【行政書士試験】2021年度 試験問題の振り返り(第41問)

年の瀬も迫ってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。毎年、行政書士試験の問題を検討しているところ、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。

合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。今回から選択問題を検討します。

 

 

| 選択式 第41問(憲法)

 

記述式の問題は長文ですので問題を掲載しません。行政書士試験の問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターのサイトにありますので、気になる方は各自ダウンロードしてください。PDFファイルで約570KB程度のサイズです。

まずは第41問の憲法から見ていきます。

裁判員制度に関する問題ですね。上から読んでいきますと、空欄アと空欄イは(中略)の下の文章を読まないと、何のことかさっぱりわかりません。

仕方がないので(中略)の下の文章を読んでいきます。

“以上によれば”ということで、裁判員裁判での裁判体は、身分保障のある裁判官と公平性・中立性の確保された裁判員によって構成されるとしています。

次に、裁判員の権限について書かれています。事実認定をすること、空欄ウおよび有罪の場合の量刑について意見を述べること、空欄エを行うこと、とされています。

空欄ウは、続いて書かれてある有罪の場合の量刑を考慮すると“無罪”が入りそうですが、1~20の選択肢に“無罪”はありません。ということは、量刑への意見を述べることとの関係で意見を述べるに過ぎないこと、つまり“法令の適用”が入るのではないでしょうか。

裁判員は、各自が法廷で証拠や証言を見聞きした内容から事実認定をします。認定した事実に基づいて、評決の場で有罪か無罪かの意見を述べることができます。有罪の場合には、量刑についても評決の場で意見を述べることができます。裁判員1人1人の意見を聞いたうえで、多数決で評決をします。

つまり、裁判員が各自の独断でできるのは事実認定のみで、そのほかは意見を述べることや評決に参加することしかありません。裁判員裁判は合議体ですから当然と言えば当然です。

そうだとすると、選択肢1~20の中で、空欄ウに入りそうな語句は、“情状酌量”、“法令の解釈”、“法令の適用”の3つでしょうか。

かなり迷う空欄だと思います。私も本試験でこの問題が出たら迷います。ただ、空欄エのあとの文に、“必ずしもあらかじめ法律的な知識、経験を有することが不可欠な事項であるとはいえない”とありますので、“情状酌量”や“法令の解釈”は入らないのかなと思います。

次に空欄エを見てみます。空欄エは“評決”でしょう。空欄エに入りそうな語句は、“裁決”、“判決”、“決定”、“評決”、“議決”の5つでしょうか。

行政事件訴訟法を勉強していると“裁決”、“判決”、“決定”が入らないことは分かると思います。迷うのは“評決”と“議決”だと思いますが、裁判制度で“議決”という言葉に違和感を覚えたら“評決”を選択できると思います。空欄エは埋めやすいですね。

どんどん読んでいきましょう。

また空欄アが出てきました。憲法が定めていること、空欄アの諸原則の保障があることなどのヒントは書かれていますが、まだ何が入るのか分かりません。

段落が変わって、また空欄アと空欄イが出てきました。ここに大きなヒントがありました。“公平な”空欄イにおける法と証拠に基づく適正な裁判が行われること(憲法31条、32条、37条1項)とありますので、空欄イには手続きの保障関係が入ることが分かります。

手続きの保障関係の語句は、“裁判所”と“公開法廷”のみですね。公開法廷は適正な裁判をするための要件の1つですので、公平な“公開法廷”での適正な裁判というのは文章がおかしいです。空欄イには“裁判所”が入ると思います。

最後に空欄アを考えます。ここにもヒントがありました。裁判官は空欄アの基本的な担い手とされています。ということは、司法権に関する語句が入ることが分かります。

司法権に関する語句は、“憲法訴訟”、“民事裁判”、“行政裁判”、“司法権”、“紛争解決機関“、”参審制“、”刑事裁判“の7つでしょう。

まず、憲法に諸原則が定められているものをピックアップします。“行政裁判”、“司法権”、“刑事裁判”の3つでしょうか。憲法訴訟や民事裁判、紛争解決機関、参審制については憲法に直接諸原則が書かれているとは言えません。

残りの3つの中で、適正な裁判が制度的に保証されている上に…と続く流れを考えますと、“司法権”は大げさすぎる、といいますか並列には語れないものだと思います。

また、行政裁判に“裁判員制度”は用いられませんので、空欄アには“刑事事件”が入ると思います。

 

空欄ア:20 刑事事件

空欄イ:13 裁判所

空欄ウ:19 法令の適用

空欄エ:16 評決

 

 

| まとめ

 

1 裁判員裁判の理解を問う問題!

2 埋めやすい空欄と埋めにくい空欄がある!

3 空欄アと空欄ウは難問かも!?



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