外の機関がした処分については、普通地方公共団体の長が審査請求先になります。
地方自治法 第244条の4
普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
2以下、略
【肢ウ】
誤りです。かなり細かいことが問われています。条例で定めた特に重要な公の施設の使用について、廃止や長期かつ独占的な使用に関しては議会の議決が必要です。総務大臣の承認までは必要ではありません。
地方自治法 第244条の2
略
2 普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の三分の二以上の者の同意を得なければならない。
3以下、略
【肢エ】
妥当です。住民が公の施設を利用する場合には不当な差別的取り扱いが禁止されています。また、この住民には住民に準ずる地位にある者も含みます(最判H18.7.14)。住民に準ずる地位にある者とは、別荘を有していて税金の納付が義務付けられているような人のことです。
地方自治法 第244条
略
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
| まとめ
1 地方自治法の公の施設は頻出分野!
2 地方自治法にも審査請求の条文がある!
3 不当な差別的取扱いは判例も要チェック!