宅建士試験のための改正民法 その5 契約不適合責任(2)

2020年4月1日に民法が大きく改正されました。宅建士(宅地建物取引士)試験を受験しようと思っている方は、元々勉強がしづらい民法が改正されて不安に思われているのではないでしょうか。

今回から民法の改正されたところのうち、宅建士試験でよく問われるだろうと思われるところを、アシュラの独断と偏見で書きたいと思います。

 

 

| 民法の主な改正点

 

改正されたところは主に契約関係です。契約関係に限れば、主な改正箇所は次の9つです。

1 消滅時効

2 解除

3 危険負担

4 契約不適合責任

5 賃貸借契約

6 法定利率

7 保証

8 債権譲渡

9 約款

これらのうちで宅建士試験でよく出題されそうなところは、消滅時効、解除、危険負担、契約不適合責任、賃貸借契約、保証でしょうか。特に契約不適合責任は怖いですね。今回は、その契約不適合責任です。少し詳しめに書きたいので数回に分けます。

 

 

| 契約不適合の期間制限

 

買主が権利行使できる期間には制限が付けられています。契約内容に合致しないことが、(1)種類や品質の場合、(2)数量や権利の場合の2つに分けられています。

(1)種類や品質が契約内容に合致しない場合

買主は、契約に適合しない旨を1年以内に通知しなければ、売主に契約不適合責任を追及することはできません。契約に適合しないことを知ってから1年以内に売主に通知します。その後に修補や代替物の引渡や不足分の引渡を請求したり、代金の減額を請求したりします。

ただし、消滅時効には注意が必要です。契約に適合しないことを知ってから5年以内に請求しなければ消滅時効にかかりますし、契約をしてから10年間経つとこれも消滅時効にかかりますのでご注意ください。

(2)数量や権利が契約内容に合致しない場合

買主は、期間の制限なく、売主に契約不適合責任を追及することができます。

ただし、契約に適合しないことを知ってから5年以内に請求しなければ消滅時効にかかりますし、契約をしてから10年間経過しても消滅時効にかかりますのでご注意ください。

 

 

| 特約で排除できるの?

 

契約不適合責任は、以前の瑕疵担保責任に比べて、売主の責任が重くなっています。そのため、売主さんとしては契約不適合責任を排除し、現状有姿のままで取引したいと考えるのではないでしょうか。

契約不適合責任は、特約で排除することができます。ただし、売主が宅建業者の場合には契約不適合責任を免れることはできません。

特約で契約不適合責任は排除する場合には、次のような文言が契約書に付与されます。

<記載例>

“売主は、本物件を現状有姿のまま引き渡すものとする。買主は、本物件の引渡の後においては、本物件の修補、代替物の引渡、または不足分の引渡など、自らの指定した方法で売主に対し履行の追完及び代金額の減額を請求することができない。”

 

 

| まとめ

 

1 契約不適合責任は通知期間に注意!

2 5年、10年の消滅時効にも注意!

3 契約不適合責任は特約で排除ができる!



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