【相続】不在者財産管理人ってなに? ~その2~

相続が発生すると遺産分割協議書を作成します。遺産を誰にどのように分配するのかを決めた合意書です。遺産分割協議書には相続人全員の同意が必要ですが、行方不明・音信不通の相続人がいる場合にはどうしたらいいのでしょうか?そのときに選任されるのが不在者財産管理人です。

前回に引き続き、今回も不在者財産管理人について書きたいと思います。

 

 

| 不在者財産管理人の選任のしかた

 

不在者財産管理人って何をする人なのかは、前回の記事“【相続】不在者財産管理人ってなに? ~その1~”をご覧ください。今回は、不在者財産管理人の選任の手続きについて書きたいと思います。

不在者財産管理人の選任手続は、不在者の住所を管轄する家庭裁判所で行います。

1 申立人

申立人は、相続人などの利害関係人、不在者の親族、債権者、検察官などです。相続人が行方不明で遺産分割協議を行えない場合には、不在者の親族や他の相続人が申立人になることができます。

2 申立先

申立先は、不在者の住所・居所を管轄する家庭裁判所です。たとえば、不在者の住所が大阪府門真市の場合には、管轄する家庭裁判所は大阪家庭裁判所になります。

3 必要な費用

申立てに必要な費用は、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。連絡用の郵便切手をいくら用意すればいいのかについては、管轄の家庭裁判所へお問い合わせください。不在者財産管理人の選任申立てを専門家へ依頼する場合には、おおよそ10万円程度の報酬が発生します。

4 必要書類

必要書類は意外に多くあります。

(1)申立書

(2)不在者の戸籍謄本

(3)不在者の戸籍の附票

(4)不在者財産管理人の候補者の住民票または戸籍の附票

(5)不在者の不在を証明する資料(宛所不明の郵便物など)

(6)不在者の財産に関する資料(不動産の登記簿謄本など)

(7)申立人と不在者との関係性を証明する資料(申立人の戸籍謄本など)

 

 

| 書類の記入例

 

必要書類のうち申立人が作成するのは申立書です。申立書を見てみましょう。

不在者財産管理人 選任 申立書1

不在者財産管理人 選任 申立書2

1枚目は記入に迷うことはないと思います。問題は2枚目の“申立ての趣旨”と“申立ての理由”です。

裁判所の記入例を見てみましょう。

不在者財産管理人 選任 申立書 記入例1

不在者財産管理人 選任 申立書 記入例2

不在者財産管理人 選任 申立書 記入例3

今回の例は不動産を売却する際の権限外行為許可の申立になっています。遺産分割協議をするための場合には、次のような記入になります。

1 申立ての趣旨

不在者の財産の管理人を選任する審判を求める

2 申立ての理由

(1)申立人は、不在者の伯母である。

(2)不在者は令和3年6月25日以来行方不明であるが、令和3年5月10日、不在者の兄である甲山太郎が死亡したことにより相続が開始した。不在者は共同相続人の1人であるところ、甲山太郎の別添財産目録の遺産について、共同相続人間で遺産分割協議を行いたい。ところが、不在者は財産管理人を置いていないため遺産分割協議ができない。

(3)不在者は、令和3年6月25日まで大阪府門真市○○1-1において1人暮らしをしていたが、令和3年5月10日に兄甲山太郎の死去を伝えるために手紙を出したところ、宛所不明で返戻された。そのため、戸籍の附票を取り寄せ住所を確認したが、以前と同じ住所のままであった。

(4)以上の理由により、財産管理人の選任を申し立てる。

(5)財産管理人としては、不在者の伯母(亡姉の弟の妻)である次のものを選任して欲しい。

なお、不在者には、亡甲山太郎の遺産に対する共有持分4分の1の他には財産及び負債はない。

3 財産管理候補者

本籍、住所、氏名(フリガナ)、不在者との関係を記入します。

 

手続は簡単なようで記入することが多く面倒です。不安でしたら家庭裁判所に相談をするか、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼をしてください。

 

 

| まとめ

 

1 不在者財産管理人には報酬がある!

2 選任手続では7種類の必要書類がある!

3 申立ての趣旨と理由の記入は難しい!?



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