最近の不動産屋の状況について、国土交通省の発表がありました。2020年度のデータです。町の小さな不動産屋は高齢化が進んでおり、後継者がなく廃業をするところが増えています。半面、不動産賃貸を主に扱うフランチャイズ店は増え続けているようにも思います。
統計ではどうなっているのでしょうか。今回は、国土交通省の2020年度のデータを見たいと思います。
| 不動産屋は増えている!
不動産屋は2013年ごろを底にして増えてきています。2013年度は約12万2000件で、2020年度は約12万7000件です。7年間で5000件しか増えていません。約4%の増加です。ここ10年の推移を見てみましょう。( )内は前年比です。
2011年度 123,922者 (1.5%減)
2012年度 122,510者 (1.2%減)
2013年度 122,127者 (0.3%減)
2014年度 122,631者 (0.4%増)
2015年度 123,249者 (0.5%増)
2016年度 123,416者 (0.1%増)
2017年度 123,782者 (0.3%増)
2018年度 124,451者 (0.5%増)
2019年度 125,838者 (1.1%増)
2020年度 127,215者 (1.3%増)
2013年度までは減り続けていましたが、2013年から増えてきています。2018年度までは1%未満の増加率でした。2019年度から1%を超えて増えてきています。コロナ禍の2020年度でさえ不動産屋は増えています。少し驚きですね。
| 監督処分数は減少!
監督処分というには、知事や大臣による免許取消処分、業務停止処分、指示処分を指しています。不動産業の免許は規制が厳しく、不埒な業者を締め出しています。監督処分についても比較的厳しい対応をしているのではないでしょうか。
そのおかげかどうかわかりませんが、この10年間の監督処分件数は減少傾向です。推移を見てみます。( )内は前年比です。
2011年度 358件
2012年度 258件 (28%減)
2013年度 314件 (22%増)
2014年度 249件 (21%減)
2015年度 227件 (9%減)
2016年度 251件 (10%増)
2017年度 209件 (17%減)
2018年度 182件 (13%減)
2019年度 198件 (9%増)
2020年度 161件 (19%減)
10年前の358件から161件まで減っています。約54%減です。半数未満になっていますので、不動産屋は相当よくなってきていると思われます。
| 宅建士登録者数は依然として増加中!
宅建士として活動するためには、宅建士の登録をした後に宅建士証の交付を受けなければいけません。宅建士の登録をした人は年々増え続けています。こちらも推移を見てみましょう。( )内は前年比です。
2011年度 901,687人
2012年度 920,860人 (2%増)
2013年度 941,614人 (2%増)
2014年度 958,974人 (2%増)
2015年度 982,411人 (2%増)
2016年度 1,004,101人 (2%増)
2017年度 1,024,974人 (2%増)
2018年度 1,049,253人 (2%増)
2019年度 1,074,015人 (2%増)
2020年度 1,099,632人 (2%増)
この10年間、きれいに2%ずつ増えています。増加分は新規登録者数ですが、登録を取り消す人が少ないことも増加の原因になっています。新規登録者数は毎年2万1000人から2万7千人程度です。
たとえば、2012年度と2020年度の新規登録者数、登録消除数を比べてみましょう。新規登録者数と登録者総数は発表されていますが、登録消除数は発表されていません。ですので、次の式で計算しています。
当年度登録消除数
= 前年度登録者総数 + 当年度新規登録者数 - 当年度登録者数
2012年度 新規登録者数:24,247人
2012年度 登録者総数 :920,860人
2012年度 登録消除数 :5,074人
2020年度 新規登録者数:27,580人
2020年度 登録者総数 :1,099,632人
2020年度 登録消除数 :1,963人
9年前と比較すると登録消除数は62%も減っています。宅建士の登録消除する人が大きく減っています。この数字を見ると、高齢化で不動産業を廃業しているというのは、単なる気のせいのような気がしてきました。
| まとめ
1 不動産業者数は7年連続増加!
2 宅建士数は10年以上増加中!
3 宅建士の登録消除数は60%以上減!