【行政書士試験】2021年度 試験問題の振り返り(第46問)

年の瀬も迫ってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。毎年、行政書士試験の問題を検討しているところ、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。

合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。記述式の検討は楽しいですね。

 

 

| 記述式 第46問(民法)

 

[問題]

Aが所有する甲家屋につき、Bが賃借人として居住していたところ、甲家屋の2階部分の外壁が突然崩落して、付近を通行していたCが負傷した。甲家屋の外壁の設置または管理に瑕疵があった場合、民法の規定に照らし、誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか。必要に応じて場合分けをしながら、40 字程度で記述しなさい。

 

1 問われている内容

不法行為の問題ですね。工作物責任は民法を学習するうえで基本的な事項ですので、十分に勉強をされた受験生は多かったのではないでしょうか。“誰が損害賠償責任を負うか”が問われています。

2 条文の確認

工作物責任についての条文があるので、まずは条文を見てみましょう。

 

民法 第717条

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 以下、略

 

まずは工作物の占有者が責任を負います。本問では賃借人のBですね。しかし、Bが損害の発生防止に必要な注意をしたときには、所有者であるAが責任を負います。

問題文には、“外壁の設置または管理に瑕疵があった場合”とありますが、占有者や所有者は管理に瑕疵がない場合、つまり無過失でも責任を負いますのでご注意ください。

 

解答例

“Bが責任を負う。ただし、Bが損害発生防止に必要な注意をしていたときはAが責任を負う。”(42字)

 

なお、不法行為責任では、工作物責任のほかに使用者責任、注文者の責任、動物の占有者の責任が問われやすくなっています。また、共同不法行為や正当防衛・緊急避難、胎児の権利能力、名誉棄損の原状回復についても条文を読んで内容を知っておくと安心です。

 

 

| まとめ

 

1 工作物責任は不法行為の基本事項!

2 まずは占有者、次に所有者が責任を負う!

3 工作物責任は無過失責任!



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